「遺伝子検査も芸のうち」か

 厚労省が今年2月に実施した国民の「健康意識に関する調査」(調査対象:20~80歳代の男女5000人)によると、「自分は健康だと思う」と答えた人が73%と多い反面、「自分の健康には何らかの不安がある」も61%と高く、健康に不安感を持っている人も結構多い。 2013年における日本人の平均寿命は、男性80.2歳、女性86.6歳で、男性が初めて80歳を超えたが、「何歳まで生きたいか」の答えの平均は79.6歳で、「何歳まで生きられると考えるか」の平均は77.6歳だったという。 また「自分の健康のために1か月に出費できる金額」の平均額は、3908円だった。 

 「長生きも芸のうち」という言葉がある。 自分に合った健康法を実践し、現在10年近くある介護寿命をできるだけ短くし、健康寿命を伸ばすにはその人なりの芸が必要というものだ。 因みに、バランスのとれた食事、自分に合った運動、質の高い睡眠の三つを、健康3原則という。

 ディー・エヌ・エー(DeNA)の子会社「DeNAライフサイエンス」社は、東京大学医科学研究所の協力を得て8月中旬から個人向けの遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」を開始した。 がん生活習慣病のかかりやすさを遺伝子検査で明らかにし、その人の芸に役立てるというわけだ。 遺伝子検査で胃がん、肺がん、食道がんなど40種類のがん、糖尿病、脳卒中、高血圧、心臓病など25種類の生活習慣病、その他疾患リスクと肥満、不眠、肌質、飲酒量などの体質関連を合わせ、最大283の検査項目に関する情報を提供するという。 自分と同じ遺伝子を持つ祖先が、どこで生まれ、どのように移動してきたかも想定できるようだ。 費用では全ての検査項目を網羅した「オールインワン280+」が29800円、がん・生活習慣病・体質から100項目を選ぶ「ヘルスケア100+」が19800円となっている。 少し遅れて10月よりヤフーも同じような遺伝子検査サービスを開始する予定らしい。

 利用希望者はインターネットで申し込んで、検査キットを取り寄せ、自分の唾液を採取して郵送すれば、2~3週間で結果をもらえるというから簡便である。 自分の命を知る一つの方法ではあると思う。

  やがて死ぬけしきは見えず蝉の声      松尾芭蕉
  油蝉死せり夕日へ両手つき          岡本 眸
  蝉しぐれ捨てきれぬ夢捨てる夢        西岡光秋
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STAP細胞問題への私見

 STAP細胞は存在するのか。 現在、検証が続いているが、やり方次第で簡単には結論できない可能性もある。 存在すればやはり世紀の大発見の一つであろう。 時間をかけて慎重に検証すべきである。 発表者が若いまだ熟成していない小保方晴子氏(理化学研究所・再生科学総合研究センター・研究ユニットリーダー)という女性研究者であったこともあり、発表論文データの一部に不正が見つかり、最終的に著者の同意を得て論文が取り消しとなったのは残念であった。 

 研究論文の一部不正が問題化した際に行われた理研上層部のTV会見を観たが、彼らの目つきと言動は異常ともいえるほど冷たく、まるで鬼の首をとったかの様相であった。 出る首をとる日本人のいじめ体質を垣間見る気がしたのは私だけであろうか。 

 科学研究では、どんな研究に対しても厳しい目と、一方では温かい目が必要である。 特に若い研究者の場合、いくつもある障害を乗り越えながら、段階を踏んで成長するもので、最初から有能で完璧な研究者など存在しないといえる。 周囲は、やる気のある若い研究者が少々へまをしても、その道を応援はすれど、それを阻むものであってはならないと思う。

 小保方氏の研究を指導する立場にあり、再生科学総合研究センター・副センター長であった笹井芳樹氏は結局、袋叩き状態となり、疲労困憊で心身ともに極限状態を超え、8月5日突然自らの命を絶ってしまうことになった。 研究所のサポートのなさが悔やまれる。  生命科学分野で多くの業績をあげられ、再生科学の先導者であった笹井氏を失うことになったのは残念という他はない。

 人はどんな立場にあっても、夢のある研究には温かい心をもって応援する心を持ち続けたいものだ。


  瓜もみの加減も馴れて大暑かな     中村汀女
  蝶の舌ゼンマイに似る暑さかな      芥川龍之介
  涼しさの肌に手を置き夜の秋       高浜虚子

庭の蝶
我が家の庭のナンキンハゼに止まり仲良しのナガサキアゲハ(中島澄夫撮影)

盛夏とエボラ熱の流行

 早や盛夏の8月(葉月)である。 「葉月」の語源は、新暦では9月上旬から10月上旬の秋に当たるため、葉が落ちる月「葉落ち月」が転じて「葉月」となったとか、稲穂が張る月として「穂張り月」「張り月」が転じて「葉月」になったとするなど諸説があるようだ。 

 今日7日は暦の上では「立秋」に当たり、この日が正真正銘、暑さの頂点で、明日からの暑さは「残暑」となる。 手紙や文書上のあいさつでは、「暑中見舞い」から「残暑見舞い」へと変わることになる。

 さて、西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネ、アルジェリアの4か国では、この夏、急性ウイルス感染症のエボラ熱が猛威を振るい、WHOの発表によれば4日までに1600人余りが感染し、932人が死亡したという。 医療関係者への感染も数十人に達し、年内に収束させるのは難しいようだ。 

 エボラ熱ウイルスは血液や体液を介して数個のウイルスが体内に侵入しただけで感染が成立するとされ、発症後の致死率は50~90%と高い。 死亡率が高いことからサスペンス映画やパニック映画の題材となるウイルスでもある。 インフルエンザ様の症状で突然発症し、発熱、頭痛が100%、咽頭痛、胸痛、腹痛、筋肉痛が80%、出血(結膜、鼻腔、口腔、歯肉、皮膚、消化管など)が70%にみられ、進行すると出血が目立つのでエボラ出血熱とも呼ばれる。 治癒しても失明など重い後遺症を残すことが多いようである。 ウイルスの自然界における宿主はコウモリである。 

 当初の流行は、ギニア、リベリア、シエラレオネの3か国に限定していたが、国境を接していないナイジェリアで感染者が出たため今後、空路での感染拡大が懸念される。 WHOの要請で、日本を含めて各国から医師の派遣も続くが、現地では医療関係者の不足が深刻さを増していると伝えられる。

 交通手段の発達で世界は格段に狭くなっており、致死率の高い感染症の動向には十分注意して行動したいものである。



   秋来ぬと目にさや豆のふとりかな           大伴大江丸
   川半ばまで立秋の山の影                桂 信子
   本といふ紙の重さの残暑かな              大川ゆかり
                

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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