ツバメの難行苦行

 私が勤務する老人保健施設 和合の里の正面玄関付近の軒下には、毎年春になるとツバメがいくつか巣をつくり子育てをする。 今年は最初に作られたツバメの巣がスズメに壊され、困ったツバメは別のところに巣をつくり、今はじっと巣にこもり卵を抱いている日々である。 元気な雛が顔を出す日も遠くはない。 スズメがツバメの巣を壊すのは初めて見たが、決して珍しいことではないらしい。 スズメはツバメに比べて極端に不器用で、巣作りが下手なため、うらやましくなってちょっかいを出してツバメの巣を壊すが、ツバメの巣を利用することはないようだ。

 一般にツバメは人家や店舗の軒下の壁など人の出入りの多い場所に巣を作るが、スズメは人を嫌うので、人目のつきにくい屋根の瓦の隙間などに巣を作る。 だが近年、屋根に隙間が少なくなり、スズメの繁殖に適した場所が減り、スズメにとっては逆境である。

 ツバメは古来より果菜類の害虫やシロアリを餌にする益鳥として人間に親しまれ珍重、大事にされてきた歴史がある一方で、スズメは農作物を荒らす害鳥として追われる立場にあったため、人間が接近すると一目散に逃げ、人目を避ける習性をもつ。 

 ツバメが人間の近くに営巣するのは、人を信頼してガードマン代わりに利用し、カラスやスズメ、ネコ、ヘビなどの天敵から大事な卵や雛を守ることができるためであると考えれば納得できる。

 千葉県にある山階鳥類研究所が全国のツバメの巣を調べた結果、13都県の巣から福島第一原発事故で放出された放射性セシウム(半減期:約30年)が検出されたと、先日公表された。 北は宮城県、山形県、南は静岡県まで広範囲に及ぶ。 セシウムの平均濃度(ベクレル/kg)は、福島県で7500、千葉県で3200、静岡県で350であった。 ツバメの巣はその地域の土やわらで作られており、セシウムが広範囲の土壌を汚染していることの証である。  ツバメは口で土を運ぶので、ツバメの生態への影響が懸念される。 繁殖状況などへの影響が、今後大きくないことを祈りたいものである。

初燕一筆書きで巣にもどる   岡田芳べえ
軒燕ジッと巣の中動きなし   中島澄夫
店じまひしたる米屋の燕の巣  塩谷康子

 庭のアジサイ
梅雨入りの我が家の庭を彩るアジサイ(2015年6月7日撮影)
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プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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