便移植への期待

 大便は汚いものとして今では捨てられる運命にあるが、我々が子供のころには戦中戦後で化学肥料も不足し、農業用肥料として使われていたものだ。 最近になり、便が難治性の病気の治療材料となる可能性が高まり、難病患者への「便移植」として注目されつつある。

 今年8月にシカゴで開催されたアメリカ消化器学会では、「便移植」(FMT:fecal microbiota transplantation)が、メインテーマの一つであった。 これは健康な人の便中にある腸内微生物(善玉菌)を難治性の腸疾患患者へ移植する治療法である。

 便移植はすでに再発性のC.difficile感染症への有効性が証明されており、難治性の過敏性腸症候群の約70%に症状の消失または改善があったとする報告もある。 便は不潔だとする先入観が、研究の進展を阻害する要因ではあるが、無用の便が命を救う手段となるなら、その意義は大きいものがある。

 便移植の炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病などに対する有効性が検証されつつあり、今後の研究の発展が大いに期待されるところだ。

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中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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