高速道路の逆走と高齢者の運転免許証

 今月11日に静岡県の東名高速道路で沼津インターチェンジ付近を91歳の男性が2歳年下の妻を同乗させ、約13キロ逆走し、通報でパトカーが出動し停止させられる事件があった。 事情聴取に対し、男性は「ドライブしていた、なぜ高速道路を走っていたのかわからない」と答えたという。

 今年は運転免許証を自主的に返納する高齢者が急増し、1~6月までの半年間で、前年返納数の80%を超えたという。 警察庁によると本年1~6月の自主的返納数は、約5万9700件で、2011年は7万2700件で、上半期だけで2011年の約82%に達しているという。過去10年間で返納者の約90%は65歳以上の高齢者で占められていることから、今年も大部分が高齢者による返納と思われる。

 返納者が急増している理由の一つに、返納の際に発行される「運転経歴証明書」が今年4月から生涯有効となったことがあるようだ。3月までは発行されても有効期間が6カ月と短く、再発行も不可能であった。この証明書は銀行の口座開設や携帯電話を購入する際に公的な身分証明書として使え、人気が高い。運転免許証がなくても、高齢者が生活するのに大きな不利を蒙ることがないよう支援策を積極的に進める必要があると思う。

 70歳以上の高齢者が運転免許証の更新を希望する場合、「高齢者講習・シニア運転者講習・チャレンジ講習 + 特定任意運転者講習(簡易講習)」のいずれかを受講する必要がある。また75歳以上は講習予備検査の受検が必要で、これにより認知機能レベルが判定され、「著しく低下していると判定され、更新期間満了日前1年以内に一定の違反歴(信号無視、通行区分違反、交差点優先車妨害、徐行場所違反など)がある場合は、医師による専門的な臨時適性検査を受けねばならず、その検査で「認知症」と診断されれば原則として免許証は取り消しとなる。

 さて、ヒトは長生きすると、いずれ運転免許証を、遅かれ早かれ、手放す時期を迎えることになる。では具体的にいつ手放すかとなると、人それぞれで生活状況が異なり難しい決断ではある。しかし、こればかりは各自、正しく判断したいものだ。
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浣腸するときに注意すべき3つの掟とは

 便秘が原因でお腹が痛い時には、浣腸摘便で肛門付近の直腸内に溜まった便の塊を取り除くと楽になる。 浣腸は肛門を経由して腸内に液体を注入し、摘便は肛門から手の指を入れて便を出す医療行為である。 浣腸は使用する器具により、ディスポーザブル浣腸、シリンジ浣腸、高圧浣腸などに分けられ、一般には30~50%グリセリン液の入った使い捨て(ディスポーザブル)浣腸を行うことが多い。

 腸内に入ったグリセリン液は、硬便を溶かし軟らかくし、潤滑油として働いて便の滑りをスムーズにするとともに、その浸透圧によって大腸粘膜を刺激し腸の蠕動運動を促進して排便を促す。  グリセリン液は体温よりやや高め(38~40℃)に暖めておくのがよい。 挿入チューブにはワセリンや食用油などの潤滑剤を塗り、スムーズにゆっくり挿入するよう心がける。

 医薬品医療機器総合機構は今月の医療安全情報として、便秘の時に行う「グリセリン浣腸」時の「3つの掟」を公表し、注意を呼び掛けている。

 {その1}立位で後ろから浣腸処置をすると、直腸穿孔の危険性があるのでできれば立位では行わないこと。立位で行うと先端が直腸前壁に当たりやすく、直腸を破る危険がある。

 {その2}挿入管に付いているストッパーを直腸内に押し込まないこと。直腸内にストッパーが遺残してしまった事故が約40件報告されており、ストッパーが直腸内に入り込まないよう、しっかり目視しながら行う。

