梅雨明け

 東海地方でも海の日の7月21日(月)に梅雨明けが宣言された。 いよいよ本格的な夏である。 暦の上では、今日7月23日(水)が大暑となっている。 各地で真夏日となり、高温注意報が出ているようだ。 大暑の日は「天ぷらの日」とされ、天ぷらを食べて元気に過ごそうという趣旨で設けられたらしい。 この日に、各地で打ち水のイベントが行われたり、熱中症予防の啓発行事が開催されたり、動物園では白熊やライオンに塊の氷をプレゼントする行事などがある。 ところで、1年で最も暑い極暑酷暑は8月上旬ごろであり、大暑より後に来る。

 ヨーロッパでは、7月初めから8月中ごろまでの真夏の暑い期間を「ドッグ・デイズ(dog days)と呼ぶ習慣がある。 だから、ドッグ・デイズといえば、「真夏」の意味である。 これは、おおいぬ座の星シリウス(天狼星; Dog Star)が、太陽とともに出没する時期であることからきている。

 真夏には、元気な人では水難事故や山の事故が増え、高齢者では皮膚が不潔になりやすいため蜂窩織炎が増え、かくれ脱水のため熱中症を発症しやすい。 先月に熱中症で救急搬送された人は全国で4600人余りで、これは昨年の6月に比べ8.7%の増加であり、2010年以降では2011年に次いで多かったという。 年齢別では、65歳以上の高齢者が約半数(47.6%)を占めた。 都道府県別では、愛知県が最も多く、次いで東京都、大阪府の順であった。

 梅雨明けとともに暑さも本格化するので、室内では温度管理を上手に行い、畑仕事やスポーツなど外出時にはペットボトルを持参するなどして、こまめな水分補給を心がけたいものだ。

   
    茄子汁を三日続けて大暑なり          坂間晴子
    蓋あけし如く極暑の来りけり           星野立子
    湧き上がる土の匂ひや夕立あと         中島澄夫
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脱法ハーブの危険性

 若者が脱法ハーブを吸って車を暴走させ、交通事故を起こす事件が多発している。 政府は薬物乱用対策推進会議でこれまでの規制の在り方を見直し、警察と協力して販売店の取り締まりを強化する方針を明らかにした。 脱法ハーブ(quasi-legal herbs)とは、幻覚・興奮症状などを起こす合成カンナビノイド(synthetic cannabinoid)を人工的に添加したハーブの破片で、乾燥させた葉っぱや茎などの植物片に吹き付けてつくる。 タバコと同様、煙を吸って使うが、覚せい剤や大麻に似た幻覚や興奮作用楽しむ目的で使用されるが、意識障害や筋肉けいれん、呼吸困難などを起こし救急搬送されたり、意識レベル低下のまま自動車を運転し、人を死傷させる交通事故が急増している。 

 合法の大麻として2004年ヨーロッパ(英国、ドイツ、スイスなど)で最初に流通した製品は「スパイス」と呼ばれ、英語圏ではK2,偽大麻(fake pot)などとも呼ばれる。 薬物の構造を少し変えれば、薬事法の規制対象外となり、「合法ハーブ」とか「合法アロマリキッド」、「お香」などの名前で流通する。 とくに近年、都市部では販売店が増えているようだ。

 日本では店頭やネットで販売され、2010年より流通が急増した。 厚労省研究班の調査によれば、2012年の救急搬送患者の数は、前年の10倍になったという。 年代別では、20~30才代が全体の80%を占めている。 愛知県では脱法ハーブの自販機が押収されたこともある。 脱法ハーブに代表される脱法ドラッグの毒性の詳細はまだよくわかっていない。 2010年に米国で発表された合成カンナビノイドによる中毒症状には、1)頻脈、2)興奮、3)嘔吐、4)精神錯乱、5)悪心、6)幻覚・妄想、7)高血圧、などがリストアップされている。 厚労省研究班が全国の精神科病床のある医療施設で治療を受けた脱法ドラッグ使用患者に対する調査によると、幻覚・妄想症状の出現率は45%に上り、覚せい剤における出現率の34.1%をはるかに凌いでいたという。 依存症の人も増えており、常用者は刺激を求めて、さらに強い脱法ハーブに手を出しがちである。 重症例では、肝障害、腎障害、横紋筋融解症をきたし、生命を危機に陥れることもあるとされる。 脱法ハーブは、覚せい剤に勝るとも劣らない危険性をもつことを我々は認識する必要がある。

