作物の害虫、ナメクジの正体

 梅雨に入り曇天と雨の多い季節である。  庭のブルーベリーが熟し始め、これを知ったヒヨドリが狙って飛び交うこの頃である。 春から夏にかけて畑や家の周りで活発に動き回り、苗や作物に重大な被害を与える動物に夜行性のナメクジ(slug:蛞蝓)がある。 雨の日には紫外線にさらされる心配がないので、日中でも活躍し餌を求めて動き回る。 好物はキャベツ、白菜、ニンジン、キュウリ、トマト、落ち葉などで、春先にはやわらかい苗の茎をやすりの様な歯で削り切ってしまう力を持つので、農家や園芸家にとっては厄介者である。 足の前方から粘液を出して歩くので、移動した後には粘液の筋を残し、その存在を知ることができる。

 ナメクジは貝の一種で、「かたつむり」から分化し、殻が退化してナメクジになったとされる。 ナメクジとカタツムリは共に雌雄同体で、1匹がオスとメスの両方の生殖器を目の近くの頭部に持ち、精子と卵子の両方を持っている。 2匹がすれ違うようにして交尾すると、両方が卵を産む。 一度に20~40個の卵を頭部から出して産み付ける。 春と秋の産卵が多い。 約1か月で孵化するので、繁殖力は抜群である。成虫の体長は5~6cmで触角が2本あり、体表は粘液で覆われている。 寿命は2~3年と言われており、冬は土中で冬眠する。 昔はナメクジを食べる民間療法があったらしいが、しばしば線虫が寄生するので、生で食べるのは危険とされる。

 ナメクジの退治には家の周りの場合は、飲み残しのビールを小さなプラスチック容器に入れて居そうな場所に夜出して置くと、ナメクジが大好きなビールの中に入り飲んで死ぬのを利用すると便利である。 ビールの中にナメトールなどの殺ナメクジ剤を入れるのもよい。 「ナメクジに塩」ということわざがあるように、塩をかければ浸透圧で脱水して死ぬ運命にある。 畑では粒状の殺ナメクジ剤や駆除剤を必要に応じて撒き退治するが、完全退治は難しい。 

 
 南アフリカには体長20cmを超える巨大ナメクジが棲息すると言うが、最近のニュースによると体長10~15cmにも及ぶ大型の外来種ナメクジが日本で繁殖し始めているとされ、すでに福島、茨城、長野の3県で確認されているという。 体表は豹柄で迫力もあるらしい。 繁殖の封じ込め作戦が成功し、全国的な分布にならないよう願いたいものだ。

  蛞蝓といふ字どこやら動き出す      後藤比奈夫
  キャベツ採るねばる蛞蝓今日も居て   中島澄夫
 
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予想を上回る認知症高齢者の増加

 厚労省研究班による最近の大規模調査研究によると、我が国における認知症患者数は従来考えられていた推計数よりも遥かに多く、2012年時点で約462万人に達し、この数値は昨年の推定値より約160万人も多いことが分かった。 また、軽度認知障害(MCI)とされる、いわゆる認知症予備軍の高齢者も約400万人おり、両者を合算すると合計862万人となり、65歳以上の4人に1人が該当することになるというのだ。

 平成23年の我が国における65歳以上高齢者人口の、総人口に占める割合(高齢化率)は23,3%であり、これも過去最高である。 高齢化率は平成25年には25、1%に達し、4人に1人は高齢者である。 今後も上昇を続け、平成72年[2060年]には、39,9%に達し、国民の約2,5人に1人が高齢者となる。 このような超高齢社会を我々はどのように生きるべきか今から国民一人一人が真摯に考えるときを迎えている。このまま高齢化率が高くなれば当然ながら認知症とその予備軍もうなぎ上りに増加することが予測され、認知症対策は今や喫緊の課題である。 まずは自分の認知症をどう予防するかを考えるのが第一歩だと思う。 糖尿病、高血圧、脂質異常症など向こう岸に血管病が見えている生活習慣病を予防し、さらに早期発見、早期治療に努め、コントロールをしっかりやる必要がある。

