記憶力は空腹で上昇

 記憶には学習で覚える意味記憶や、楽器演奏や運転など体で覚える手続き記憶、さらには過去に起こった体験を丸ごと覚えるエピソード記憶などいろいろな記憶があり、したがって記憶障害にもいろいろなパタンがある。 我々は日常生活の中で、一定時間以内でものを覚えなければならないことがしばしばある。 東京都医学総合研究所などの研究グループによる最近の発表によると、お腹がすいた空腹状態で学習すると学習効率がアップし、より少ない時間で記憶することができることを証明したという。

 実験は空腹度合いが異なるショウジョウバエを使い、5~60秒間、においと電気ショックを同時に与えて、「危険なにおい」を覚えさせ、同時に同じ秒数だけ電気ショックのない「安全なにおい」をも覚えさせた。 その後、二つのにおいを同時に与えて、それぞれのにおいに集まったハエの数をもとに、学習効果を点数化して比較した。 

 その結果、16時間絶食したハエは10秒間の学習で成績が約2倍になるなど、絶食時間の長いハエは短時間で効率よく学習できたという。 記憶にかかわる神経伝達物質のドーパミンも、空腹時のハエでは通常の約1.5倍に増えていた。

 ヒトでも満腹状態で勉強すると、しばしば眠くなり、学習効果が低下することを経験した人は少なくないと思う。 短時間で効率よく物を覚えるには、やはり空腹状態でやるのがよいようだ。

栗拾ふ小さき穴に虫もいて  中島澄夫
行あきや手をひろげたる栗のいが  松尾芭蕉
柴栗や馬のばりしてうつくしき  小林一茶

秋の味覚1
台風一過の日に愛知県奥三河の山で拾った今年初めての栗 (2016.9.22 撮影)

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タバコと統合失調症

 秋雨前線や台風の影響を受け、このところ雨の日が多い。 秋野菜の種まきシーズンを迎えているが、週末利用の畑作では、作業日が限定されるので、やりくりが大変である。 今日は午前中に雨がやみ、晴れ間もあったので急遽、大根、カブ、小松菜、青梗菜の種まきを決行した。 まもなく出る若芽が楽しみである。

 さて、精神科領域の病気の一つに統合失調症がある。 私の学生時代には、精神分裂病と呼ばれていたが、その後変更され、現在は統合失調症と呼ばれているが、病気そのものは同じである。 病気の原因は今なお明らかではないが、素因と環境の両者が関係し、脳の構造や働きの微妙な異常をきたすと考えられている。 脳内の神経伝達物質が変調をきたすことにより、妄想や幻覚などを引き起こす病気である。 近年、早期発見早期治療で回復する例も多い。

 2008年の厚労省患者調査によると、受診中の統合失調症患者数は79.5万人とされ、生涯罹患率は人口の0.7%である。 約100人に1人弱がかかる頻度であるから、まれな病気ではない。

 母親が妊娠中に喫煙すると、子供が統合失調症を発症するリスクが高くなるという研究結果が、このほどフィンランドから発表された。 この研究はフィンランドで1983~1998年の過去15年間における全出生児を対象に調査したものである。 妊娠初期~中期に妊婦より採血した検体の血清ニコチン濃度と子供の統合失調症発症の関係を検討したところ、血清ニコチン濃度が高いほど子供の統合失調症リスクが高くなったという。 母親の年齢や、親の精神障害の影響は見られなかったという。

 妊娠中は受動喫煙を含めて、タバコの煙を吸わないよう心掛けたいものである。 もとより周囲の気配りも大切である。

桃食うて煙草を吸うて一人旅  星野立子
秋風や路地に灰皿あれば寄る  榮猿丸
煙草屋の娘うつくしき柳かな  寺田寅彦

夏の御嶽山
2016年夏の御嶽山:開田高原より望む

女性の飲酒と胎児性アルコール症候群

 酒とたばこは健康の敵とされ、世界的にたしなむ人が減っている。 ただ、この流れに逆らって日本人の女性では飲酒者が増えているとの調査結果がある。 平成26年(2014年)の厚労省による「国民健康・栄養調査」によると。飲酒習慣のある人の割合は、男性32.8%、女性8.7%で、前回調査(2012年)の男性33.1%、女性7.5%に比べ、男性では減っているが、女性では1.2%も増えている。 年代別にみると、前回調査に比べ、女性の30歳代(2.2%増)、40歳代(3.5%増)、50歳代(2.3%増)の増加が目立った。

 妊娠中に飲酒した母親から生まれる子供にみられる病気として、胎児性アルコール症候群(FAS:fetal alcohol syndrome)がある。 米国国立アルコール乱用・依存症研究所は、FASの診断基準として、特徴的な顔貌があるとし、1)眼瞼裂の左右の距離が短い、2)上唇が薄い、3)人中の溝が浅い、の3つを挙げている。 人中は鼻と口の間にある縦の溝で水溝穴ともいう。 その他にも身長や体重の発達遅延、脳の発達障害、神経行動学的障害、などに関係するとしている。 遺伝的要因を除けば、世界の子供の発達障害の原因として最多を占めるというから見逃せない。

 胎児性アルコール症候群の有病率は、思った以上に高く、米国では1.1~2.5%、南アフリカでは13.5~20.8%と報告されている。 今後、世界的規模での調査が必要で、その発症予防対策が急務である。

 妊娠中は禁酒を厳に守るべきであり、アルコールの量や種類、妊娠の時期を問わず、安全なレベルはないと心得るべきである。

秋扇手に遊ばせて講義待つ  迫間喜美子
秋扇空き家風なる一軒家  中島澄夫
秋扇失せし男に未練なし  吉行和子

夏のスイレン
夏のスイレン:水生公園にて(2016年 夏 撮影)

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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