 厚生労働省と警察庁は7月3日、「脱法」という呼称があたかも危険性がないような誤解を与えかねないので、「脱法ハーブ」や「脱法ドラッグ」が危険な薬物であることを容易に認識できるような新たな名称を募集すると発表した。 脱法ハーブの危険性を啓発するとともに、販売店の実態を正確に把握し、販売や使用の規制を強化するときである。 

  梅雨空にハーブの香りいずこから          中島澄夫
  芍薬や棚に古りける薬箱               水原秋桜子
  老いて尚なつかしき名の母子草           高浜虚子

富士登山と高山病

 富士登山の幕開けを告げる今年の富士山の山開きは、山梨県側(吉田口、河口湖口)が7月1日(火)、静岡県側(富士宮口、須走口、御殿場口)が7月10日(木)で、今年から大きく変わった。 登山ルートが山梨県側か静岡県側かで、山開きの日と登山期間が異なることになった。 富士山は平成25年6月に世界文化遺産に登録されたことから,今後登山者がさらに増えると見込まれ、静岡県側で開山時期を後ろにずらしたのだ。 これにより登山期間が実質2週間長くなり、登山者の分散が期待されている。 

 静岡県側の開山の遅れに伴い、それまで静岡県側が管理している山頂のトイレが使えないため、吉田口登山道の5合目では1日から10日まで携帯トイレが無料配布されるという。 今年は静岡県側の登山道に残雪が多く、7月10日に山頂まで開通するのは須走口ルートだけとなるようだ。 また環境保全や登山者の安全対策の強化を目的として、今夏から入山料として,登山者から任意で1000円が集められることになった。

 富士登山といえば、江戸時代から「一度も登らぬバカ、二度登るバカ」という言葉がある。 古来、標高(3776m)日本一の富士山は山頂に浅間大神が鎮座するとされ霊峰信仰としての登山が主流であったが、今や観光目的の登山へと変質している。 私の富士登山は、大学生時代の夏休みに河口湖赤十字病院で1週間ほどの見学実習生活を送らせてもらった際に病院職員と一緒に河口湖口より登頂したのが最初で最後となっている。 当時から7合目から上は、まるでアリの行列であった。 運よくご来光を拝むことはできたが、真夏でも気温は0°C近くで、いやに寒く防寒着もなかったので、早々に下山したのを覚えている。 梅雨が明ける7月下旬から9月上旬が富士登山のベストシーズンで、一番人気の登山ルートは、吉田口であり、河口湖ルートは6合目までに吉田口ルートと合流して一つとなる。

 日本旅行医学会は、富士登山を試み5合目に下山してきた5~12歳の児童245人の聞き取り調査を実施し、先日その結果を公表した。 これによると半数以上の55%に頭痛、めまい、吐き気、眠気、脱力、呼吸困難などの高山病の症状を認め、そのため50%が登頂を断念していた。 登頂前に5合目より高い地点で睡眠をとった児童は、麓と5合目の間で睡眠をとった児童より高山病発症率がより高いことも分かったという。 短期登山となる富士山では、長時間の高地滞在が子供には負担となるようだ。

 高山病は2500m以上の高山に登り、低酸素状態下で発症する低酸素環境症候群で、高度障害とも呼ばれる。 富士登山では、十合目付近から高山病の症状を訴える人が増え始め、上へ登るほど発症率は高くなる。 重症では脳浮腫や肺水腫を起こし死亡することもある。 症状が出たら高度を下げ、低地に早く戻ることが最善の対処法である。 富士登山のマストアイテムとして、最近はスライドストック、防塵用マスク、ヘッドライト、雨具、手袋、ショートスパッツ、酸素缶などがリストアップされている。 子供連れでの登山では、準備を含めて慎重な行動が求められる。

   大富士のジグザグの灯や山開            日野真沙子
   富士ひとつうずみ残して若葉かな           与謝蕪村
   鳰潜く湖に富嶽の雪明かり              栗田ひろし

サンパラソルサイズ小
今年のグリーンカーテンとして植えたサンパラソルの咲き始め(2014年7月4日撮影)

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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