世界一細い注射針の誕生

 注射時の痛みは軽いほどよい。 痛くない注射針があればもっとよい。 注射時の痛みの軽減を多角的に追求した結果、世界で最も細い注射針が開発され、2012年9月3日、日本の医療機器メーカー「テルモ」(東京)より国内向けに発売された。 今秋よりドイツ、イタリアで発売を開始し、順次欧州で拡販する予定という。

 人間の皮膚の痛点は1cm2当たり100~200個存在するので、これを避けるためにはできるだけ細い針が求められる。 実現には極細でも薬液の注入しやすさと耐久性を維持する高い設計技術と生産技術が必要で、大きな壁を乗り越えねばならない。 

 新たに開発された注射針は「ナノパスニードルⅡ」34Gで、ステンレス板を筒状に丸めて成形し、薬剤を抵抗なく注入できるよう外径、内径とも根元で太く、先端へ行くほど細くなるダブルテーパー構造を採用し、先端の直径は0.18mmである。先端が皮膚に入りやすくするためアシムメトリーエッジ(非対称刃面構造)を採用し、針を突き刺すのではなく、日本刀の切り先のような鋭い刃先で小さく切るよう加工されている。

 テルモは2005年に「痛くない注射針」として、当時「世界で一番細い注射針」直径0.2mmの「ナノパスニードル」33Gを発売したが、今回の新製品は従前品よりさらに10%細くすることに成功した。

 現在、高血糖のため毎日、インスリンを自己注射している糖尿病患者は日本で約100万人いるとされる。また数的にはそれほどではないものの、成長ホルモンやエピネフリンを自己注射する人もおり、これらの人々にとって、注射時の精神的および肉体的負担が軽くなるメリットは大きい。 技術立国、日本ならではの極細注射針の誕生であり、拍手を送りたい。
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5つの遺伝子が顔立ちを決める

 人間の顔は十人十色である。 人間の味も十人十色といえる。 目鼻立ちが整った顔を「美人顔」といい、東西古今、人は愛嬌ある、あるいはまた優しそうで憂いのある「美人顔」に憧れて生きてきた。 双子は普通の兄弟姉妹より似ており、兄弟姉妹は他人より似ていることから、顔立ちには強い遺伝関係がうかがわれる。

 人間の目や鼻の位置関係や顔の幅、耳の位置など、顔の大まかな要素を決める5つの遺伝子変異が特定され、オランダ、ドイツおよびオーストラリアの合同研究チームが、9月13日付の米国遺伝学誌、PLOS Genetics に発表した。

 研究によると、磁気共鳴画像法(MRI)による約1万人の頭の立体画像と特定の5種類の遺伝子の関係を調べた結果、遺伝子の塩基配列の一部が変わると、目と鼻の位置関係、鼻の幅や高さ、左右の頬骨の間の距離が変わるのを発見し、5つの遺伝子と顔立ちの関係がわかったという。

 この遺伝子と顔立ちの関係をデータベース化すれば、凶悪事件で犯行現場に残されたDNAを採取し、5遺伝子を抽出し、犯人の似顔絵を作れることになり、犯罪の科学捜査への貢献は大きいものがある。

 これまでにDNAから目や髪の色を推定する手法は実用化レベルとなっていたが、顔立ちに関係する遺伝子については不明であった。 科捜研への応用が期待される新しい研究成果であり、注目に値すると思う。

夏野菜の王はオクラだ

 オクラ(Okra)は夏の食卓にはなくてはならない健康野菜の一つである。 オクラは漢字で「秋葵」と書き、アオイ科の野菜で、青納豆、陸蓮根(おかれんこん)、ネリ、淑女の指、ガンボなどとも呼ばれる。 原産地のアフリカ北東部(エチオピア辺り)からエジプト、中央アジア、インド、米国南部などの亜熱帯、熱帯地域へ広がり、日本へは中国を経て、江戸時代末期に伝来した。栽培が全国的に普及したのは昭和50年代以降である。 エジプトでは2千年前から栽培されていたという。

 五角オクラ、丸オクラ、赤オクラなどの品種があり、我が家では近年、丸オクラを好んで栽培している(写真1)。熱帯植物のため春先には寒さに弱く、軒下などで苗をある程度大きくしてから畑に定植するのがよい。短期間で1~2mに成長し、トロロアオイに似た花をつけ、10~20cmの先の尖った実またはサヤをつける。暑さに強く、真夏の炎天下や干ばつでも強勢を保ち、2日に1度は収穫できる便利野菜だ。白色~黄色の花は野菜の中では最も美しく、夏野菜の王様的存在である(写真2)。花は早朝開花し、夕方には萎んでしまう「一日花」でムクゲに似ている。

