笑う門には福来る

 古来、「笑う門には福来る」(Fortune comes in by a mercy gate.) という。 よく笑うと、NK細胞など免疫細胞が活性化されて感染症や癌に罹りにくくなるといわれて久しい。 平成27年における日本人の死因の第1位 がん、第2位 心疾患、第3位 肺炎、第4位 脳血管疾患、となっており、平成25年に肺炎が脳血管疾患を抜いて第3位となって以来、肺炎が第3位を維持している。 かくて近年高齢者の死因として肺炎の重要性が高まっているが、これは嚥下機能の低下による誤嚥を原因とするものが主体で、70歳以上にみられる高齢者肺炎の7割以上を誤嚥性肺炎が占めている。 口を最大限開けて発音する「アイウベ」運動などが予防運動として推奨され、普及しつつある。

 高齢になっても食べ物をよく噛んで、正しく呑み込む嚥下機能を良好に保つことは、健康長寿達成への近道として重要性を増しているこの頃である。 最近、大阪大学の研究グループ(公衆衛生学:丸尾歩氏ら)の発表によると、笑う頻度が高い人ほど嚥下機能が良好に保たれていることが判明したという。

 この研究は多地域コホート研究の一環として行われ、65歳以上の健診受診者810人(男性357名、女性453名)について笑う頻度を、「ほぼ毎日」、「週に1~5回」、「月に1~3回」、「ほとんどない(週1回未満)」の4グループに分け、嚥下機能について「半年前に比べて硬いものが食べにくくなったか」と、「お茶や汁物等でむせることがあるか」の2つを質問したものである。 平均追跡期間は3.2年で、期間中に234名(29%)に嚥下機能の低下を認め、笑う頻度が「週1回未満」のグループは、「ほぼ毎日」のグループに比べ嚥下機能低下のリスクが有意に高かったという。

 折から、日本老年歯科医学会は高齢期の新疾患概念として、「口腔機能低下症」を決め、その疾患概念と診断基準を先月公表した。 新たな病名を使うことで、歯周病や歯の欠損に対する治療にとどまらず、咀嚼や嚥下を含めた口腔機能の低下に対して総合的に対処し、早期に治療できる体制確立を目指すという。 時を得た試みだと思う。

打ちあげて笑顔のならぶ初芝居  松本幸四郎
初笑ひ誘ふ子役の名演技  仁平則子
初笑ひ孫の白き歯光りをり  笹原紀世子
福少し引寄せてをり初笑  稲畑汀子

庭の菊を玄関へ
庭の一角で咲いた菊を刈って居間へ生ける (2016年晩秋 撮影)

 
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プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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