暑熱馴化

 日本の6月は梅雨の季節で、本格的な夏はまだ先だが、急に暑くなる日があり、暑さ慣れしていない高齢者などは熱中症を発症し、救急搬送されやすい季節でもある。 体温調節機能の低下した高齢者は、冬慣れして発汗しにくい体となっており、初夏に急に暑くなったりすると、急激な体温上昇を招いてしまうことになる。 老若を問わず、冷房のある環境で過ごす人が多い昨今であるが,猛暑の室外での生活もまた現実である。 

 暑くても体温調節ができるように暑さに慣れることを暑熱馴化あるいは暑熱順化とよぶ。 暑熱馴化できている人は、熱中症にかかるリスクが低くなるので、この時期、積極的に体を暑さ慣れさせる暑熱馴化の対策が必要となる。

 先ずは、適度な水分補給を心がけながら、ウォーキング、ジョッギング、農作業、自転車こぎなど、軽く息が上がる程度の筋肉運動を行い、程よい汗をかくのがよい。 湿度の低い環境は効果を高める。 高濃度炭酸浴やサウナを利用した入浴で汗をかくのもよい方法である。 

 高濃度炭酸浴には発汗作用に加えて、血管拡張作用、副交感神経優位の自律神経調節作用、リラクゼーション効果、催眠効果、疲労回復効果などが知られる。 炭酸湯は市販の入浴剤、炭酸泉タブレットを用いて家庭でも簡単に作れる。 高濃度炭酸泉は、炭酸濃度が1リットル当たり1000ppm以上溶け込んだものをいう。

 暑熱馴化は努力すれば1週間で達成できる。 成功すると、汗腺の働きが活性化し、より低い体温で発汗できるようになり、同じ体温で出る発汗量も増え、皮膚血流量も増加する。 汗の質も変わり、Naの多いベタベタ汗から、Naの少ないサラサラ汗へと変化する。体熱が効率的に放出されるので、体温上昇は少なくなり、暑くても夏バテせず楽に過ごせるようになる。 

百合の香の朝やはらかと思ひつつ  小川美津子
百合の花超然として低からず  高屋窓秋
うつとしや雨はやみても百合の花  小林一茶

八重のユリ
新種・八重の白ユリ (2016年6月19日 撮影)
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高齢におけるフレイル・要支援からの脱出

 人は75~80歳前後になると体力、知力とも衰えを感じる人が増え、フレイルあるいは要支援と呼ばれる状態になる人が増えてくる。 私が勤務する老人保健施設への入所には、要介護の認定を必要とするが、現在の入所者105名の平均年齢は、男性80歳、女性86歳で、これは奇しくも現在の日本人の平均年齢に一致する。 

 最近、筑波大学などの研究チームが実施した調査研究によれば、生活習慣を改善すれば、要介護になる一歩手前の要支援あるいはフレイルの高齢者でも、約3割強が自立に近い状態まで改善しうることが明らかになった。

 調査対象はフレイルと診断された平均年齢75歳の高齢者470人で、4年間追跡調査した。 次の5項目、即ち、1)半年間で体重が2~3Kg減少、2)歩行速度が遅くなった、3)運動習慣がない、4)5分前のことが思い出せない、5)疲れを感じる、のうち3項目以上該当した高齢者をフレイルとした。 

 このフレイル群を4年間追跡した結果、死亡が21%、要介護となったのが30%、フレイルを脱出し自立へと改善したのが32%であったという。 生活習慣との関係を分析すると、軽く息が上がる運動を週1回以上する人は、しない人に比べフレイルから自立へと改善する率が3倍高く、乳製品を週5回以上食べる人も2倍高かったという。

 たとえ高齢でフレイルや要支援の状態になっても、その段階でそれまでの運動習慣食生活を見直して改善すれば、逆転して自立生活を可能にし、健康寿命を延ばすことに十分つながりうることを心に留めたいものである。

瓜ぶらり根性問はることもなし  山中正己
瓜作る君があれなと夕涼み  松尾芭蕉
三日月と一つ並びや冷し瓜  小林一茶

B庭のキュウリ
座敷のグリーンカーテンになった今年のキュウリ(シャキット)は2階まで伸びる勢い(2016年6月18日 撮影)

L庭のキュウリ
梅雨で元気な我が家の庭先のキュウリ (2016年6月18日 撮影)

台風の当たり年と外れ年

 今年は野菜類の育ちが早く、我が家のトマトやナス、キューりはいずれも収穫期に入り、おかげで食卓がにわかに豊かになったのはうれしい。 気候変動で今年のトマト(蕃茄)の収穫は例年に比べ約1ケ月も早いようだ。 トマトは今やスーパーで年中売られているが、自分で作った完熟トマトの味を上回るものはまずないといってよい。 原産地のペルーでは、今、白熱した大統領選挙で燃えているようだが、トマトは人々の嗜好に合わせて品種改良が重ねられ、現在では8000種類以上あるというから驚きである。

 さて、昨年は台風の当たり年だった。 第1号は年明けの1月14日に発生し、以後、年の暮れの12月まで毎月発生し、何と8月には2個が同時に発生するなどして、合計27個となった。 1年を通して毎月の発生は、1951年の統計開始以来初めてであった。

 一転して、今年は6月に入ってもまだ台風1号は発生していないのだから驚きである。 7月に台風1号が発生した1998年7月9日以来、18年ぶりの遅さだという。 原因は、2014年夏に発生した強力なエルニーニョ現象の影響で、フィリピン付近に強い高気圧が張り出し、台風を作る場所がないからのようだ。 エルニーニョ現象は、赤道付近のペルー沖から中部太平洋にかけて、数年に一度、海水温が平年より高くなる現象である。 今年は、エルニーニョ現象が終息する年に当たるが、過去のデータによると、この現象が終息する年には、台風1号の発生が遅くなっているという。

 台風が上陸すると、トマトの棚が傾くなど、農作物や家屋の被害は甚大となることが多い。 今年は7月頃まで台風不作の状態が続くようだ。 8月からも少ないことを願いたいものだ。

千万の宝にたぐひ初トマト  杉田久女
虹立つやとりどり熟しトマト園  石田波郷
育てたる妻をしのぎて蕃茄の木  山口誓子

完熟ミニトマト
我が家の畑で収穫期を迎えたミニトマト (2016年6月4日 撮影)

大玉蕃茄
遅れじと熟し始めた大玉トマト (2016年6月4日 撮影)



 

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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