待ったなし少子化対策

 総務省は毎年5月5日の「こどもの日」にちなんで、日本の子供(0~14歳)の数を発表している。 2015年4月1日現在、我が国の子供の数は1617万人であり、過去最低となった。 これは昭和57年から連続の減少で、前年比マイナス16万人である。 総人口に占める子供の割合は12.7%で、41年連続の減少となり諸外国と比べても最も低い数字である。

 日本では1974年以降、出生数の減少傾向が続き、2005年に初めて死者数が出生数を上回るようになった。 いわゆる多死社会の到来である。 現状を放置すれば、今後急激なスピードで人口減少を招き、経済社会の活力を維持することが難しくなることは必定である。

 一般に女性の識字率が高くなると出生率は低くなるとされる。 欧米諸国では婚姻関係以外で生まれる婚外子出産割合が40%を上回るのに対し、日本では約2%と極端に低い水準にある。 シングルマザーやシングルファーザーが安心して子供を育てられる社会的環境を整えると、出生率は高くなることが知られる。 

 少子化対策は急務であるが、結婚や出産は個人の価値観に負うところが大きく、決定打が打ち出せない状態が続く。 鳥取県は本年9月より第3子以降の子供の幼稚園や保育園の費用を全額無償化すると発表した。 第3子以降の保育料無償化は、すでに今年4月から富山県、福井県、京都府の3府県で実施しているが、所得制限や第1子、第2子の年齢制限がついており、無条件下での無償化は全国で鳥取県が初めてだという。 よい流れの一つであり、その効果を期待したい。 

 少子化対策は多岐にわたる気配りが必要で、今こそ国民的努力を結集すべき時である。

京雛の凛凛しき肩に恋心  磯田みどり
風食えば鯨の如し鯉のぼり  鳥花月風
砂けむる大都の空の鯉のぼり  田村泰次郎

宗祇水
岐阜県郡上八幡の宗祇水:日本の名水百選の第1号に指定された湧水(2015年5月16日撮影)
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暑さ指数と熱中症

 台風6号が足早に過ぎ去って、日中の気温は急上昇し、夏野菜には好都合だが、今年も熱中症に注意する季節となった。

 熱中症(heat stroke, hyperthermia)は,高温多湿化の環境下で起こる人体の適応障害の総称であり、体温が40°Cを超えると死に至ることもある病気である。 日本国内で6月から9月の期間で熱中症のため救急搬送された患者数は、2010年に56119人、2013年に58729人で、年齢層別では65歳以上の高齢者に最も多く、2013年では全体の47%を占めている。

 近年、住宅で発生する高齢者の熱中症が増えており、2010年の厚労省人口動態統計では死者数1731人のうち家庭での発生が46%を占め、家庭で発症する高齢者の熱中症対策が急務となっている。

 熱中症の予防を推進するため、環境省はホームページ上に「熱中症予防情報サイト」(http://www.wbgt.env.go.jp/)を設けて、熱中症の危険度を示す「暑さ指数」(WBGT)を公表するサービスを5月13日から10月16日まで行うと発表した。 

 暑さ指数は気温、湿度および日差しの強さの3つから算出する国際指数で、1954年に米国で開発された指標である。 熱中症の起きやすさを、1)ほぼ安全、2)注意、3)警戒、4)厳重警戒、5)危険、の5段階に分けて表示しているので分かりやすく、参考にしたいものだ。

まずは水一息入れる熱帯夜   中島澄夫
念力のゆるめば死ぬる大暑かな 村上鬼城
暑き日を海に入れたり最上川  松尾芭蕉

 チューリップ満開
2015年 勅使池畔の春

野生イノシシの放射能汚染

 立夏とともにアヤメ科の花菖蒲、カキツバタ、アヤメ、ジャーマンアイリスなどが次々と開花し、まさに百花繚乱である。 畑ではスナップエンドー、タマネギの収穫が始まって味覚の春の到来でもある。 5月の連休前後は、トマト、ナス、ピーマン、キュウリ、カボチャなど夏野菜の植え付けで忙しくもあるが、楽しみの多い季節でもある。

 さて、日本からは遠く離れたドイツ南部バイエルン州の話である。 2013年に捕獲した140匹の野生イノシシについて放射性セシウム濃度を調べたところ、肉1kg当たり1万ベクレルを超えていたと最近報道された。 南ドイツのイノシシには、現在でも平均7000ベクレルの放射線量を検出するようだ。 ドイツでは食肉の規制値が1キロ当たり600ベクレルなので、肉は食用にできず、廃棄処分となる。 猪肉は上牛肉と比べビタミンB1を多く含み、カルシウムは2倍以上も多い。

 猪肉に野菜、イモ類、豆腐などを加えて鍋で煮て食べる猪鍋は牡丹鍋ともいわれる。 牡丹の名は猪肉を薄切りにして牡丹の花に似せて皿の上に盛り付けする習慣に由来する。 牡丹鍋は俳句では冬の季語となっている。

 野生イノシシは放射性物質を吸収しやすいキノコやトリュフを雑食するので、汚染されやすい野獣の一つとされる。 日本でも2011年8月宮城県内で捕獲された野生イノシシの肉から、1kg当たり2200ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表された。 

 1986年4月26日チェルノブイリ原子力発電所4号炉が爆発事故を起こし、漏れた放射能は10日間で北半球全体に拡散した。 特にヨーロッパへの影響が大きく、高濃度の放射性物質を含んだ雲は、まずポーランド経由でスカンジナビア半島へ、次いでスロバキア、チェコ、オーストリアを経由してドイツへ到達した。 ドイツでは事故後に南部で強い雨が降り、北部と比べはるかに高濃度の放射性物質が検出された。 1986年のセシウム137測定値は、バイエルンの森で、300000ベクレル/m2と飛びぬけて高く、北ドイツ中央部で4000ベクレル/m2であった。 セシウム137の半減期は約30年で、現在までに44%しか減少していない。 事故から29年経過した現在でも、チェルノブイリの遺産としてその影響が色濃く残っていることを、我々は肝に銘じなければならない。

褒美待つ犬騒がしや牡丹鍋   大阪華子
猪鍋や外には雉の吊られたり  雨宮涼風
山菜とランプの宿や牡丹鍋    山島欣也

安曇野の白鳥
安曇野市明科 御宝田遊水地で憩う白鳥

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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