C型肝炎ウイルスの感染

 C型肝炎ウイルス(HCV)は、ウイルスに汚染された血液を介してヒトに感染するので、現在の感染者は輸血や血液製剤、血液透析や針刺し事故などの医療行為、注射針共用に伴う刺青や覚せい剤の静脈注射、出産時の母児感染などによって感染したもので、日本での感染者は人口の約1%、100~150万人と推定される。

 感染者の約30%は自然治癒するが、約70%は持続感染者(キャリア)となり、慢性肝炎を経て、感染後20~30年後で肝硬変肝がんを発症することが多い。 感染の有無の診断はHCV抗体の測定により行う。 

 昭和年代に大きな手術を受けたり、外傷や出産のときに大量の出血を経験した人の場合、止血目的でウイルス不活化処理の不十分な血液製剤(特定のフィブリノーゲン製剤や血液凝固第1X因子製剤)の投与を受けてHCVに感染している人がおり、このような感染被害者を救済するため、「C型肝炎特別措置法」が平成20年1月より施行された。 

 給付金の支給額は、無症候性キャリアに1200万円、慢性肝炎に2000万円、肝硬変・肝がん・死亡に4000万円となっている。 この給付金を受けるためには、国を相手に来年の1月15日までに所定の形式によって裁判所へ訴訟を提起する必要がある。 認定されると、本人または相続人が給付金を受け取れる。 期限が迫っているので注意したい。

草籠をおいて人なし春の山  正岡子規
水浅し影もとどめず山葵生ふ  松本たかし
山葵田を見下ろし忙しサギ営巣  中島澄夫
たからとは今日の命ぞ初さくら  加賀千代女

大王わさび農場1
早春の「大王わさび農場」・ 信州安曇野にて ( 2017年3月20日 撮影 )

焼額山から一の瀬を
志賀高原・「焼額スキー場」より「一の瀬スキー場」を望む (2017年3月18日撮影)

御宝田遊水池1
御宝田遊水地に遊ぶ白鳥の群れ・信州安曇野にて(2017年3月20日 撮影)

カカオの抗酸化作用

 今日はバレンタインデー、269年にローマ皇帝の迫害により殉教したローマ司教・聖バレンタインの記念日である。 聖バレンタインデーは世界各地で恋人たちの愛の誓いの日とされ、様々な祝い方がある。 日本では女性が男性にチョコレートを贈る習慣が定着し、2月上旬はお菓子メーカーが活気づく季節でもある。 最近では「本命チョコ」だけでなく、「義理チョコ」、「友チョコ」、「自己チョコ」もみられて、結構賑やかである。 私が見ている老人ホームでは、例年、入所者全員で手作りチョコレートに挑戦である。

 カカオ豆に含まれるカカオポリフェノールには、体内の活性酸素を消去し、悪玉のLDL-コレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化を予防する作用があるとされる。 カカオ豆は西アフリカ、東南アジア、中南米などが主産地で、蛋白、食物繊維、鉄、銅、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、カリウムなども豊富に含まれ、その抗酸化力は赤ワインの2倍ともいわれ、老化防止の観点からも注目されている。

 カカオに含まれるテオブロミン(Theobromine)は、ココアの苦味成分で、テオフィリンの異性体、キサンチンの一つであり、自律神経調節作用を持ち、適量でストレス解消や咳を抑えるのに役立つ。 犬ではテオブロミンの代謝速度が遅く、有害となるので注意が必要である。

 内閣府の国家重点研究の一つで、理研、京大、筑波大などが参加する「革新的研究開発推進プログラム」によると、カカオ分が70%以上のチョコレートを、男女30人(男15人、女15人)に、1日当たり25g(5g×5枚)を4週間にわたり摂取させ、摂取前後の大脳皮質の量をMRI画像で評価したところ、大脳皮質量が平均1.1ポイント増加したという。 45~55歳の女性の約60%では、特に増加がが顕著だったという。 神経線維の増加も見られたとしている。 大脳皮質の量が増えれば認知機能が改善され、認知症の予防に役立つことも期待される。
 
 高カカオチョコレートは甘味は少ないが、カロリーや脂質の高いものがあり、また残留農薬の問題もあるので、食べ過ぎには十分注意して楽しみたいものだ。
 
いつ渡そバレンタインのチョコレート  田畑美穂女
中年やバレンタインの日は昨日  小西昭夫
やけに効くバレンタインの日の辛子  三村純也 

八方尾根スキー場サイズ小
曇りの八方尾根スキー場・競技前の兎平ゲレンデ

 

夜間頻尿と食塩

 就寝中に3回以上の排尿がある場合、夜間頻尿という。 夜間頻尿は眠りが中断されるので、誰にとっても厄介で、特に高齢者にとっては、つらい症状の一つである。 原因は一様でなく、過活動膀胱、膀胱炎、前立腺肥大、高血圧、糖尿病、心不全、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群、睡眠障害など多彩である。 

 長崎大学の研究グループの報告によると、高食塩摂取群低食塩摂取群に比べて夜間の排尿回数と排尿量がいずれも多く、食塩摂取量は夜間頻尿の独立した増悪因子であることが分かったという。 高齢者の夜間頻尿では、薬物療法として、過活動膀胱では抗コリン薬(ベシケアなど)、前立腺肥大ではα1受容体遮断薬(ユリーフなど)の処方を見ることが多い。 食事中の減塩は、薬物療法の前に、まず実行してみたい生活習慣の改善である。 

