認知症対策は国民的課題

 超高齢社会を迎えて、これから認知症患者が年々増えることが予想されている。 亡くなった米国のレーガン元大統領や英国のサッチャー元首相も晩年この病気に悩まされている。 平均寿命が40数年だった100年前には全く問題とならなかった病気である。 厚労省推計によると、我が国の認知症高齢者の人数は2005年の約205万人から、2015年には1.5倍の302万人、2035年には2.2倍の約445万人になる。 認知症になると、やがて自分の娘や息子に会っても顔が判らず、記憶障害だけでなく、種々の行動異常精神障害を起こし、介護なしでは日常生活を送ることができなくなる。

 国は急増しつつある認知症対策として、本年4月の新年度より「認知症施策推進5カ年計画」(オレンジプラン)をスタートさせた。 これはこのまま高齢化が進行すると、現状の病院や介護施設、在宅サービスなどの対応では応じきれなくなるためで、施設が中心だったこれまでの施策を大きく転換し、施設ではなく、そのまま居宅して住み慣れた家で暮らし続ける「在宅ケア中心」に変えるものである。 

 初年度の2013年にはまずモデル事業として、全国に約10か所の「認知症初期集中支援チーム」を新設し、ナースや作業療法士を直接、家庭訪問させて、対処方法などを説明できる体制をつくる。 さらに認知症を早期に診断する医療機関を5年間で500か所整備することとしている。

 認知症は全体の約50%がアルツハイマー型認知症で最も多く、次いで脳血管性認知症レビー小体型認知症がそれぞれ約20%を占める。 

 アルツハイマー型認知症の主因は、脳内にアミロイドβという異常たんぱく質が蓄積するためだが、これを分解する酵素のネプリライシン活性の高い人は、当然認知症にはなりにくい。 定期的な運動習慣はネプリライシン活性を高めるとされる。 また神経ペプチドの一種であるソマトスタチンには、ネプリライシン活性を高める作用があるとされ近年、注目の的である。 最近、理化学研究所と自治医科大学などの共同研究チームは、ネプリライシンを作る遺伝子を脳に運ぶウイルスを開発し、この遺伝子をもったウイルスを、実験的に作成したアルツハイマー病のマウスの血管内に注射したところ、脳内のアミロイドβが35%減少し、学習・記憶能力が通常のマウスのレベルまで回復したと発表した。 この方法が安全で、人でも実施可能になれば、認知症の治療は現行より大きく前進することになる。 現在使われている治療薬は、いずれも進行を遅らせる程度の効果しかなく、根本的治療薬ではないからだ。 

 予防、診断、治療、ケア、リハビリを含めて、認知症対策は現在、大きな国民的課題であり、決して他人事ではない。

   小鳥来て何やら楽しもの忘れ            星野立子
   あなただあれなどと母いふ暑さかな         竹内 立
   生も死もたつた一文字小鳥来る           石寒太
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コメント

No title

認知症は几帳面で頭の良い人がなりやすいと聞きましたが…

それなら私は 安心かな…なんて思っていますが
最近よくいろんな事直ぐ忘れます…これって…(汗

Re: No title

> 認知症は几帳面で頭の良い人がなりやすいと聞きましたが…
>
実際に見ると、性格や頭の良さとは関係ないように思いますが、さてどうでしょうか。
> それなら私は 安心かな…なんて思っていますが

 歳をとっても、仕事の第一線を引退しても、新しいことに挑戦し、創造的なことに取り組むヒトには少ないようです。 高齢になっても意欲的な芸術家には認知症は無縁かもです (*^。^*)
> 最近よくいろんな事直ぐ忘れます…これって…(汗

 単なる物忘れなら、だれにもありますが、異常に多いと感じたら「軽度認知障害」(MCI)の可能性がありますので、その場合は、やはり検査となります。 認知機能検査は比較的簡単なものから、本格的なものまでいろいろあります。 PCで検索すれば簡単に入手できるはずです。 心配な時には挑戦してみましょう。

No title

認知症は誰しも避けたい病気だと思います。完全に予防することは難しい
かもしれませんが、今出来ることは生活習慣に気をつけ、人とのコミニケーションを大切にしたいと思います。よく話し、よく笑い、大声で歌う。

私はクイズが好きなので、テレビのクイズ番組はほとんど見ています。また新聞のクロスワード、漢字の間違い探しなどに挑戦しています。明日の日曜日はクイズがあるので、新聞が来るのが楽しみです。

地域のなかで人と話していると、ちょっときてるかなと思う人もいますが、
その人の話をしっかり聴き、共感するようにしようと思います。いつするの。今でしょ。(*^_^*)明日の自分でもあるのだから。

Re: No title

> 認知症は誰しも避けたい病気だと思います。完全に予防することは難しい
> かもしれませんが、今出来ることは生活習慣に気をつけ、人とのコミニケーションを大切にしたいと思います。よく話し、よく笑い、大声で歌う。

立派な心がけですね。 生活習慣では、特に血管病ともいわれる糖尿病の予防に気をつけたいです。
>
> 私はクイズが好きなので、テレビのクイズ番組はほとんど見ています。また新聞のクロスワード、漢字の間違い探しなどに挑戦しています。明日の日曜日はクイズがあるので、新聞が来るのが楽しみです。

 体も頭も、生きている間はいつも積極的に使うように心がけたいです。 怠け癖はいけません。特に加齢とともに体は動きにくくなるので、人それぞれ工夫が必要になりますね。                   > 地域のなかで人と話していると、ちょっときてるかなと思う人もいますが、
> その人の話をしっかり聴き、共感するようにしようと思います。いつするの。今でしょ。(*^_^*)明日の自分でもあるのだから。

 傾聴、共感は認知症ケアの基本となるので余裕をもって対応したいものです。周りの人がひろい心と余裕をもっていないと、良いケアはできないので、心したいです。 
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プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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