真空パック食品の常温保存は危険

 今年3月鳥取県で真空パック食品の麺類を食べた60歳代の夫婦がボツリヌス菌による食中毒を発症し、一時意識不明となる事件があった。 スーパーやコンビニで売られている真空パックの総菜などをレトルト食品と混同して常温保存すると、「最強の自然毒素」といわれる毒素を出すボツリヌス菌が繁殖し、それを食べると食中毒を起こし、意識不明となるケースがあるので11月19日、厚労省は注意喚起のリーフレットを作成し、配布を開始すると発表した。

 厚労省によると、平成12年から平成24年10月までの間に、ボツリヌス菌による食中毒は4件(患者数5人)が確認されている。

 ボツリヌス菌は嫌気性菌の一つで、ほかの多くの食中毒菌と異なり、真空パックのような酸素の極めて少ない密封状態で増殖し、毒素を産生する。 この毒素を含む食品を食べると、神経節からのアセチルコリン放出が抑制され、神経や筋肉がマヒし、重症例では呼吸困難となり、短時間で死亡する。 毒素の毒性は極めて強く、かつては生物兵器として研究開発されたとされ、炭疽菌と同様テロリストによる使用が懸念されている毒素でもある。 日本では1995年、オウム真理教による地下鉄霞ヶ関駅構内ボツリヌス毒素散布未遂事件があった。 この菌は熱に強く、殺菌には120℃以上の高温で4分以上の加熱が必要である。

 食中毒の危険が高いのは、真空パック食品の中でも漬物や総菜など十分な高温加熱殺菌が行われていない食品である。 ボツリヌス菌は冷温に弱いので、冷蔵(10℃以下)で保存する必要がある。

 カレーなどのレトルト食品は、菌を死滅させるため、「120℃で4分以上の加熱」が義務付けられており、常温で保存できる。 真空パック食品の場合は、常温保存ではなく、「要冷蔵」を心がけねばならない。 また、容器が膨らんでいたり、異臭がする場合は食べないことも重要だ。

ふくべ大滝1
秋のふくべ(瓢箪)大滝:白山スーパー林道からの眺望
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ウオームビズの季節入り

 ウオームビズ(Warm Biz)は、環境省が地球温暖化防止のために行ったキャンペーン、クールビズ(Cool Biz)の秋冬版で、過度な暖房使用を控えながら快適に過ごすライフスタイルを言い、実施期間は11月から3月までである。 この時期、日常の衣食住を見直し、寒い時は保温性のある衣類を着て、温かいものを食べ、20℃の適温暖房で暖かく恰好よいビジネススタイルで働くことを目指している。暖房に必要なエネルギー使用量を減らすことができれば、CO2発生を削減し地球温暖化を防止でき、いずれ枯渇する化石燃料を節約できることになる。

 まず衣であるが、軽くて暖かいウエアへの切り替えが必要だ。 近年、超極細で吸湿保温性の優れた繊維が開発され、繊維自体に発熱性のあるヒートテックや発熱性はないが薄くて肌触りが柔らかで保温性のよいヒートファクトなどの素材を用いた肌着が開発発売され、寒さ対策に人気であリ、ぜひ利用したい。

 食で、体が温まる料理といえば何と言っても鍋料理である。 寄せ鍋、すき焼き、しゃぶしゃぶ、おでん、と種類も豊富で選択肢が多いので、内容を工夫する楽しみもある。キムチ鍋とトマト鍋は冬に合う。 因みに、立冬の日となることが多い今月の11月7日は、「いい(11)な(7)べ」の語呂合わせから「鍋の日」に指定されている。 調査によると、最低気温が15℃を下回ると、夕食を鍋料理にする家庭が増え、10℃以下になると急増するという。 納得である。 鍋を囲んで家族団欒の時間が増えれば心も体も暖まり、個室で過ごす時間が減り省エネにもつながる。 鍋料理で注意すべきは、「食べ過ぎ」と「部屋ににおいがこもりやすい」ことであろう。 食べすぎには野菜を多くして、これを先に食べるなど料理人の腕と食べる人の知恵が必要だ。