 {その3}結腸の解剖学的な特徴から、浣腸時の体位は、体の左側を下にして寝た「左側臥位」が最も適当であり、原則として左側臥位で行うこと。チューブを挿入する長さは、目安として5~6cmであるが、抵抗を感じた場合には直腸壁に当たっている可能性があるので無理に進めず、少し引き戻すよう努める。

 浣腸は急激に血圧を下げる処置であり、全身衰弱の強い患者、重篤な心疾患、重症高血圧、頭蓋内圧亢進症状などをもつ患者では、ショックを引き起こす危険性があるので、避けなければならない。なお、近年、性行為としての浣腸プレイ(エネマプレイ:enema play)があるという。 これは性的嗜好を満足させるための行為であるが、もちろん注意点は変わらない。

座る時間を減らせば寿命が延びる

 近年、モータりぜーションの発達やパソコンが普及し、座って仕事をする人が増えている。 「座っている時間を減らすと寿命が延びる」という興味深い調査研究が発表され注目されている。 最近、ルイジアナ州立大学のピーター・カツマルジク(Peter Katzmarzyk)博士らが英国の医学雑誌(BMJ)に発表した。

 約16万7000人を対象にしたこの研究によると、平均的な米国人は1日平均7.7時間座って過ごしているが、、これを1日3時間未満にすると、平均寿命が2年延びることになるという。 また、テレビを見る時間を1日2時間未満にすれば、寿命が約1.4年延びるという。 

 座って過ごす時間は確かに増えている。 朝食、出勤用の運転、デスクワーク、帰宅用の運転、夕食、夜のTV,PCと、多くは座ったままである。 積極的に運動を取り入れないと、肥満やメタボリックシンドロームを経て、もろもろの生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症、心筋梗塞、脳梗塞など)を招くことは目に見えている。

 職場で座る時間を減らす工夫として、高さ調節可能な机の採用がある。 できるだけ立ったまま働ける「立ち机」を利用し、体調に応じて座ることも可能にするのだ。 机の上にシャレたボックスを用意し、パソコンだけを高くして、立って使えるようにしてもよい。 これからは立ったり座ったりと、いろいろな体勢で自由に仕事ができる多機能的な仕事場、ワークステーションを作ることが望まれると思う。

 朝の新聞を立って読んだり、旅行はできるだけ自家用車をやめ公共交通機関を利用し歩く機会を増やすなど工夫はいろいろある。

 生活をより活動的にする簡単な工夫として、「立つ時間を増やす」よう心がけたいものだ。 

蚊が媒介する病気の世界的流行

 気象庁は、日本の2012年9月の平均気温が平年を1.92度上回り、1898年の統計開始以来、観測史上最高だったと発表した。これは日本の東海上で太平洋高気圧の勢力が非常に強かったためで、特に北日本では、平年より3度以上高かったという。

 暑いと多くなるのはである。 朝夕、鉢物の植物や緑のカーテンとなったゴーヤなどへの水やりで庭に出ると、素肌の腕や足を狙う蚊に刺されての仕事となる。 素早く叩くが、すでに血を吸われていることも稀ではない。

 国立感染症研究所の調査によると、今年は東南アジアでデング熱に感染して帰国する人が増えており、9月23日現在で146例に達し、昨年同期の2倍強となり、まだ増えているという。 デング熱はウイルスをもったヤブ蚊に刺されて感染し、発症すると高熱、頭痛、関節痛に加えて風疹に似た発疹が胸部、四肢、顔などに出る。重症ではショック状態となり死亡例もある。今年になりフィリピンで8万7000人、ベトナムで3万6000人などカンボジア、インドなどを含め東南アジア6カ国で18万人近い感染が報告されている。予防用のワクチンはなく、海外の流行地では特に蚊に刺されない工夫が大切だ。

