高尿酸血症の功罪

 40歳を超えると、特に病気をもたなくても健診として年に一度採血検査を受ける人が多い。 検査項目の一つに尿酸がある。 血液中の尿酸は、細胞の中にある核酸(RNA,DNA)の構成分であるプリン体が体内の肝臓で分解されて作られるものが80%で、鶏のレバーや煮干しなど食品中のプリン体から作られるものが20%を占め、産生と尿や便への排泄のバランスにより一定量に保たれている。 過激な運動でエネルギー消費が急増すると、エネルギー源となるATPが増えるので、プリン体の原料となり尿酸が増える原因となる。 

 男女とも血中の尿酸値が7mg/dl以上の場合を高尿酸血症という。 女性ホルモンのエストロゲンには尿酸の尿中への排泄を促す作用があるので、血中尿酸値は一般に男性の方が女性より高いが、女性も閉経すると上昇することが多い。 尿酸は水に溶けにくく、7mg/dlを超えると一部が結晶化し腎臓や関節、血管壁などに沈着し尿路結石、痛風、腎障害、動脈硬化などのリスクを高めるので、7mg/dl以下を保つことが望ましい。 日本人の成人男性は、30歳以降では高尿酸血症の頻度が30%と推定され、30歳以上男性の痛風有病率は1%を超えており、なお増えつつあるのが現状である。

 尿酸値を上げすぎない生活習慣として、ABC(A:アルコール、B:美味、C:カロリー)を控えることが有効である。 アルコールは尿酸の腎からの排泄を障害する作用と、産生を増やす作用がある。 プリン体は旨み成分であり、肉やレバー、魚の干し物などを摂りすぎないことが大事だ。 アルカリ食品の摂取は尿への尿酸排泄を促すので野菜、海藻、キノコなどは積極的に摂取したい。 PA-3乳酸菌は腸内でプリン体を食べて自分の栄養とし、プリン体の腸吸収を減らすので、PA-3乳酸菌入りのヨーグルトは利用価値がある。 生活習慣と痛風に関するコホート研究によると、コーヒー摂取量が多い、乳製品摂取量が多い、モズクをよく食べる、などは、痛風発症を低下させ、反面アルコール摂取量が多い、肉類摂取量が多い、砂糖入りソフトドリンクの摂取量が多い、などは痛風発症を増加させる。 

 さて、尿酸にはビタミンCより強力な抗酸化作用があり、人が長寿を達成するには抗酸化物質が不可欠である。 ヒトの寿命がほかの哺乳動物に比べ長寿を達成できるのは血中に尿酸が多いためとも考えられる。 最近の研究報告によると、血中尿酸値が6.3~9.0mg/dlの最も高い群は、4.9mg/dl未満の最も低い群に比べ、パーキンソン病の発症リスクが約40%低かったという。  また最近実施された、血液透析患者22万人超の大規模観察研究で、血清尿酸値が低いほど高死亡率(全死亡および血管死亡)を示すことが明らかにされた。 私が勤務する老健施設でも要介護と認定され、虚弱もしくはフレイルで入所する高齢者に、3mg/dl以下の低尿酸血症を認めるケースは少なくない。 血中尿酸値は、多すぎず、少なすぎず、がよいようだ。  

目の前をよぎりし蝶のもう遥か   星野高士
初蝶来何色と問う黄と答ふ   高浜虚子
洞窟はモンシロチョウを放しけり  松原永名子
植え込みに初アゲハ来し朝日浴ぶ  中島澄夫

アゲハ2
我が家の玄関に飛来した今年の初アゲハ蝶 (2016年4月9日 撮影)

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中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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