 住では、近年、断熱性の高い建物が増え、冬でも比較的軽い暖房で室温20℃を維持できる環境が整いつつあるのはうれしい。過剰な暖房とならないよう注意したい。 天井が高い場合は部屋全体の空気を対流させる工夫、足元だけを暖める局所暖房の工夫、昼は太陽光を部屋へ取り入れ壁や床を暖める工夫、夜はブラインドを下ろす工夫、などが室温アップに役立つ。 家族一人一人が暖房を使うのではなく、夜はできるだけ一つの部屋で過ごす「ウオームシェア」も大切にしたい生活の知恵だと思う。 

自分でできる肩こり解消法

 秋が深まり初冬の季節を迎えると、寒さで筋肉が緊張してこわばり、末梢血管が縮むため、筋肉を収縮させるエネルギー源である酸素と糖が十分供給されなくなり、肩こりを訴える人が増える。 特に筋肉の少ない女性では、筋肉の疲労が起こりやすく肩こりとなりやすい。 肩こりの直接の原因は筋肉への酸素の供給不足と筋肉内からのカルシウムの流出(増えたリン酸と結合する)であり、使い過ぎると解糖の過程で生じた乳酸や水素イオンが溜まり、筋肉内のpHが下がって酸性となり筋肉のこりが増強する。

 肩や首は頭と腕の重みを支えるという大きな役割をもっている。 普段、何もしない時でも体重65kgの人の場合、頭の重量約4kg、両腕の重量約8kgで、合計約12kgの重量を首と肩で支えることになり、首と肩の負担はかなり大きい。

 人の背骨(脊柱)は横から見ると、真っすぐではなくS字カーブを描いて曲がり、頸椎も前方に出っ張るゆるい曲線を描いて、上からかかる重さを上手に分散させている。 姿勢が悪いと余計な重さが首や肩にかかり肩こりの要因となる。 また全体が関節でつながっている他の部位と異なり、腕は筋肉だけでぶら下がっているという特異な構造を示すため肩の筋肉は特に疲れやすいといえる。 

 首や肩の凝りを自分で軽減する方法として、1)枕の調整、2)入浴、3)肩こり体操、の3つがあるので試してみたい。

 1.枕の調整
  枕の調整で肩こりの約7割が改善するとされ重要である。 横向き(横臥位)に寝る場合は額、鼻、あご、胸の中央の高さが一直線となり、床面と平行になるよう調整する。 上向き(仰臥位)に寝る場合は呼吸が楽にできる高さで、ベッド面と約15度の角度をつける高さとする。 左右に寝がえりをしやすい面と硬さをもった枕とすることも重要である。 最近は天柱などのツボを指圧して揉んでくれる「肩こり解消枕」も開発されている。 3条件を満たす自分に合った枕を2~3個揃えて使い分けるのがよい。

 2.入浴
  肩こりを経験しやすい人は38℃~40℃の湯温で、全身浴を基本とする。不整脈、虚血性心疾患、心筋症、弁膜疾患、心不全など心疾患をもっている人は半身浴を基本とし、終了時に熱めのシャワーを3~4分間、肩に当てることにするのがよい。

 3.肩こり体操
  肩こり体操や首と肩のストレッチ運動を週3~4回行うよう心がける。 30秒で肩こりが楽になる「肩こり体操」など、多くの肩こり体操が動画を含めてインターネット上に紹介されているので自分に合ったものを選んで実行する。 バンザイ体操など予防に有効な体操を取り入れるのもよい。

肩こりを起こす病態として、貧血、高血圧、低血圧、狭心症、心筋梗塞、歯周病、眼精疲労、更年期障害などがあるので、原因疾患がある場合にはその対策を忘れないようにしたい。

香嵐渓1
   豊田市足助町香嵐渓にて

 

タマネギ植え付けの季節がやってきた

 11月はタマネギの苗を植え付ける適期である。 先週末に、極早性、早生、中生、の黄タマネギ300本と赤タマネギ100本の苗を計400本購入し、植え付けを完了した。

 タマネギは英語で、オニオン(onion)といい,ラテン語のユニオン(大粒の真珠)に由来する。オニオンという言葉は、またタマネギだけでなく、ネギ属植物の総称として使われ、普通のネギはグリーン・オニオンと呼ぶ。 タマネギは紀元前3000年以上の古代メソポタミアやエジプトで食用に栽培され、特にピラミッド建設の労働者達がニンニクと一緒に食べていた記録がある。 日本への本格的な導入は明治初期の北海道開拓使によるとされ、当初は日本人の口に合わず、ニュージーランドなど海外へ輸出された時期もあったという。 第二次世界大戦後の食生活の洋風化に伴って、タマネギ人気が高まりサラダ、炒め物、煮物、揚げ物、などの食材として消費量が増え、栽培面積も急増した。昨今の全国一の生産地は北海道である。日本人がタマネギを最もよく使う料理はカレーライスといわれ、1人当たりの年間平均消費量は約10kgとされる。

