リンゴの健康増進効果

 英国の有名なことわざ(格言)に、「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」(An apple a day keeps the doctor away.)がある。 スペインでは「毎日1個のリンゴは医者の費用を節約できる」という。 植物中に存在し健康に好影響を及ぼす天然の化学物質をフィトケミカル(phytochemical)と呼び、ポリフェノール、テルペノイド、有機硫黄化合物などがこれに相当する。 リンゴは主成分のプロシアニジンをはじめとして、カテキン、エピカテキン、ケルセチン、クロロゲン酸、アントシアニン、など多くのポリフェノールを含み、抗老化作用(抗酸化作用)、がん抑制効果、悪玉コレステロール低下作用、血流改善作用、脂肪分解作用(ダイエット効果)、抗アレルギー作用、美肌効果など様々な健康効果を示すことが知られる。 ポリフェノールは光合成によってできる植物の色素や苦味、渋みの成分となる化合物の総称で、5000種類以上あり、分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基をもつ植物成分である。 ブドウのレスベラトロール、お茶のカテキン、ブルーベリーのアントシアニンなどが代表的で、全てのポリフェノールは抗酸化力を持ち、活性酸素から人体や植物を守る働きをもっている。

 リンゴを切って放置すると、リンゴポリフェノールが酸素と結合して茶色に変色する。変色したリンゴをレモン果汁に浸すと、酸素がポリフェノールから離れて色は元に戻る。 りんごポリフェノールの主成分であるプロシアニジンは、カテキンやエピカテキンがいくつか結合した構造をもち、強い抗酸化作用をもつとともにリパーゼ活性を阻害し、脂肪吸収を抑える働きをもつ。 リンゴ100gはビタミンCを4mg含むだけだが、100gのリンゴはビタミンC1500mgに相当する強い抗酸化力をもっている。 リンゴポリフェノールは赤りんごより青リンゴに多く含まれ、果肉より果皮に多いので、農薬の付着が無ければ、皮ごと食べるのがよい。 果皮と果肉には、食物繊維のペクチン(リンゴペクチン)が多く、コレステロール値を下げたり、血糖上昇を抑えたり、腸内善玉菌の増殖に役立つ。

 リンゴの不都合を上げれば、便秘であろう。 便秘はアロエ、粉寒天や寒天食品の摂取、あるいは起床時にコップ一杯の冷水を飲む、などで改善し快便を維持したい。

  最近、英国の医学誌(A.D.M.Briggs et al.:BMJ 2013,12.21)に、「1日1個のリンゴを食べる」のと、近年世界的に使われている「コレステロール降下薬のスタチンを1日1錠内服する」との血管死予防効果を比較した研究結果が発表された。 結果によると、両者ともに死亡率を有意に減らしたが、有害事象はスタチンに多かった。 150年の歴史をもつ「リンゴ格言」は、「スタチンによる近代医療」に勝るとも劣らない効果を発揮したことになったのだから驚きである。 

 リンゴに含まれるトリペルノイドには、大腸、肝臓、乳がんに対する予防効果があるといわれる。 秋から冬はリンゴの季節で種類も多く、上手に選んで、程よく食べて健康増進に役立てたい。 そして「1日1個のリンゴで医者いらず」と、いきたいものだ。

    母が割るかすかながらも林檎の音         飯田龍太
    手で磨く林檎や神も妻も留守            原子公平
    セザンヌの林檎小さき巴里に来て         森尻禮子
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プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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