自宅浴槽で水死する高齢者が増加 : 原因はヒートショック

 福岡県の発表によると、今年11月に自宅の浴槽で水死した65歳以上の高齢者が70人に達し、前年同月比で31人増加し、1.8倍に増加したという。

 寒さが厳しくなる11月から3月にかけての冬季には暖房が利いた居間から、寒い脱衣場へ移動し衣服を脱ぐと、全身の血管が収縮して血圧が上がり、そのまま急いで熱い湯に入ると、今度は血管が急に拡張し血圧が下がって脳の血流が急に減るため意識を失って浴槽内で溺れてそのまま水死してしまう事例が増加する。 このような急激な温度変化により人体が受ける影響や衝撃をヒートショック(heat shock)と呼び、脳貧血、不整脈、急性心筋梗塞、脳梗塞などを起こしやすくなる。 ヒートショックは最近では高齢者の家庭内事故原因のっトップを占め、高齢者が家で突然死する原因の約1/4を占めている。 

 ヒートショックによる全国の年間死亡者数は1.5~2万人と推定されて溺死と病死が含まれ、年間交通事故死亡者数(平成23年は4611人)の3~4倍も多い。

 入浴中の突然死は外国では比較的少なく、日本の高齢者に多いのが特徴である。欧米ではシャワー浴が主流であるのに対し、日本では湯船に肩までつかる全身浴が主流で、ヒートショックを起こしやすい入浴習慣を持つためである。

 ヒートショックを予防するためには、1)入浴時にはあらかじめ脱衣場や浴室を暖めておく、2)湯温を38~40℃とややぬるめにする、3)食事直後や飲酒直後の入浴は避ける、4)入浴前後にコップ一杯の水を飲む、5)湯船から出るときは、ゆっくり立ち上がる、などが役立つ。

 飲酒でアルコールが血液中に入ると、血管が拡張し血圧は一時的に下がり、頻脈となるので飲酒後1時間は入浴を避けた方が良い 。ただし毎日の大量飲酒習慣は基礎血圧を上昇させ、高血圧の原因となるので注意したい。

 入浴時のヒートショックによる突然死は高齢者に多いが、若い人でも高血圧の人は同じような注意が必要だ。

寒牡丹1028
名古屋市徳川園の冬牡丹
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ガン探知犬の活用

 臭いを嗅ぎわける能力はヒトより犬の方がはるかに優れている。 海外旅行から帰ると、空港の手荷物引取所には、賢そうな「麻薬探知犬」が現れて帰国者の間を縫って歩き活躍する姿が目につく。

 臭いを嗅ぎわける嗅覚受容体は鼻腔の鼻中隔上部と左右の上部鼻甲介上部に囲まれた比較的狭い部位にあり、その面積は1cm2である。 人間ではこの部位に、におい受容体が約400種類存在するのに対し、犬やネズミでは2倍以上の約1000種類の受容体が存在するとされ、犬のにおいに対する感覚がいかに優れているかがわかる。 においで刺激された受容体は脳に信号を送り、数万種類ものにおいを嗅ぎわけることになる。

 オーストリアの共同研究チームは、犬に肺がん患者を嗅ぎ当てる高い能力があることを証明し、今月初めに発表した。 研究チームの一人であるPeter Errhalt(クレムス病院呼吸器科長)によると、訓練された「ガン探知犬」は、用意された120の呼気検体の中から70%の確率で肺がん患者の呼気を嗅ぎ当てたという。 呼気中の臭気物質が何かを特定できれば、それを専用にキャッチする機器、「電子鼻」を開発できることになり、肺がんを早期発見する有力な武器になる。

 日本でも数年前から「ガン探知犬」の研究が行われており、九州大学の園田英人教授らの研究(Gut 2011,11,31)によると、大腸癌患者の呼気を嗅ぎわける訓練を受けた「ガン探知犬(ラブラドルレトリバー)は、95%の精度で大腸癌患者の呼気を判別し、大腸内視鏡検査とほぼ同じ正確さであった。 この犬の嗅覚は初期の大腸癌に特に有効で、大腸内視鏡検査では不可能なポリープの良悪性の識別もできたという。

平成23年人口動態調査によると、日本人の部位別のガン死亡数とガン死亡率(人口10万対)は、いずれも男性では1位が肺がん、2位が胃がん、3位が大腸がん、女性では1位が大腸がん、2位が肺がん、3位が胃がん、となっており、ガン対策の中でも肺がんと大腸がん対策は極めて重要である。

 癌患者の呼気は各種がん特有の揮発性有機化合物を含む可能性があり、これを特定することが今後の課題である。 さらにこれに基づき、各種がんに対する「人工鼻」を開発し、がん診断の武器にすることが期待される。