 タマネギの品種は多く、生育スピードにより極早生、早生、中生、晩生が区別され、一般的な黄タマネギの他に赤タマネギ、白タマネギ、ミニタマネギ、葉タマネギなどがある。 晩成種は特に長期保存に適し、生食用のサラダには赤タマネギが最適である。

 タマネギは細胞質内に主成分としてイソアリルシステインスルホキシド(イソアイリン)を含み、組織が破壊されるとアリイナーゼという酵素が働きスルフェン酸を生成する。 スルフェン酸は不安定物質で直ちに重合してアリシンなどチオスルフィネートとなり、さらに反応は進行して多様な含硫成分に変化することが知られる。
 
 タマネギには辛味苦味の二つの味成分があり、さらに加熱すると旨味成分が増す。 辛味成分の主役は硫黄化合物のチオスルフィネート(アリシンなど)で、特有の臭気をもち抗菌作用、抗酸化作用、抗ガン作用、抗血小板作用など多彩な作用を示すほか、ビタミンB1と結合してアリチアミンとなりビタミンB1の吸収を促進する。 苦味成分はケルセチンというポリフェノールによるもので抗酸化作用を示し、がんや老化の予防に役立つ。 加熱すると甘味が増すのは水分蒸発による糖濃度の上昇や組織の軟化が主因とされる。 低温の油で加熱すると生成されるアホエンは脳を活性化し記憶力アップに有効とされる。チオスルフィネートは水溶性で、水にさらすと多くが流出するので、サラダにする時には水にさらさず酢で辛味を和らげるのがよいようだ。

 タマネギは生のまま長期保存可能なストック野菜として、台所では極めて貴重な食材である。 天然食材の一つとしてアルカリ食品のタマネギを日常の食生活の中へ上手に取り入れ、効果的に利用したいものだ。

チビタンによる玉葱
    ボールペン画家「チビさん」による「玉ねぎ」の水彩画

喫煙の継続は寿命を10年縮める

 喫煙の弊害は広く知られているが、喫煙の日本人の寿命に及ぼす影響が明らかにされ、英国の医学専門誌(BMJ,Sakata R 他)に発表された。 これは1950年に開始された前向きコホート研究によるもので、調査対象は日本人の男性2万7311人、女性4万662人である。 コホート研究とは大きな集団を長期間追跡する調査方法で、最初に健康な人の喫煙習慣の有無を調べ、この集団を前向き、つまり未来に向かって追跡調査し、後から発生する結果を確認するのが「前向きコホート研究」である。

 1920~1945年に生まれ、20歳前に喫煙を開始した喫煙継続者の、非喫煙者に対する総死亡率比は男性2.21、女性2.61であり、喫煙継続者の平均寿命は非喫煙者に比べ男性で8年、女性で10年短かった。

今や、日本人の平均寿命は男性79歳、女性86歳の時代であるが、喫煙だけの要因で寿命が10年短縮するというのは一つの驚きであり、無視できる数字ではないと思う。

 喫煙によって体内に吸い込まれる有害物質は4000種類を超えるとされるが、その代表格のニコチン、タールおよび一酸化炭素の3つを「タバコ三悪」という。 タバコ1本から出る煙には平均してニコチン0.1~2.0mg、タール10mg、一酸化炭素20~30mgが含まれる。 ニコチンには中毒性があり、タールにはニトロソアミンやベンゾピレンなど200種類以上の発癌物質が含まれ、一酸化炭素には酸素欠乏に伴う運動能低下作用をみるので、喫煙の継続は避けるべきである。

 タバコの煙は肺に吸入される酸性の主流煙と、先端から立ち上がるアルカリ性の副流煙に分けられ、各種有害物質は主流煙よりも副流煙に多いことがわかっている。 自らは非喫煙者であっても、うっかり受動喫煙とならないよう日常生活上、十分注意したいものだ。

サンゴと熱帯魚
Coral and tropical fish in Taketomi Island photographed by A.Nakajima

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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