蚊が媒介する病気の世界的流行

 気象庁は、日本の2012年9月の平均気温が平年を1.92度上回り、1898年の統計開始以来、観測史上最高だったと発表した。これは日本の東海上で太平洋高気圧の勢力が非常に強かったためで、特に北日本では、平年より3度以上高かったという。

 暑いと多くなるのはである。 朝夕、鉢物の植物や緑のカーテンとなったゴーヤなどへの水やりで庭に出ると、素肌の腕や足を狙う蚊に刺されての仕事となる。 素早く叩くが、すでに血を吸われていることも稀ではない。

 国立感染症研究所の調査によると、今年は東南アジアでデング熱に感染して帰国する人が増えており、9月23日現在で146例に達し、昨年同期の2倍強となり、まだ増えているという。 デング熱はウイルスをもったヤブ蚊に刺されて感染し、発症すると高熱、頭痛、関節痛に加えて風疹に似た発疹が胸部、四肢、顔などに出る。重症ではショック状態となり死亡例もある。今年になりフィリピンで8万7000人、ベトナムで3万6000人などカンボジア、インドなどを含め東南アジア6カ国で18万人近い感染が報告されている。予防用のワクチンはなく、海外の流行地では特に蚊に刺されない工夫が大切だ。

 今夏、ケニアでサファリした時に泊ったサバンナのロッジでは、どこでもベッドの周りに蚊帳がつるしてあり、はるか昔の田舎で暮らした子供時代を思い出させる情景であった。

 今年、米国では8月から9月にかけて南部のテキサス州を中心に、蚊がウイルスを媒介するウエストナイル熱の感染者が急増し、9月初めの時点で感染者は2000人に達し、死者は87人になったという。原因は8月に上陸したハリケーンの影響で水溜りが増え、南部を中心に蚊が増えたことで、テキサス州では過去最大の流行となったようだ。ワクチンはない。ウイルスをもったカラスやカモメを刺した蚊に刺されると感染し、発症すると発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、胸背部の発疹などがみられる。発症者の約半数が脳炎(ウエストナイル脳炎)を合併しているといい、殺虫剤の空中散布で蚊の退治を行っている。

 日本では、熊本県に住む73歳の男性が、今年全国で初めて日本脳炎ウイルスに感染し、9月5日に入院、28日に日本脳炎と診断されたと発表された。 日本脳炎も蚊を媒介して人に感染するが、人から人への感染はない。感染者の発症率は0.1%~1%と推定され、多くは感染しても発症しない不顕性感染である。発症率は低いが、発症すると重症ではけいれん、意識障害を来し、致死率は20%と高く、半数以上に麻痺などの後遺症を残すことになる。 日本脳炎のワクチン接種は一時期、接種後の副作用問題で中断されたが、新しいワクチンが開発され、現在は通常通り接種が受けられるので、母子健康手帳を確認し、確実に接種することが望ましい。 接種は3歳で2回、4歳で1回、9歳で1回、の合計4回である。今年小学2年~4年生の生徒は接種不足となっている可能性大なので、厚労省はワクチン接種を完結するよう注意を呼び掛けている。

 ウイルスを少々もった蚊に刺されても、簡単には発症しない免疫力の高い強靭な体を日頃から作るよう努めることも大切である。
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中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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