お酒の友はトマト

 アサヒビールとカゴメの最近の共同研究によれば、お酒を飲むときにトマトを食べるか、トマトジュースを一緒に飲むと酔いの回りが穏やかになり、酔いざめも早くなることが実証されたという。

 実験では20~40歳代の男性12人を被験者とし、焼酎100mlとトマトジュース缶(160ml)3本を同時に飲んだ場合、対象として焼酎とジュースと同量の水を飲んだ場合と比べ、血中のアルコール濃度は平均3割低く、血中からアルコールが消失する時間も約90分早まった。トマトはジュースで飲んでも、トマトをそのまま食べても効果は同じだった。 トマトがアルコール脱水素酵素を活性化させ、アルコールを速やかに分解させたことによる結果である。

 人間がアルコールを経口摂取すると、約20%は胃から、約80%は小腸から吸収される。血液中に入ったアルコールは肝臓に運ばれてアルコール脱水素酵素によって分解され、有毒のアセトアルデヒドとなる。飲んだ後に赤ら顔となったり吐き気,嘔吐、頭痛、動悸などを起こすのは軽いアセトアルデヒド中毒の症状であり、アセトアルデヒドを速やかに分解して無害の酢酸に変えるのがアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)である(参照)。ALDHにはGGタイプ、AGタイプ、AAタイプという3つの遺伝子多型があり、AGタイプはGGタイプに比べ代謝能力が1/16しかなく、AAタイプはゼロである。遺伝子多型は生まれつきの体質であり、人種差を認める。 GGタイプの人は酒に強い人(酒豪)、AGタイプの人は酒に弱い人、AAタイプは酒を飲めない人(下戸)となる。体重60kgの人が1時間で処理できるアルコール量は約7gとされ、GGタイプの人で飲酒の適量は日本酒で180ml、ビールで500ml、ワインで200mlであり、これらのアルコール量はそれぞれ21gとなり、3時間で処理できる量である。

 白人(コーカソイド)や黒人(ネグロイド)は、全てGGタイプで酒に強いタイプであるが、AGタイプとAAタイプはモンゴロイド(東洋人)のみにみられ、それぞれ45%と5%の出現率である。お酒を飲んで顔がすぐ真っ赤になる現象はモンゴロイドに多くみられるため、Oriental Flush (東洋人の赤面)と呼ばれる。

 トマトは赤色色素カロテノイドの一つであるリコペンという強力な抗酸化物質を含むが、トマトのどの成分がアルコール脱水素酵素を活性化させるのか今後の研究成果が待たれる。昨日、日本のかずさDNA研究所を含む14カ国の研究チームがトマトの全遺伝情報(ゲノム)の解読に成功したと報道された。約3万5千個の遺伝子の位置や構造が明らかとなり、今後、より高栄養性の品種が開発される期待も高まってきた。

 徒然草の作者である兼好法師はアルコールについて「百薬の長とは云えど、万の病は酒よりこそ起これ」と書き、過度の飲酒を戒めている。 飲酒の強要は罪である。 お酒は他人にすすめるものではなく、自分のペースで自らの責任で飲むものだということを肝に銘じたいものだ。 

 お酒は飲み方次第で益にもなり、害にもなるが、トマトの同時摂取は急性中毒や悪酔い、二日酔いを避ける有力手段の一つとして、我々東洋人にとって心得ておきたい知恵である。
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まとめtyaiました【お酒の友はトマト】

 アサヒビールとカゴメの最近の共同研究によれば、お酒を飲むときにトマトを食べるか、トマトジュースを一緒に飲むと酔いの回りが穏やかになり、酔いざめも早くなることが実証され...

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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