クルミを食べて糖尿病を予防

 クルミ(胡桃・Walnut)は紀元前7000年頃から人類が食用していたとされ、日本でも縄文時代の遺跡から発見されている歴史的食物である。 私の子供時代には、生家の敷地内に2本の大きなクルミの大木があり、収穫を楽しんだ記憶がある。 シナノクルミである。 名前の由来は、「クルクル転がる実」からきているようだ。

 さて近年、このクルミを沢山食べている人ほど、糖尿病の発症リスクが少ないとされ、数あるナッツ類の中でもクルミの健康増進効果への関心が高まっている。

 ハーバード大学公衆衛生学部のPan A氏らの研究グループは、糖尿病やがん、心血管疾患をもたない52~77歳の女性5万8063人と、35~52歳の女性7万9893人の2つのグループについて、それぞれ10年間にわたり、クルミ摂取量と糖尿病発症との関係を追跡調査した。 期間中に5930人が2型糖尿病を発症した。  クルミの1週間当たりの摂取量を、0、28g、28~56g、56g以上、の4群に分けて検討すると、糖尿病発症リスクは殆んどクルミを食べない群で最も高く、食べる量が多いほど低くなった。 クルミ28gは、手で一掴み相当の量である。

 クルミはオメガ3系(n-3系)多価不飽和脂肪酸であるαーリノレン酸をはじめ、抗酸化物質のクルミポリフェノール(ペダンクラギン、エラグ酸、テリマグランジン、ルテイン、ゼアキサンチンなど)、植物ステロール、ビタミン(E,B1など)、ミネラル(Mg,Znなど)など、重要な栄養素をはじめ不溶性食物繊維を豊富に含むことで知られる。 一掴みのクルミに含まれるポリフェノールの量はリンゴジュース1杯、赤ワイン1杯の含有量を上回るとされる。 ポリフェノール含有量はナッツ類の中で最も多い。 

 ナッツ類は、一般にオレイン酸などの一価不飽和脂肪酸を多く含むが、クルミはナッツ類の中で、n-3系多価不飽和脂肪酸を最も多く含むという特徴をもつ。 青魚に多いEPAやDHAもn-3系多価不飽和脂肪酸であり、近年サプリメントとして利用する人も少なくない。  クルミは天然のメラトニン供給源であり、クルミを摂取すると、抗老化作用をもつとされるメラトニンの血中濃度が3倍上昇するともいわれる。

 クルミはインスリン抵抗性を改善し、インスリンの効きをよくすることによって2型糖尿病の発症や進行を抑えることが考えられる。 また、その効果には食物繊維による血糖上昇の緩和も寄与しているようだ。 クルミは脂質が64%を占め、カロリーは高いが、糖質やコレステロールは少ない。 多価不飽和脂肪酸を中心としてユニークな組成と健康増進効果をもつので、ナッツ類の一つとして、クルミを献立の中に積極的に取り入れて利用したいものである。

三ケ月の御きげんもよし梅の花  小林一茶
白梅の俗を離れし木ぶりかな  小林一茶
梅林の咲きて景色の低くなる  粟津松彩子

しだれ梅2
梅ひらく : 名古屋市農業センターにて (2016年2月15日 撮影)

しだれ梅1
梅開花 (2016年2月15日 撮影)

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朝食を抜くと脳出血リスクが上昇

 若い人は朝眠る時間が欲しくて起床後に時間がなく、やむなく朝食を抜く人が少なくない。 また動物実験で、カロリー制限すると長寿遺伝子が活性化し、長寿につながると報告され、最近は中高年者でも一日一食、あるいは一日二食主義を実践する人がいる。 

 朝食を食べる回数が、週2回以下の人は、毎日食べる人に比べ、脳出血のリスクが36%高くなるという調査結果が最近発表された。 国立がん研究センターや大阪大の合同チームによる研究(Stroke 2016 Feb.47(2):477-81)である。

 全国9県に在住する45~74歳の男女約8万人(男性3万8676人、女性4万4096人)について、1995年から2010年まで平均13年間、追跡調査したもので、期間中1051人が脳出血を発症した。 朝食を「毎日食べる」から「週に0~2回」までの4段階に分けて、脳出血リスクを調べたところ、「毎日」に比べ「週に0~2回」で36%、「3~4回」で22%、「5~6回」で10%と、朝食の回数が少なくなるほどリスクは高くなった。 くも膜下出血や脳梗塞、心筋梗塞などの心疾患では、朝食欠食と発症リスクの間に関連性を見なかったという。

 多くの人で一般にみられる早朝の血圧上昇が、朝食を摂取すると抑えられる一方で、朝食を抜くとストレスで血圧上昇が助長され、これが脳出血リスクを高める主要原因と推定されている。 朝食の欠食は、高血圧を持った高齢者では特に注意する必要がありそうだ。

熱々の大根汁匂ひて朝餉かな  中島澄夫
海苔あぶる手もとも袖も美しき  瀧井孝作
春めきて沢庵うまき膳に坐す  前島長路

冬牡丹・H28
冬牡丹 : 中島澄夫 撮影

視力低下の予防

 人間歳をとると何かと目が見にくくなる。 プロ野球の打者は、40歳前後で速球が見にくくなり、打率が下がって多くが引退となる。 一般に視力検査で、よい方の眼の視力が、0.5未満になると視覚障害といい、0.1以下を失明という。 視覚障害は40歳以上の高齢者で有病率が高くなり、全年代で女性より男性で有病率が高い。 

 日本における視覚障害の原因疾患の第1位は緑内障(24%)、2位が糖尿病性網膜症(21%)、3位が変性近視(12%)、4位が加齢黄斑変性症(11%)、5位が白内障(7%)となっており、この5疾患で全体の3/4を占めている。 変性近視とは、眼鏡をかけても、1.0以上の視力が得られない近視をいう。 一方、失明の原因疾患を見ると、1位 緑内障(20%)、2位 糖尿病網膜症(19%)、3位 網膜色素変性症(13%)、4位 加齢黄斑変性症(9%)、5位 視神経萎縮・網脈絡膜萎縮(9%)となっている。

 緑内障は、40歳以上の日本人の20人に1人が罹患しているといわれ、眼圧の上昇や遺伝などによって視神経が障害される病気である。 日本では、眼圧が正常でも発症する人が多く、どうして緑内障になる人と、ならない人がいるのか詳細は明らかでない。 緑内障のある人に使うべきでない薬剤として、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗コリン薬などが知られる。 

 最近、米国ハーバード大学などの研究グループ(J.H.Kang氏ら)による報告によると、ホウレンソウなどの色の濃い葉菜類を多く摂取した群では、緑内障のリスクが20~30%低下していたということだ。 調査対象は、40歳以上の女性約6万人、男性約4万人の合計約10万人で、2年毎に前向きに調査した結果である。 色の濃い葉菜類に多く含まれる硝酸塩亜硝酸塩が予防的効果を発揮しているようだ。

 緑豊かな葉菜類をバランスよく日常の食事に取り入れて、楽しみながら少しでも視力の低下を防ぎたいものである。 

冬月や眼鏡のままに居眠りて   与謝蕪村
老のはるめがねに蒔絵かかせばや  大江丸
朝刊や小鼻のめがね春の朝  中島澄夫

焼額第2ゴンドラ
志賀高原・焼額山スキー場 第2ゴンドラ (2015年12月31日 撮影)

 

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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