Xmasのイルミネーションを楽しむ

 夕食後に約1時間のウォーキングを日課とするようになって、もうかれこれ10数年になる。例年12月に入ると、クリスマスの飾りつけをする家が出て、寒い中でも点滅する光の芸術を楽しめる時期である。 この時期、ホワイトハウスの巨大Xmas treeの点灯は、年中行事として明るいニュースの一つである。

 華やぐXmasイルミネーションの起源は16世紀の中世ドイツにさかのぼるとされる。  ドイツ中北部のハルツ山岳地域には、古くからモミの木(fir, Tannenbaum)に小人が住み、村を守って幸せを運んできてくれるという信仰があり、お祭りの時にモミの木にロウソク、リンゴ、卵、花などを吊るし、その廻りを歌を歌いながら踊ると、木に隠れていた小人が出てきて村人たちに無形の力を貸し与えてくれると信じられたという。 この風習がクリスマスツリー(Christmas tree)の始まりとされ、小人たちがサンタクロースの原型ともなり、その後時を経て、明るいクリスマスツリーが世界各地に広がったとされる。

 日本で最初のクリスマスツリーは1860年に、プロイセン(バルト海沿岸の旧ドイツ領)の使節であったオイレンブルクが、公館に飾ったもので、これがおそらく最初だという。 またイルミネーションでは明治時代に明治屋の創業者が英国に留学した際に体験したロンドンのクリスマスの飾りつけにいたく感動し、これを参考にして帰国後、進出した東京銀座の明治屋に電飾の飾りつけを行ったのがイルミネーションの始まりとされている。

 折から今年はウォームビズで、節電が大きなテーマとなっているが、住む人の心を温め、安らぎをもたらす程よいXmasイルミネーションは、生きている人のささやかな贅沢であり、守りたい大切な文化でもあると思う。
クリスマス電飾
近隣の家で輝くXmasイルミネーション

ノロウイルス変異型による感染性胃腸炎の流行

 初雪が降り寒さが本格化するとともに、ノロウイルス変異型による感染性胃腸炎の流行が本格化しつつある。 国立感染症研究所によると今年は11月下旬の段階で、過去10年で最も流行した2006年に次ぐ2番目のペースで患者が増えている。 今年は2006年のウイルスが変異した新型が全国の患者から検出され感染力がさらに強まったことが急増の原因とされる。 特に九州と関西で多く、大阪の病院ではノロウイルスの集団感染で入院患者と職員の男女計48人が嘔吐や下痢を訴え、76歳の男性と88歳の女性が死亡したという。 愛知県豊橋市は12月3日、ノロウイルスによる感染性胃腸炎の多発を受け、「感染性胃腸炎警報」を発令した。 

 ノロウイルスとロタウイルスは似た者同士で共に吐き気、嘔吐、下痢、腹痛を主症状とする感染性胃腸炎を起こすが,ロタウイルスが主に生後6カ月から2歳の乳幼児を感染対象とするのに対し、ノロウイルスは乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層に感染する。ノロウイルスは11月から3月にかけて、ロタウイルスはやや遅れて1月から4月にかけて流行する。 インフルエンザと同様に主に冬季に流行するので、米国では俗に「お腹のインフルエンザ(stomach flu)と呼ばれ、日本では「胃腸風邪」と呼ばれたりする。乳幼児のロタウイルス感染症では白色の下痢便をみるので白痢とか仮性小児コレラと呼ばれた歴史がある。

 ノロウイルスの感染経路は3つあり、1)ノロウイルスに汚染されたカキなど貝類や飲料水の摂取(経口感染)、2)ウイルスに汚染したドアの取っ手、吐物、衣服、物品に手指で触り、手指を口に入れることによる感染(接触感染)、3)患者の吐物が飛び散り、その飛沫、塵埃を吸い込んだり、便や吐物の不適切な処理で発生した飛沫を吸い込むことによる人から人への感染(飛沫感染)、などがある。 魚介類の汚染源は下水道の処理水に由来する。

 健全な年長児や成人では感染しても必ずしも発症しないが、感染力が強いのでウイルス数が10~100個程度、口から入ると感染、発症が成立しうる。患者の糞便1gには、100万個~100億個のウイルスが排出される。感染後通常1週間から長いと1ヶ月間ウイルスの排出が続くといわれる。感染から発症までの平均潜伏期間は1~2日で、最短12時間である。

