褐色脂肪細胞の強化で肥満防止を

 特別たくさん食べていないのに年齢とともに体重が増えてしまう人が多い。 食べすぎればなおさらで、活動量が減れば筋肉量が減り、筋肉脂肪と内臓脂肪が増える。 サルコペニア肥満と呼ばれ、転倒や高血圧、糖尿病のリスクが高くなる。  これは生命活動を維持するために必要最低限のエネルギー消費である基礎代謝が加齢とともにほぼ直線的に減少するからである。 静止状態のエネルギー消費量を40歳代と50歳代を比べてみても、50歳代では、1日当たり40~70Kcalも低下するのだ。 なお、サルコはギリシャ語で筋肉、ペニアは喪失を意味する。

 人間の脂肪細胞には、余ったエネルギーを中性脂肪の形で貯蔵する白色脂肪細胞と、カロリー燃焼工場ともいえるミトコンドリアが豊富でミトコンドリア内膜にあるUCP-1の作用を介して、脂肪酸を燃焼させ、熱産生を行い、エネルギー消費を誘導する褐色脂肪細胞の2つがある。 白色脂肪細胞はカロリーを溜め込み大型化し、肥満や生活習慣病を引き起こす元凶となるが、褐色脂肪細胞はカロリーを燃焼させ、代謝を高め、太りにくい体質にする善玉脂肪である。 健常成人では体脂肪量と褐色脂肪組織量は逆相関し、体脂肪量が多い人ほど褐色脂肪組織量は少なくなる。 また褐色脂肪細胞は新生児の体温維持に働き、新生児期の量は約100gで、これを100%とすると、20歳代で55%、40歳代で25%、50歳代で10%と加齢とともに激減する。 結果として低代謝化が進み、熱産生が減ってしまうことになる。 

 PET-CT検査で、全身の褐色脂肪組織の分布をみると、成人では首の後ろ肩甲骨の周囲脇の下心臓・腎臓の周囲に多く存在し、少数ながら全身にも散在する。

 トウガラシには体温を上昇させる働きがあるが、その辛み成分のカプサイシン、非辛味成分のカプシエイトは、ともに交感神経を活性化し、褐色脂肪細胞の脂肪酸燃焼を盛んにする作用をもつ。 カプサイシンの大量摂取は大脳辺縁系に悪影響を及ぼすので、過剰摂取は控えるべきである。 辛味のないカプシエイトはアルカロイド化合物の一つで、新種のトウガラシである「CH-19甘」の天然成分で、胃腸への負担が少なく、血圧への影響もないため、近年注目の抗肥満素材である。 最近の研究によると、定期的な運動習慣は、白色脂肪細胞径や数の減少をもたらすのみならず、成熟した白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞へ分化させる可能性も指摘されている。いわゆる白色細胞の褐色化(ベージュ細胞)である。 

 褐色脂肪細胞は18℃以下の低温で活性化しやすいので、入浴時には首、肩、脇の下を冷水シャワーしたり、クーリング後に首、背中、脇の下の運動を加えると効果的である。 長期寒冷刺激は、褐色脂肪細胞を活性化するので、スキーなどウインタースポーツは、下半身の筋肉率をアップし、基礎代謝を上げるのに理想的な運動といえる。 食事では、トウガラシ、ニンニク、コーヒーなど代謝アップ成分を含む食材を上手に使い、楽しく食べて太り過ぎないようにしたいものだ。 

また一人暮雪にかへりスキー脱ぐ        水原秋桜子
ころび方褒められもしてスキーかな        中島 葵
ダイエット成功衣更へにけり           花岡明美
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中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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