桑の葉に血糖降下作用

 今月14日(木)は、世界保健機関(WHO)が制定した「世界糖尿病デー」(World Diabetes Day)であった。 WHOと国際糖尿病連合(IDF)が協同で1991年に制定したもので、この日はインスリンの発見でノーベル賞を受賞したカナダの医師、フレデリック・バンティングの誕生日である。 当日は世界各地で、ブルーライトアップを灯す行事が行われ、糖尿病の予防、治療、管理を喚起する啓発運動が展開された。 ブルーライトは全世界が取り組むべき課題として、糖尿病の脅威を認知するよう促す色とされる。 

 世界糖尿病連合によれば、2011年の世界の糖尿病患者は3億6600万人で、2030年には5億5200万人に達すると予想されている。 厚労省の統計では、日本国内の糖尿病とその予備軍は約2210万人で、成人の4人に1人以上に糖尿病のリスクがあるとされる。 日本人は本来、インスリン分泌能が悪く、ちょっとした過食や運動不足が原因の比較的軽度の肥満でも、内臓脂肪肥満となりやすく、糖尿病を発症しやすい人種である。

 糖尿病による世界の年間死者数は、380万人以上に達し、10秒に1人が糖尿病に関連した疾患で死亡している。 これはAIDSによる死者数と同程度である。

 昭和薬大の研究グループ(小野寺敏准教授ら)による最近の研究では、カイコが食べる桑の葉に血糖値の上昇を抑える成分(1-デオキシノジリマイシン)があり、食事の際に「桑茶」を飲み続けると糖尿病の予防になるという。 飲んですぐ劇的効果はないが、飲み続けると確実な効果が期待できるという。 糖尿病や予備軍の人は試してみる価値がありそうだ。 

 私が子供の頃は養蚕業が盛んで故郷の信州佐久地方では、いたるところ桑畑が広がっていた。 桑は青紫色の実をつけるので、大粒の実を摘んで食べるのも楽しみの一つであった。 養蚕業の衰退とともに桑畑も消え、昨今は桑に出くわすことはまれである。 ここにきて桑栽培が見直される時代が再来するかもしれない。

 パキスタン北部のフンザ、旧ソ連のカフカス(コーカサス)地方、およびエクアドル南部のビルカバンバは、世界三大長寿地域として知られる。 フンザでは、アンズをよく食べ、イスラム教国でありながら桑の実で造った酒をたしなむ地域として知られ、カフカスはケフィアと呼ばれる乳製品で有名である。 ケフィアはカフカス地方で2000年以上も前から飲まれ続けている発酵乳で、一般のヨーグルトが乳酸菌やビフィズス菌のみで発酵させる単独発酵で作るのに対し、ケフィアは乳酸菌と酵母によって複合発酵(共生発酵)させて作る。 いずれの地域も粗食で知られる。 桑の葉や桑の実に注目したいと思う。


 桑の実に顔染む女童にくからず      飯田蛇笏
 君が手もまじるなるべし花すすき     向井去来
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中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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