 冬は鍋料理など体が温まる濃い味の料理が増え、塩分のとり過ぎになりやすい。 また寒いと、かく汗も少なく、循環血液量が増え、夜間頻尿となりやすい。 夜間頻尿の傾向を認めたら、まずは減塩を実行してみたいものである。

両の手に朝茶を握る寒さかな  杉山杉風
ここに居るはずもないのに冬の夜  臼井昭子
寒けれど二人寝る夜ぞ頼もしき  松尾芭蕉

紫晃サイズ小
冬牡丹 「紫晃」  (2017年2月5日 撮影)

4人に1人は酸蝕症

 酸蝕症(さんしょくしょう)という病名を知る人は意外と少ない。 ということは認知度が低くこれまであまり使われていないからだと思う。 歯の病気であり、酸蝕症に侵された歯を酸蝕歯(さんしょくし)と呼ぶ。 歯の表面は硬いエナメル質で覆われているが、酸性飲食物の過剰摂取や胃食道逆流症、酸性薬剤(アスピリン、ビタミンCなど)の常用などにより、酸がエナメル質を化学的に溶解し、再石灰化のスピードを上回り続けると、やがてその下の組織である象牙質が露出する病気である。 

 酸蝕歯の表面は、次第に平らになり全体的に丸みを帯び、表面の色は白濁したり、黄褐色となり、やがて歯の先端が折れたり、象牙質が露出し、冷水痛咬合痛をきたすことになる。 酸蝕症は歯軋り・咬耗や歯ブラシによる過度のブラッシングなど他の要因と重なると進行が早まる。 細菌が関与していないという点で、虫歯とは異なる。

 疫学調査によると、成人の酸蝕症罹患率は26~29%とされ、4人に1人以上がかかっているという頻度の高い生活習慣病である。 高齢者を調査対象とすれば、罹患率は更に高くなることが確実視される。 

 歯のエナメル質が溶け出す臨界pHは、pH5.5であり、炭酸飲料(コーラ飲料など)、スポーツドリンク、栄養ドリンク、ヨーグルト、酢、ビール、ワイン、日本酒、梅酒、レモン、ミカン類、各種ドレッシングなど、pH5.5以下の酸性飲食物を摂取する場合は長時間口の中に入れず、摂取後は数回お湯や水でうがいして、口の中の酸を洗い流すよう心がけることが予防となる。 また、歯磨きは食後すぐ始める人が多いが、酸の影響が残る食後1時間は待ったほうが理想的とされる。

歯が抜けてあなた頼むもあもあみだ  小林一茶
歯ぎしみの拍子ともなりきりぎりす  小林一茶
金柑は葉越しにたかし朝の霜  芥川龍之介

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食べごろに熟した庭の金柑 (2016年12月24日 撮影)

落としたものを食べる時の「5秒ルール」

 古今東西を問わず、落としたものを拾って食べるときに通用する金科玉条(golden rule)として「5秒ルール」(5-second rule)がある。 私が育った地域は、信州の田舎で、どちらかといえば寒冷地であり、子供の頃は時に食べ物を床に落としても、この「5秒ルール」を使って、すぐ拾えば大丈夫の感覚で、落とした場所にもよるが大抵はすぐ拾って付着した異物を取り除き、拭いたりちょっと洗ったりして食べてしまったものだ。 

 床に落とした食べ物をそのまま食べて本当に安全かといえば、そうでないことは明らかだ。 食べ物を床に落とすと細菌汚染は1秒未満で発生しうるという実験結果が今秋、米国の研究グループにより発表された。

 米国New Jersey州立のラトガーズ大学(Rutgers University)の研究グループ(RC Mirandaら)は、パン、スイカ、グミのキャンディーなど色々な食べ物をセラミックタイル、ステンレススチール、木、絨毯などの面に落下させた。 それぞれの落下面は非病原性のEnterobacter aerogenesというサルモネラ菌に似た細菌で汚染させ、完全に乾燥させたのちに落下実験を行った。

 接触時間が1秒未満、5秒、30秒、300秒に分けて、食物への細菌移行率を調べた結果、細菌移行率は食物と面の接触時間の長さと、食物の水分含有量によって上昇しており、細菌汚染は1秒未満で起こりうることが分かったという。 汚染は食物の水分量に最も影響を受け、汚染リスクはスイカで最大、グミのキャンディーで最小だった。 汚染レベルは木に落とした場合ではばらつきが大きく、絨毯ではタイルやステンレススチールより少ないことが分かったという。 

 スイカやソフトクリームなど水気の多い食品を落とした時は、きっぱりと未練を捨て、食べずに捨てたほうが無難である。

うつくしや年暮れきりし夜の空  小林一茶
山中に沈む鐘の音師走空  井田良江
女を見連れの男を見て師走  高浜虚子
旅寐よし宿は師走の夕月夜  松尾芭蕉

庭のたまがすみ
今年も咲き始めた庭の椿「玉霞」 (2016年12月3日 撮影)

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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