種ジャガイモを植え付ける

 冬の畑作は草取りぐらいに注意するだけで、この時期は確かに農閑期である。 これという大きな仕事はないのだが、忘れてならないのが、種ジャガイモの植え付けである。 昨年、収穫したジャガイモが芽を伸ばし始めるこの時期、2月中旬から3月は植え付けの適期なのだ。 先週末の日曜日(2/17)は天気もよく、思い立って近くの園芸店へ行ってみた。 10種類近くのタネ芋が並んでいる。 「男爵」と、新種だという「インカのルージュ」の2品種を手に入れ、畑を耕し畝を3つ作って植え付けした。 折よく翌日は雨となり、暦の上でも雨水であった。 6~7月には収穫となる。

 ジャガイモ(英名 Potato)は南米のアンデス山脈からメキシコに至る標高3000~4000メートル級の高地が原産地である。 ナス科ナス属の植物に属し、肥大した地下茎を食べる。 スペイン人が1540年頃、インカ遠征の際にヨーロッパに持ち帰り、当初はジャガイモの花を貴族の婦人たちが愛でていたとされる。  食用として本格的に栽培されたのは1600年頃である。 スペイン船で運搬中、船内で芽が出たものを食べて食あたりし、見た目の悪さも手伝って、「悪魔の植物」と呼ばれたというエピソードがある。 芽や緑化した塊茎には、ソラニンなどポテトグリコアルカロイドの毒性成分が含まれ、中毒の元となる。 高冷地アンデスでも育つジャガイモはドイツやポーランドなど冷涼な地域では特に重要な農作物となった。

 日本への伝来は、1600年頃、オランダ人が東洋貿易の拠点としていたインドネシア、ジャワ島のジャガトラ(ジャカルタ)から長崎の出島へ持ち込んだのが最初で、ジャワの「ジャガトラ(ジャカルタ)イモ}が詰まって「ジャガイモ}になったいわれる。当時は観賞用として栽培されたようだ。 ジャガイモを馬鈴薯と呼んだのは江戸時代の小野蘭山で、中国の古本に記載があり、形が馬の首に付ける鈴に似ていたためとされる。小野蘭山(1729-1810)は日本の本草学を大成した江戸中期~後期の本草学者で、江戸の「クスリハンター」ともいわれた人である。

 ジャガイモは品種改良が盛んで、今や品種は世界で2000種類に達すると言われる。 日本では男爵メークイン(May queen)の2大品種の栽培が中心だが、近年、キタアカリ、ホッカイコガネ、デジマ、インカのめざめ・ひとみなど約20種類が栽培されている。

 ジャガイモは加熱処理して食べるほか、でんぷん原料として片栗粉やウォッカ、焼酎など酒造にも利用される。 カレー、シチュー、肉じゃがなどには煮崩れしにくいメークインが適し、サラダ、ふかしイモ、ポテトフライにはホクホク感の男爵が勝る。 ドイツ人のジャガイモ好きは有名で、「ジャガイモのレシピを200種類以上覚えていないとお嫁にいけない」と、まことしやかにいわれるそうである。

 ジャガイモはでんぷんを主成分とする穀物の一面をもつ一方で、ビタミン(C,B1,B2,B6,ナイアシンなど)、ミネラル(K,Mg,Zn,Ca,P,Fe、モリブデンなど)、および食物繊維を豊富に含む野菜としての一面がある。 ジャガイモ(蒸し)の食物繊維は、サツマイモには及ばないが、、水溶性と不溶性を合わせて100g当たり1.8gで、白米(炊飯)の6倍も多く含んでいる。 冷凍と解凍の繰り返しで徐々に乾燥させたジャガイモは「チューニョ」と呼ばれ、ペルーやボリビアの高地で保存食として利用される。 日本でも寒冷地の外気温で冷凍し踏みつけることを繰り返し、保存性を高めた「しみいも」や「ちぢみいも」があり、こうすることで食物繊維含有量を増やすことができる。 ジャガイモは目的に応じて工夫が効く、利用価値の高い便利な根菜である。

 種薯のこのあえかなる芽を信じ     山口青邨
 じゃが芋の芽ほどの毒はあってよし   小宮美奈子
 まな板の上でジャガイモ笑窪見せ    関根信八
 馬鈴薯のアンデス恋いて花ざかり    宇佐見美保
 新じゃがのほのかな香りに母の味    福島正純
 あつあつの新ジャガ口で逃げまわり   片田加代子
 

 
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コメント

No title

ビャガイモ大好きですね、ポテサラ、
肉ジャガ特に好きでよく作りますよ^^
家には常に男爵と玉ネギは あります。

今、家のジャガイモは芽を出しています^^:

Re: No title

> 家には常に男爵と玉ネギは あります。
> 我が家も同じです。 貯蔵に苦労していますが。
> 今、家のジャガイモは芽を出しています^^:
 馬鈴薯もタマネギ(一部)も芽を出し始めました。
 ジャガイモの芽には注意しましょう。 でも春を感じますね。もう春だ。
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プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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