サヨナラ2013年、そして最後に「利休にたずねよ」

 まだ積雪はないが、例年になく厳寒の年末である。 休みを利用して、映画「利休にたずねよ」を観た。 茶聖とまで称えられ、崇高なまでに研ぎ澄まされた美意識美の本質に迫る千利休の魂を、究極の愛をテーマにうたい上げた傑作であった。 利休が実際に使った茶の名器も登場し、本物志向の映画でもある。 この映画で利休が70歳にして、秀吉の命で切腹を選んだ心の軌跡がわかった気がした。

 映画は山本兼一による同名の歴史小説「利休にたずねよ」を映画化したもので、小説は第140回直木賞受賞作である。 

 主演は歌舞伎俳優の市川海老蔵で、見事に人間・利休を演じ切り、利休を蔭ながら見守る妻・宗恩を演技派女優の中谷美紀が演じる。 日本文化の一つである茶道の奥義を、観る人に感じさせる描写は素晴らしいの一語であった。 利休を取り巻く脇役を多くの演技派俳優が固めて人間・利休を際立たせている。 高麗の女を演じるクララの迫真の演技が、ひときわ光る。 映画の最後は、宗恩の「最後に私がおたずねしたかったのは・・・・・」であり、映画全体に深みを与えている。 日本映画史に残る名作の一つといってよいだろう。 

 さて、今日は大みそか、2013年も終わり、明日から新年である。 来る2014年が、多くの人にとって良い年になるよう願いたい。 私の新年はというと、志賀高原のスキー場で迎えるのが恒例である。 今年も元旦から4日間、孫たちも一緒の家族スキーである。 皆さんもそれぞれに、よいお正月をお迎えください。  



   初日受く大きく一歩踏み出して     神蔵 器
   処女雪を飛ばし飛ばして初滑り     中島 葵
   噴煙を小出しに晴れの雪浅間     槫沼けい一
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外国人旅行者に最も優しい国はどこ?

 年末になると、その年の総括として、流行語(buzzword)や各種ランキング(ranking)など、目を引く発表やイベントが行われ、新聞、TVのニュース欄をにぎわす。 今年の世相を反映する流行語大賞(「現代用語の基礎知識」選)では、「お・も・て・な・し」、「倍返し」、「今でしょ」、「じえじえじえ」、の4語が選ばれた。4語の受賞は過去最多という。 大賞なるものは本来一語であるべきだと思うが、世相もそれだけ混迷して不透明になったということかもしれない。

 世界経済フォーラム(World Economic Forum : WEF)が、本年(2013年)に発表した「外国人旅行者に優しい国のランキング」も興味深い。 WEFはスイスジュネーブに本部を置く非営利団体であり、世界が直面する経済などの重要問題を議論する年次総会が有名である。

 WEFは世界140カ国の観光インフラ、施設の整備状況、自然資産や文化遺産の充実度、治安状況などの項目を国別に点数化して比較した。 これらの相対評価では、スイス、ドイツ、オーストリアを筆頭に欧州5カ国が上位を独占している。 おもてなし度を7段階で評価した「外国人旅行者に対する国民の態度」つまり「外国人観光客に優しい国」のランキングを見ると、第1位はアイスランドニュージーランドで、共に6.8点である。 第3位はモロッコで、6.7点であった。 日本は6.2点で、74位、隣国の韓国、中国、モンゴルは、共に5.5点で、日本よりさらに低い位置である。 

 外国人旅行者に優しくないワーストスリーは、第1位がボリビアで4.1点、第2位ベネズエラ(4.5点)、第3位ロシア(5.0点)となっている。 間もなくソチで冬季オリンピックが開催される予定のロシアが、ワーストスリーに入っているのは気になるところである。

 今年は、7年後に東京でオリンピックの開催が決まった記念すべき年である。 決め手になった招致の言葉は、「おもてなし」だともいわれる。 山に海に街中にと、これから外国人観光客と接する機会は増加する。 「外国人旅行者に優しい国」のランキングで、日本が世界140カ国の中位に位置していることを頭に入れ、国民一人ひとりが、その改善に向けて努力していきたいものだ。


  はしはしと杉燃えておりスキー宿         秋尾  敏
  眼のほかは長所なき顔サンづラス        吉村ひさ志
  長々と川ひとすじや雪野原            野沢凡兆

 

 

和食が無形文化遺産に

 ユネスコ(UNESCO:国連教育科学文化機関)は本年12月4日に、ユニークな食文化として、一汁三菜を中心とした日本の「和食」を無形文化遺産に登録した。 日本独自の食文化の価値が改めて世界的に認められたことになったわけで、この登録は時機をえており、嬉しいニュースである。 

