税金で一番滞納が多いのは消費税の怪

 決められた税金を支払うのは、その国に生きる国民の義務である。 しからば税制は公平でなければならず、また税金は納税する資金が十分あるところからとり、ないところからはとらないのが原則である。 資金に余裕がないことを知る一つの指標は滞納税額である。 

 国税庁統計年報書をみると、2009年、2010年、及び2011年における消費税の滞納税額は、それぞれ3741億円、3398億円、及び3220億円となっており、源泉所得税、申告所得税、法人税、相続税などを含めたすべての税の滞納額に占める消費税滞納額の割合は、それぞれ50.0%、49.7%、及び53.0%であり、各種税金の中で消費税の滞納が最も大きい。 これは多くの人にとって驚きであると思う。 なぜなら「消費税は我々消費者がモノを買う時に支払う間接税で、滞納などはありえない」と思っている人が多いからだ。

 参考までに2011年の新規滞納税額を税目別にみると、多い順に消費税3220億円、申告所得税1233億円、法人税736億円、源泉所得税593億円、相続税277億円及びその他10億円であり、消費税の滞納が全体の約半分を占めている。 

 言うまでもなく、消費税は物品やサービスなどの消費に対し課される間接税の一種で、車取得税、ガソリン税、酒税、たばこ税など特定物品への個別消費税一般消費税とがある。 1954年に一般消費税が世界で初めてフランスで導入されて以来、ヨーロッパの主要国で広がり、現在では世界の多くの国で導入されている。 日本では約10年の論議を経て、1989年に竹下内閣時、税率3%で導入され、1997年に5%(うち1%は地方税)に引き上げられて現在に至っている。 今後は2014年4月に8%、2015年10月には10%までの引き上げが決まっている。 2012年の当初予算では、国の税収の約24%を消費税が占めている。

 日本の一般消費税は、米国の小売売上税(Sales tax)と違い、事業者(小売店)を納税義務者とし、納税額は1年間の売上額に5%をかけた金額から、1年間に支払った仕入れに5%をかけた金額を差し引いた額を納付することになっている。 すなわち本則課税の場合、納税額の算出は{課税売上高ー課税仕入高}× 5% となる。 事業者が自らの決算で赤字を出しても、納税額を生じる可能性があるため滞納が発生しやすいことになる。 強制的に支払われた消費税が、一部とはいえ途中で消えて国庫に納められていない現実をみると日本の消費税法は欠陥制度といわざるをえない。 

 米国の消費税は文字通り小売売上税で、消費者(顧客)が商品を買う時に税金(州税)を支払い、小売店はその税金をそのまま預かり、1ケ月まとめて州当局に納付する。 事業者は単なる徴収人にすぎないのだ。 これなら極めて透明性の高い間接税といえる。
 
 一般に滞納の多い税金は悪税といわれるが、日本の消費税はその税率だけでなく、徴収の仕組みについても再考の余地があるように思う。
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プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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