ヒト感染症の70%は動物由来

 国連食糧農業機関はファオ(FAO:Food and Agriculture Organization of the United Nations)とも呼ばれ世界の農林水産業の発展と農村開発に取り組む国連の専門機関の一つである。 本部はローマにあり、1945年に設立された。 ファオは開発途上国を中心に貧困と飢餓に苦しむ人々の栄養水準と生活水準の向上を図ることにより、すべての人々が健康で活発な生活を送れることを目指して活動しているが、同時に知識と情報を蓄積する役目も担っており、食の安全保障(food security) を重要課題として掲げ、国際的な調査に基づいて世界各国へ勧告や提言を行っている。

 ファオは先月(2014年2月)、「1940年以降に、新たに出現した人間の感染症の約70%は動物起源の病原体によるものである」とし、世界各国に感染症予防対策の強化を呼びかけた。 近年、森林伐採や宅地造成などヒトによる環境破壊や愛玩動物(ペット)として飼われる動物が増えた結果、野生動物と人の距離が狭まり、ヒトと動物の接触機会は格段に増えている。

 人と人以外の脊椎動物の両方に感染する病原体による感染症を人獣共通感染症(人畜共通感染症)または動物由来感染症と呼ぶ。 感染している動物との接触やその糞、毛垢などを介して再感染が起きる。 高病原性鳥インフルエンザ、新型肺炎(SARS:重症急性呼吸器症候群)、腸管出血性大腸菌(O157、O26、O111など)食中毒、トキソプラズマ症、E型肝炎、狂犬病、狂牛病(CJD:クロイツフェルト・ヤコブ病)、レプトスピラ症、皮膚真菌症、などが代表例である。

 先月、信州白馬へスキー旅行の帰路、安曇野市にある犀川ダム湖の白鳥湖(写真)へ立ち寄った。 ここでは地元の野鳥の会のボランティア グループが、30年以上にわたり白鳥やカモに1日3回餌づけすることで知られ、この時も200羽以上のコハクチョウとカモが飛来しており、壮観であった。 例年、10月中旬から飛来し始め、越冬し、3月末ごろまでに北方へ帰るという。 近年、地球環境の変化とシベリアでの餌不足のため、北帰行が遅れやすくなっているようだ。 世話人の方から聞いた話では、従来は観察に訪れた見学者にも餌やりに参加してもらっていたが、2008年度から鳥インフルエンザへの懸念があるため、それを中止しているとのことであった。 賢明な取り組みである。

 人間と動物は共存しなければならない。 いかに共存するかは永遠の課題ともいえるが、その時代にふさわしい共存の在り方があると思う。 動物が持っている病原体が人間に移行しないような対策を強化し、よりよい共存の道を開いていきたいものである。


    白鳥の来る沼ひとつ那須野にも        黒田杏子
    太き尻ざぶんと鴨の降りにけり        阿波野青畝
    鴨すべて東へ泳ぐ何かある          森田 峠

  ‘14.2.白鳥湖
 夕刻の白鳥湖 (2014年2月24日撮影)
 
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プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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