 無形文化遺産とは、「慣習、描写、表現、知識及び技術並びにそれらに関連する器具、物品、加工品及び文化的空間であって、社会、集団及び場合によっては個人が自己の文化遺産の一部として認めるものをいう」と定義され、日本では能楽、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎、雅楽などがすでに登録され、和食は22件目である。 今回、運動の中核となったのは、京都の料亭主人らが作るNPO法人の「日本料理アカデミー」で、和食の魅力を広めるための運動を日頃から展開し、小学校での食育授業も実施しているという。 子供時代に健康的な食習慣とは何かを理解させることの重要性については言うまでもない。

 食に関する無形文化遺産としては、これまでにフランスの美食術、地中海料理(イタリア、ギリシャ、スペイン、モロッコ)、メキシコの伝統料理、ケシケキ(麦がゆ)の伝統(トルコ)が登録されているという。 新たに登録された和食は、新鮮で多様な食材と持ち味の尊重、栄養バランスに優れた健康的な食生活、自然の美しさや季節の移ろいの表現と優美な盛り付け、正月など年中行事との密接な関わり、「だし・うまみ・こく」の和食ならではの味、などが評価されての登録であり、食文化として体現される日本特有の価値観や生活様式、社会的伝統なども含まれての登録とされる。

 米国では近年、エダマメ(Edamame)が人気で、毎年3万トンづつ消費量が増えているという。 現在は消費の9割が中国からの輸入だが、旺盛なアメリカ市場を狙い、日本の農協(北海道)や米国の農家も増産を計画中のようだ。 アーカンソー大学(米国)では枝豆の品種改良にも着手しているらしい。 フランスやメキシコなどでも、和食人気があるという。

 海外での和食人気に比べ、国内一般家庭での和食料理は確実に減っているとされ、空洞化現象がみられる。 折角の無形文化遺産登録を機会に我々日本人こそ、和食の良さを再認識し、健康的な食習慣を見直す機会にしたいものだ。


 紫蘇にのる千枚漬に湧く郷愁     山口上毛子
 太箸や白きに言葉あらたまる     広瀬裕子
 賀状書く若きわが身を想いつつ    中島澄夫

ナッツをよく食べる人ほど死亡リスクが低い

 ナッツは木の実で、肥大した種子の胚や仁を食用にし、アーモンド、クルミ、カシューナッツ、ピーナッツ、栗、ゴマ、ぎんなん、松の実など多彩である。 人間の最初の食べ物は「木の実」だったという(アダムの創造と原罪)。 古代から人の貴重な保存食として、また神事の供物としても利用されてきた。 アーモンドは4000年前から食用に利用され、王侯貴族の高級嗜好品だったという。 米国ハーバード大学医学部のY.Bao氏らが、権威ある臨床医学誌(N.Engl.J.Med.2013:369;2001-11)に発表した調査研究によると、ナッツの摂取頻度が高い人ほど全死因死亡、癌死亡、心血管疾患死亡、呼吸器疾患死亡が低くなるという逆相関関係が明らかになったという。 ナッツをよく食べる人ほど長生きするというわけである。

 Bao氏らは米国ナース健康調査(1980~2010年)の参加者女子76464名と医療従事者追跡調査(1986~2010年)の男子参加者42498名からなる約12万人について大規模コホート研究を行った。 調査期間中の死者は、女性16200人、男性11229人であった。一盛り(28g相当)のナッツ類を平均して1週間に何回食べるかを質問票で調査した。 食べないかほとんど食べない、週1回未満、週1回、週2~4回、週5~6回、週7回以上、の6グループに分けて検討した。 なお、ナッツ摂取頻度については、調査開始時と2~4年毎に調査した。 その結果、ナッツ摂取頻度と総死亡、癌死亡、心疾患死亡、呼吸器疾患死亡とは逆相関関係を示すことが統計的に証明された。 非摂取グループに比べて、各摂取グループの総死亡減少率を見ると、それぞれ7%、11%、13%、15%、20%であり、摂取頻度が多いほど減少率は大きくなり、週7回以上のグループで最も高かった。 先行研究で、ナッツ摂取量が多い人ほど、心血管疾患や2型糖尿病など慢性疾患リスクが低くなることは知られていたが、死亡リスクとの関連は不明であった。

 ナッツ類は不飽和脂肪酸、植物性たんぱく質、ビタミンE,B1,B2,ナイアシン、ミネラル(K、Mg,Ca,Znなど)、フィトケミカル(フラボノイドなど抗酸化物質)および食物繊維を多く含むという栄養学的特徴をもっている。 ナッツの持つ栄養学的総合効果が、ガンや慢性疾患の発症を予防し、長生きに貢献しているのであろう。

 何事も、「過ぎたるは及ばざるが如し」という。 英語では「More than enough is too much.」である。 ナッツ類は、一度手を出すと口当たりの良さからやめるのがしばしば難しい。 自制心をもって上手に利用したいものだ。


   よろこべばしきりに落つる木の実かな      富安風生
   詠めてこそここだ降りくる木の実かな      中島 葵
   胡桃落つ音すぐ消えて山の池          飯田龍太

 

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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