 ノロウイルスは感染力の強さから子供や高齢者が集団生活する施設、保育所、老人保健施設などで集団発生しやすい。元気な成人では1~2日で多くが自然治癒するが、乳幼児、高齢者、免疫不全者では脱水で重症化することがあるので、補水対策を強化する必要がある。ウイルス性胃腸炎では、細菌性と異なり、便に血が混じることはまずない。

 診断には糞便中のウイルス抗原を迅速に検出できるキットがあり、ノロウイルスにはクイックナビ ノロ2が、ロタウイルスにはイムノカードSTロタウイルスやロタレックスドライなどがある。ただしクイックナビ2には次の保健適応の限定がある:1)3歳未満の患者、2)65歳以上の患者、3)悪性腫瘍の診断が確定している患者、4)臓器移植後の患者、5)抗悪性腫瘍剤や免疫抑制剤を投与中の患者、である。

 消毒にはアルコールは無効で次亜塩素酸ナトリウム液(0.02%)を用いる。食品を介した感染の予防には85℃1分間の加熱が有効である。調理器具の熱湯消毒、塩素消毒、手洗いや手袋の使用などが重要である。患者の吐物や糞便の処理には使い捨てのマスクと手袋を着用し、汚物中のウイルスが飛び散らないよう静かに拭き取る。「吐いたら、体を紙で拭き取り、捨てること」が基本である。ノロウイルスに対する特効ワクチンは未開発だが、経口のロタウイルス生ワクチン(ロタリックス、ロタテック)が開発され利用できる。

 治療効果のある抗ウイルス薬はなく、便と共にウイルスを早く排泄してしまう方が回復が早いので、下痢止めは使わない方がよい。 少量ずつ頻回の経口補水(経口補水液OS-1,生理食塩水、スポーツドリンクなどを体温程度に温めて飲用)で脱水を予防し、重症では点滴による輸液が必要となる。

 年末を控えて冬季嘔吐症、冬季下痢症の代表格であるノロウイルスによる感染性胃腸炎にならないよう、特に外出後、食事前、トイレ後には、入念に石鹸で手洗いするよう心がけたい。

 

地球から火星へ8万人が移住へ

 「旅は道連れ、世は情け」という。 旅は人を強くし豊かにする。 一人旅よし、仲間との旅よし、そして家族旅や夫婦旅もよい。 道中、苦難もあるが、それを何とか打開するのも旅である。 まさに、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」である。

 地球から離れて別世界で暮らしてみたい人にはうれしいニュースだ。 米国メディアの先月27日付け報道によると、宇宙ベンチャー企業のスペースX社の共同設立者および最高経営責任者(CEO)で、かつテスラ・モーターズ会長兼CEOを務め、米国におけるIT革命児で、今注目の若手起業家、イーロン・マスク(Ilon Musk)氏は、今後15~20年の近未来に、地球から火星に8万人を移住させ、自給自足の生活を送り子孫を残すという壮大な計画を立案中だという。 当初は、まず10人未満の少人数を移住させ、集団で自給自足可能な居住区を作ることから始めるということだ。

 Musk氏は「21世紀の自動車王」の異名を持ち、自前の自動車会社(テスラ・モーターズ)で安価で高性能な電気自動車(EV)「モデルS]などを開発発売し、また宇宙ロケットと宇宙船を開発し、5月に国際宇宙ステーションとのドッキングを成功させている。

 米航空宇宙局(NASA)は2011年11月に打ち上げた史上最大の無人火星探査車、「キュリオシティ Curiosity」を使って採取した火星の土や気体のデータを分析しつつあり、近々歴史的な分析結果を発表するのではないかとの期待が高まっている時でもある。 NASAの今年10月17日の発表では、火星の地表を覆っている土は、ハワイの火山に由来する玄武岩質の土とよく似ており、石の化学成分は地球の火山帯にある火成岩と類似で、長石を多く含む一方、MgやFe分の含有度は低いという。 さらに10月27日の発表では、丸い砂利を含む堆積岩を発見し、この砂利は水に流されて丸くなったと考えられ、採取地域は太古の川床の跡地であると推定できるらしい。

 火星に大量の水があった直接の証拠が見つかったのは今回が初めてであり、一時は人の足首から腰程度の深さの水が存在し、流れは秒速約1mだったと推測できるという。 かつては微生物などの生命を育む温暖な環境だった可能性があり、NASAは現在、有機物など生命活動の痕跡がないかどうかを調査中である。

 民間人の宇宙旅行が現実となる日が遠くないといわれる時代である。 Musk氏の夢は実現するのか、火星は人類を受け入れる用意があるのか。 いずれにしても夢は大きく、そして楽しくありたいものだ。

Skiing in Yokoteyama
志賀高原・横手山スキー場・山頂からの眺め

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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