 今夏、ケニアでサファリした時に泊ったサバンナのロッジでは、どこでもベッドの周りに蚊帳がつるしてあり、はるか昔の田舎で暮らした子供時代を思い出させる情景であった。

 今年、米国では8月から9月にかけて南部のテキサス州を中心に、蚊がウイルスを媒介するウエストナイル熱の感染者が急増し、9月初めの時点で感染者は2000人に達し、死者は87人になったという。原因は8月に上陸したハリケーンの影響で水溜りが増え、南部を中心に蚊が増えたことで、テキサス州では過去最大の流行となったようだ。ワクチンはない。ウイルスをもったカラスやカモメを刺した蚊に刺されると感染し、発症すると発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、胸背部の発疹などがみられる。発症者の約半数が脳炎(ウエストナイル脳炎)を合併しているといい、殺虫剤の空中散布で蚊の退治を行っている。

 日本では、熊本県に住む73歳の男性が、今年全国で初めて日本脳炎ウイルスに感染し、9月5日に入院、28日に日本脳炎と診断されたと発表された。 日本脳炎も蚊を媒介して人に感染するが、人から人への感染はない。感染者の発症率は0.1%~1%と推定され、多くは感染しても発症しない不顕性感染である。発症率は低いが、発症すると重症ではけいれん、意識障害を来し、致死率は20%と高く、半数以上に麻痺などの後遺症を残すことになる。 日本脳炎のワクチン接種は一時期、接種後の副作用問題で中断されたが、新しいワクチンが開発され、現在は通常通り接種が受けられるので、母子健康手帳を確認し、確実に接種することが望ましい。 接種は3歳で2回、4歳で1回、9歳で1回、の合計4回である。今年小学2年~4年生の生徒は接種不足となっている可能性大なので、厚労省はワクチン接種を完結するよう注意を呼び掛けている。

 ウイルスを少々もった蚊に刺されても、簡単には発症しない免疫力の高い強靭な体を日頃から作るよう努めることも大切である。

100歳以上高齢者が初めて5万人を超える日本社会

 総務省統計局発表の人口推計によると、2012年8月1日現在の日本の総人口は1億2757万人で、前年同月より25万人減となり、6年連続でマイナスとなった。

 一方、厚労省は2012年9月1日時点でわが国の100歳以上の高齢者が初めて5万人を超え、5万1376人になったと、9月14日に発表した。 昨年より3620人増え、男女とも過去最多を42年連続で更新した。 女性が87.3%を占め、女性優位は変わらない。 今年度中に100歳になる人も、前年比871人増の2万5823人で、過去最多を更新した。 100歳以上の高齢者数は、調査開始の1963年には153人であったが、1998年に1万人を突破し、2007年には3万人を、2010年には4万人を超え、右肩上がりの上昇である。 今後も100歳以上人口は当分増加が続くと予想される。

 脳卒中後遺症、認知症および骨関節疾患などで自立して生活できない高齢者も増加の一途にあり、2010年の寝たきり高齢者数は170万人で、2025年には230万人に達すると見込まれる。さらに厚労省データによると、2012年時点で「しっかり考えることができなくなってしまった人」は約305万人で、2025年には470万人に達する見込みという。

 厚労省は2010年度の国民医療費が27兆4202億円となり、前年度比3.9%増になったと、先月27日に発表した。 4年連続の過去最高の更新である。 国民所得に占める割合は、10.7%でこれも過去最高である。 国民医療費の増加は超高齢社会では必然の結果と言える。 少子高齢化は多くの先進国に共通の現象であるが、日本は現在、60歳以上人口が30%を超える世界で唯一の国であり、2050年には64カ国が仲間入りするとされている。社会全体が連帯して、お互いの自立を支え合って生きていくことが、活力ある社会を作ることにつながることは明らかである。 どのように調和して住みよい社会を作ることができるか、日本の実力のほどが試されており、それは世界のモデルケースにもなる。

 高齢になっても要介護とならず、終末期まで自立して生活できる健康寿命を伸ばすための対策を早期に確立し、それを実行する体制を構築することが望まれる。 それには国民一人一人が健康3原則である食事、運動、および睡眠を、改めて見直すチャンスをしっかり持つことが、とても大切であると思う。

ダリアの花

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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