食塩摂取量の新基準

 確定申告も終わり、いよいよ来月より新年度のスタートとなるが、生活習慣病予防の観点から厚労省が定める1日当たり食塩摂取量の目標値が4月より改訂される。 18歳以上の男性は9g未満から8g未満に、女性は7.5g未満から7g未満へと引き下げられる。 

 2014年12月9日厚労省発表の2013年における日本人成人の一日当たりの平均食塩摂取量は、男性で11.1g、女性で9.4gである。 男女とも60歳代までは歳とともに摂取量が増加しており、歳を重ねるごとに味覚障害が進むため濃い味付けを好む傾向が出ている。 味雷が委縮・減少し塩味を感じにくくなっていることを自覚していない人が多い。

 2010年版の厚労省による「日本人の食塩摂取基準」による目標塩分摂取量は1日当たり男性で9.0g未満、女性で7.5g未満であったが、現在の摂取量は男女とも目標値を数グラムほど上回っている。 近年経年的に減少傾向がみられるものの、なお塩分過剰摂取状態は解消されていないのが現状である。 

 2013年における年齢階層別食塩摂取量の平均値を見ると、20歳代の男性10.6g、女性8.6gを示し、以後60歳代まで加齢とともに増加し、60歳代では男性11.8g、女性10.0gとなっている。 労働強度の違いや体質的な問題で、男性の方が女性より摂取量は多い。

 新年度からの新しい目標食塩摂取量を達成するためには、主菜と副菜を合わせて1食当たりの食塩が約2.5gとなり、これはかなり厳しい数字である。 酢やポン酢しょうゆなどを上手に活用すれば、美味しさを保ちながらも自然な減塩が可能となる。 ここにきて、食品メーカー各社も、「ほど塩」、「塩分カット」商品の開発、発売に力を入れつつあるのはよいことだ。 料理を作る人も、これを食べる人も、いつも減塩を意識して取り組みたいものである。

塩鯛の歯ぐきも寒し魚の店   松尾芭蕉
勉学や絶えず沖より春の波   鍵和田禾由子
桜花何が不足でちりいそぐ   小林一茶

岩岳スキー場
八方尾根スキー場より岩岳スキー場を望む(2015年3月9日 撮影)


 
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ヘッドフォン難聴

 3月3日は日本では「ひな祭り」であるが、み(3)み(3)の語呂合わせから、世界保健機関(WHO)が定める「国際耳の日」でもある。 耳の不自由な人々に対する社会的な関心を高めるとともに、耳疾患の予防意識を高めるために制定された日である。 私が現在勤務する老人保健施設には、要介護と認定された高齢者が約105名入所しているが、難聴になり耳が遠くなって日常生活に不自由を来し、補聴器を必要とする人が少なくない。 人の叡智の3つの秘密として、「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿(three wise monkeys)が有名だが、、これも必要な聴力があってのことである。 

 近年、電車に乗ると携帯音楽プレイヤーを使ってヘッドフォンやイヤフォンを着用し音楽を楽しむ若い人を見かけることが多い。 スマートフォンなどの個人用音楽ディバイスが一気に普及したことの恩恵である。 人混みや電車内ではそれなりの騒音があるため、つい音量を上げることになる。 ロックコンサートやクラブ、あるいはオーディオの大音量に接する機会も増えている。 大きめの音を長時間にわたって聞くと耳の奥(内耳)にある蝸牛内の有毛細胞の毛が傷害され、若者でも感音性の難聴になるリスクが高くなるので注意が必要である。

 WHOは耳に日に当たり、大音量の音楽を聴くことにより、世界の10億人超の若者が難聴のリスクに直面していると、全世界に向けて警鐘を鳴らした。 この難聴は、「音響外傷」あるいは「ヘッドフォン難聴」といわれ、多くは一過性で程度が軽ければ経時的に有毛細胞が修復されて聴力は回復するが、重症例では若年といえども本格的な感音性難聴となる危険がある。

 予防には、1)音量を上げすぎることなく、ヘッドフォン・イヤフォンを付けたまま会話ができる程度の音量に抑えて聞く、2)疲れているときには、特に音量を小さくして聞く、3)1時間音楽を聞いたら耳からイヤフォンをはずし、5分程度耳を休ませる、などを心がけたいものである。

難聴は三猿に似て端居かな     小山武三
終戦日ノモンハン耳鳴りけふも診る 佐竹 泰
囀りを聞きたくて拠る野の大樹    岸野千鶴子

 ウサギ平2015
「第52回全日本スキー技術選手権大会」の公式トレーニング;白馬八方尾根スキー場、兎平ゲレンデ 2015.3.9撮影

高齢者:筋肉量減少で死亡率2倍

 厚生労働省研究班が最近発表した調査結果によると、「筋肉量の少ない高齢男性は死亡率が2倍に跳ね上がる」ことが分かったという。 

 調査研究対象者は、47歳から92歳の一般男性626人である。 筋肉量をX線で測定し、12年間追跡した結果であり、期間中に197人が死亡した。 筋肉量が40歳以下の標準値の8割より多い人と少ない人の2つのグループに分けて比較検討したところ、少ない人のグループでは死亡率が1.9倍高かったという。 

 筋肉量が40歳以下の標準値より少ない人の割合は、60歳代で52.8%、70歳代で70.6%と、高齢になるほど筋肉量の少ない人の割合が増えていた。 死因別で2つのグループを比較すると、筋肉量の少ないグループでは、肺炎慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患が2.6倍高く、がんや脳卒中などでは有意差を認めなかった。

 女性についても同様の調査をしたが、女性ではもともと筋肉量が男性に比べて少なく、齢をとっても筋肉量の減少が穏やかであるため2つのグループ間で有意差はなかったという。

 高齢男性では、若いころに比べて運動量が著減する例が多く、筋肉量が減少するとさらに運動量の減少を招き、血中アディポネクチンやNK細胞活性などが低下し、免疫力低下をきたし、呼吸器感染症で死亡するリスクが高くなると思われる。

 筋肉は齢をとっても鍛えれば減らさず、増やすことさえできるとされる。 人間の筋肉の7割は下半身に分布する。 齢をとっても特に男性では、筋肉量を減らさないよう日頃から立つ時間を長くするよう努め、下半身の強化を心掛けたいものだ。

畑打つや中の一人は赤い帯  森鷗外
畑打つや土よろこんでくだけけり  阿波野青畝
赤かぶの一味違うスキー宿  中島澄夫

藪原スキー場1
藪原高原スキー場の頂上より、はるかかなたの槍ヶ岳を望む(2015年2月21日 中島澄夫撮影)

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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