 最近行われた東京都健康長寿医療センター研究所の調査研究によると、70歳以上では普通に歩くときの歩幅が狭いと認知症リスクが高くなるという。 調査では認知症がなく、自立した70歳以上の高齢者666人を、年齢や身長などの条件を調整して、歩幅を「広い」、「普通」、「狭い」の3群に分け、認知機能の推移を平均2、7年にわたり観察した結果、歩幅が「狭い」群は「広い」群に比べて認知機能低下のリスクが3,4倍高かったという。 女性では特に差が大きく5,8倍であった。 日頃から下半身を鍛え、しっかり歩く習慣を身につけたいものだ。

  大輪の紫陽花に葉の大きさよ      稲畑汀子
  紫陽花の一毬生けて朝の卓       中川悦子
  紫陽花の庭に出てみる旅帰り      稲畑汀子


紫陽花
梅雨で元気な我が家、庭の紫陽花(By S.Nakajima)

植物も良き隣人で成長が促進

 スナックエンドウと玉葱の収穫が終わり、間もなくニンニクとジャガイモの収穫を迎える。 夏野菜のトマトやキュウリが順調に育ち、先週からぼつぼつと収穫が始まった。 自然の太陽の恵みをたっぷり受けて熟したトマトやキュウリの味は格別で、スーパーで買ったものとは全然味が違う。 自分で育てる苦労のし甲斐を感じる時でもある。 収穫したあとの空き地を眺めながら、次に何を播いたり植えようかと思いを巡らすひと時もまた貴重で楽しいものだ。

 さて最近の研究で、「植物を特定の植物の隣に植えると、単独で植えた時よりも元気で早く成長する」ことが実証できたという報道(BMC Ecology 誌 オンライン版 5月7日付掲載)は大変興味深い。

 西オーストラリア大学の進化生態学者、モニカ・ガリアーノ(Monica Gagliano)氏らの研究チームは、トウガラシの隣に「良き隣人」として、雑草や害虫を防ぐバジルなどを植え、単独で植えた時と比較した。 すると単独のトウガラシに比べ、隣人に恵まれたトウガラシの方が、発芽も早く、より元気で早く成長したという。 光や植物の出す化学物質の信号を遮断するため、黒いプラスチックで隣の植物を覆っても結果は同じだった。トウガラシの苗は隣の植物の種類を認識し、それに応じて成長しているようなのだ。 同じ研究チームは昨年、トウガラシの周りに、ハーブの一種のフェンネル(ウイキョウ)など、他の植物の成長を阻害する化学物質を放出する「悪しき隣人」を植えると、トウガラシの成長が遅れることを明らかにしている。

 つる性の植物や野菜の苗などが光に向かって成長する姿はしばしば観察される。 植物は複雑な生物体で,驚いたことに、光を見る「視覚」に加え、においをかぐ「嗅覚」や、周囲の音を聞く「聴覚」も備えている可能性があるのだ。 

 詳しい仕組みの解明は今後の研究にゆだねられるが、植物は人間と同様互いに影響し合っていることは確かなようだ。 人間社会では、「遠い親戚より近くの他人」(A near friend is better than a far-dwelling kinsman.)という。 類似の警句に「まさかの時の友こそ真の友」(A friend in need is a friend indeed.)といったりもする。 

 植物間のコミュニケーション手法の詳細を解明できれば、それを利用して農業に応用し、化学肥料や農薬を使わずに、特定の作物の生長を促進したり抑制したりが可能となり、願ったり叶ったりである。 動植物を問わず良き隣人は、いつの世にも貴重である。

 花菖蒲1
 花ショウブ 1 (H25.6.3 知立神社花しょうぶ園にて撮影 : By S.Nakajima)

花菖蒲2
 花ショウブ 2 (同上)

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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