手洗いの励行

 消費者庁が最近行った調査によると、トイレを使った後に手を洗わない人が、何と15%に上ることが分かったということだ。 この調査は本年10月に全国の16~65歳の男女2000人を対象に実施したものである。

 調査によると、トイレ後に手を洗わない人は、15.4%で、食事する前に必ず手を洗うと答えた人は、52.6%であった。 これから寒くなって空気が乾燥すると、普通感冒ウイルスインフルエンザウイルス、ノロウイルスの感染が増えるので、感染症対策の基本として手首を含めた手洗いを徹底したいものだ。  

 ノロウイルス感染症は、年中みられるものの、冬季に増える嘔吐下痢症である。 通常10月ごろから流行が始まり12~1月にピークをを迎える感染性胃腸炎の代表格で、人から人への感染力が極めて強く、例年1万人以上が感染する。  集団発生となりやすい。 感染者の便には、1g当たり数億個のウイルスが含まれ、そのうちの10~100個をもらうと感染・発症してしまうという厄介な感染症である。 ウイルスは人の腸管のみで増殖する。 

 予防ワクチンや特効薬はなく、水分補給で脱水症を防ぐことが早期回復につながる。

 患者の吐物や下痢便をマスクと手袋を使わず不用意に処理したり、便器の蓋をせずに流すとウイルスが飛び散り、周囲の人がウイルスを含む飛沫を吸い込んで感染することもある。 自分が排泄した便をしっかり眺めることは大事だが、これを流すときは、便器の蓋を閉めてからにしたいものである。

桃色の花と見紛ふ檀の実   中島澄夫
山湖澄む空と檀の実と映り  岡田日郎
檀の実爆ぜて色濃くなりにけり 小泉良子

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  阿蘇の外輪で見事に熟した野生の檀(マユミ)の実:瀬の本高原(熊本県)にて (2015年11月15日 撮影)
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インフルエンザワクチンの接種効果

 暦の上では立冬も過ぎて、今年もインフルエンザが流行する季節を迎えつつあり、ワクチンの接種時期である。 昨シーズンのウイルスは変異が特に大きかったためせっかく接種してもワクチン効果は少なかったようだ。 

 インフルエンザワクチンは、昨年までは流行が予想されるA型株2種類、B型株1種類の合計3種類のウイルスを不活化して作った3価ワクチンであったが、今年はB型株を1種類追加した4価の不活化ワクチンとなったので、カバーできる確率はやや高くなったので、その分効果も上がることが期待される。 ただワクチン接種は、その人のもっている免疫力を高めることによって感染リスクを相対的に下げ、重症化を防ぐもので、罹患リスクをゼロにするものではないことを肝に銘じるべきである。

 最近、米国シンシナティ小児病院のBlack氏らの調査研究によると、高コレステロール血症の治療薬として全世界的に使われているスタチンを長期服用していると、スタチンの抗炎症作用のためインフルエンザワクチン接種後の抗体価の上昇が38~67%も低下し、ワクチン効果が半減してしまうことが明らかになったという。 脂質異常症でスタチンを服用している人では注意が必要だ。

 インフルエンザワクチン接種は任意接種だが、65歳以上の高齢者、妊婦、医療従事者、1歳未満の小児の保護者、受験生に加えて、気管支喘息、COPD,免疫不全の患者など、感染すると重症化しやすい人は接種が勧められる。

洋蘭の真向きを嫌うかぜごこち   渋谷 道
頬杖の風邪かしら淋しいだけかしら  池田澄子
咳こんでいいたいことのあふれけり  成田三樹夫

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阿蘇草千里より阿蘇中岳の噴煙を望む(2015年11月16日 撮影)

背が高いとがんリスク上昇

 人体は細胞分裂とともに生存しているが、同時に細胞内遺伝子の変異が発生する。 誰とてがんにはなりたくないのが人情だが、がんは加齢とともに増加する。 加齢とともに免疫力が低下し、変異した細胞を処理しきれなくなると、遺伝子変異が蓄積し、変異したDNAの修復ができなくなり、癌化が始まることになる。 がんの原因は、生活習慣、遺伝、感染、化学物質、環境因子など多因子性であるが、最近、「背が高い人ほどがんリスクが高い」という大規模の調査研究が、スペインで開催された欧州小児内分泌学会で発表された。 この傾向は特に女性で顕著にみられたという。

 スウェーデンのカロリンスカ研究所のグループが1938~1991年にスウェーデンで出生した男女550万人の情報を解析したもので、2011年末までの健康状態を追跡調査した結果である。 対象者の成人時の身長は、最低が1m、最高が2m25cmであった。 この研究では、成人時の身長が1mより10cm増加するごとに、がんリスクが女性で18%、男性で11%高まることが明らかになった。 長身の女性は乳がんの発症リスクが20%高くなり、男女ともに身長が10cm増えるごとに悪性黒色腫(メラノーマ)の発症リスクが30%上昇したという。

 かつて英国の医学雑誌「ランセット」に中年女性129万7000人を9年間追跡調査した結果、身長が10cm高くなるごとに乳がんにかかる率が17%増加したとする報告があり、この関係は社会的、経済的状況に関わりなくみられ、喫煙者ではこの関係が消失したという。 喫煙ががんに及ぼす影響が大きすぎてほかの因子の影響が隠されてしまうからである。

 別の研究で、米国ハワイ大学の研究グループは、1900~1916年に生まれた約8000人の男性を調査し、身長158cm以下、158~165cm、165cm以上の3郡で死亡率を比較したところ、158cm以下が最も長生きで、背が高くなるほど寿命が短くなったと報告している。

 日本では2007年に国立がん研究センターのグループが、身長と乳がんの関係を調査し、身長が160cm以上では、148cm以下の女性に比べ、閉経前で1.5倍、閉経後で2.4倍と、乳がん発症リスクが上昇したと報告した。

 直接の原因は未解明であるが、身長の高い人は、一般に細胞数も多い。 今後は成長過程でどんなリスク要因と関わりがみられるのかに注目したいものだ。

 菜の虫や落ちて動かず死んだふり  中島澄夫
 闇に鳴く虫に気づかれまいとゆく   酒井弘司
 虫の音に満ちたる湯舟誕生日    山田径子

芭蕉の館
秋色の「芭蕉の館」(石川県・山中温泉):2015年11月2日撮影

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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