脱法ハーブの危険性

 若者が脱法ハーブを吸って車を暴走させ、交通事故を起こす事件が多発している。 政府は薬物乱用対策推進会議でこれまでの規制の在り方を見直し、警察と協力して販売店の取り締まりを強化する方針を明らかにした。 脱法ハーブ(quasi-legal herbs)とは、幻覚・興奮症状などを起こす合成カンナビノイド(synthetic cannabinoid)を人工的に添加したハーブの破片で、乾燥させた葉っぱや茎などの植物片に吹き付けてつくる。 タバコと同様、煙を吸って使うが、覚せい剤や大麻に似た幻覚や興奮作用楽しむ目的で使用されるが、意識障害や筋肉けいれん、呼吸困難などを起こし救急搬送されたり、意識レベル低下のまま自動車を運転し、人を死傷させる交通事故が急増している。 

 合法の大麻として2004年ヨーロッパ(英国、ドイツ、スイスなど)で最初に流通した製品は「スパイス」と呼ばれ、英語圏ではK2,偽大麻(fake pot)などとも呼ばれる。 薬物の構造を少し変えれば、薬事法の規制対象外となり、「合法ハーブ」とか「合法アロマリキッド」、「お香」などの名前で流通する。 とくに近年、都市部では販売店が増えているようだ。

 日本では店頭やネットで販売され、2010年より流通が急増した。 厚労省研究班の調査によれば、2012年の救急搬送患者の数は、前年の10倍になったという。 年代別では、20~30才代が全体の80%を占めている。 愛知県では脱法ハーブの自販機が押収されたこともある。 脱法ハーブに代表される脱法ドラッグの毒性の詳細はまだよくわかっていない。 2010年に米国で発表された合成カンナビノイドによる中毒症状には、1)頻脈、2)興奮、3)嘔吐、4)精神錯乱、5)悪心、6)幻覚・妄想、7)高血圧、などがリストアップされている。 厚労省研究班が全国の精神科病床のある医療施設で治療を受けた脱法ドラッグ使用患者に対する調査によると、幻覚・妄想症状の出現率は45%に上り、覚せい剤における出現率の34.1%をはるかに凌いでいたという。 依存症の人も増えており、常用者は刺激を求めて、さらに強い脱法ハーブに手を出しがちである。 重症例では、肝障害、腎障害、横紋筋融解症をきたし、生命を危機に陥れることもあるとされる。 脱法ハーブは、覚せい剤に勝るとも劣らない危険性をもつことを我々は認識する必要がある。

 厚生労働省と警察庁は7月3日、「脱法」という呼称があたかも危険性がないような誤解を与えかねないので、「脱法ハーブ」や「脱法ドラッグ」が危険な薬物であることを容易に認識できるような新たな名称を募集すると発表した。 脱法ハーブの危険性を啓発するとともに、販売店の実態を正確に把握し、販売や使用の規制を強化するときである。 

  梅雨空にハーブの香りいずこから          中島澄夫
  芍薬や棚に古りける薬箱               水原秋桜子
  老いて尚なつかしき名の母子草           高浜虚子
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中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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