 欧米ではスープやソテー、煮込み料理などに多く使われるが、日本では和え物が主体である。我が家ではさっと茹でてそのまま、あるいは小口切りにして鰹節、味ぽんやマヨネーズをかけて食べたり、味噌汁の具にしても歯ごたえがあって美味しい。

 オクラを刻んだ時に出るヌルヌルした独特の粘り気の正体は水溶性食物繊維のペクチン、アラバン、ガラクタンと糖タンパクのムチンであり、胃腸粘膜を保護し、腸内の善玉菌に活力を与えたり、糖の吸収を穏やかにしたり、コレステロールの吸収を減らすなどの効果をもつ。 サヤの中のタネはオレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸を含むので、その界面活性作用と保湿力によって便秘を改善する。 βーカロテンなどの抗酸化物質も含み、老化防止にも役立つ。  栄養素としてビタミンA,B1,B2,C,葉酸、ミネラル、カルシウム,カリウムなどを含み、夏バテ防止や免疫力を上げるのに一役買ってくれること請け合いだ。

オクラ
  我が家のオクラ(2012.9.12 夕方、撮影)
オクラ102069
オクラの花(2012.9.16 朝 撮影)

日本にも毒グモ「セアカゴケグモ」がいる!

 夏から秋にかけて家の周囲や畑にはクモの巣が目立つ。 うっかり頭を突っ込むと体に糸が絡み、時には家の中までクモを連れ込む羽目になることもある。 

 今月3日、福岡市の介護福祉施設で、入所中の86歳女性が、靴の中に入り込んでいた毒グモ、「セアカゴケグモ(背赤後家蜘蛛、red-back widow spider)に足の小指を咬まれ、全身の痛みと呼吸困難を訴え、民間病院へ救急搬送されたことが報道された。市は抗血清を備蓄していたが、全て先月に期限切れを迎えており、やむおえずこれを投与して助かったという。 事故後、市が周辺の公園2か所を調べた結果、新たに約50匹の「セアカゴケグモ」を発見し、殺虫剤で駆除したという。

 セアカゴケグモは外来種のクモで、原産地はオーストラリア、日本では1995年大阪府で発見されて以来、沖縄、九州、四国、本州の各地で見つかっており、愛知、岐阜、三重の東海3県でも確認されている。ガレージの溝、フェンスの下、公園、学校、自販機の下などに好んで住む。 熱帯地方には広く分布し、咬まれて死亡例の報告もある。

 成虫の体長はメスが1~2cmで、脚を広げると3cm程度となる。身体は黒色で、背面にひし形が2つ縦に並んだような赤色の模様がある。腹面には砂時計状の赤い模様をもつ。成熟するにつれて黒色は茶色に変わり、赤い模様も薄くなる。オスはメスより小さく3~5mm大で、毒をもたない。メスは神経毒の「αーラトロトキシン」という蛋白をもつため、素手で触らないよう注意が必要だ。 うっかりして咬まれると神経毒により運動神経系、自律神経系が障害され、激痛を来す。 間もなく咬まれた部位が腫れ、3~4時間後には発汗、発熱、吐き気、嘔吐、めまい、頭痛、関節痛、呼吸困難、高血圧、排尿困難などの全身症状を示すことがある。

 咬まれて放置すると毒素効果で皮膚が腐ることもあるとされるので、咬まれてしまった時には早急に医療機関を受診し、抗血清による治療を受ける必要がある。 背中が赤い蜘蛛をみたら、注意したいものだ。

サバンナのガチョウ
 サバンナのダチョウ(Ostrich):2012年夏ケニアにて撮影         

鳥類では最大種で、胸筋が貧弱で飛行できない。ライオンなど
の敵が近づくと時速60キロメートル以上の速さで走る。
頭高で視界が広く視力と聴力が優れているため、野性のダチョウ
に接近することは難しい。
宝塚歌劇団のトップスターが着用する羽飾りはダチョウの羽で
ある。

「重陽の節句」を見直したい

 間もなく「重陽の節句」が来るが、現代人には忘れられつつある日である。 古代中国では奇数は縁起の良い陽の数とされ、奇数の中でも一番大きな数である9が重なる9月9日を、「重陽(ちょうよう)」として節句の一つとし、この日に菊花酒を飲んで邪気を払い不老長寿を願う風習があった。 これが平安時代に日本に伝わり宮中行事となり、江戸時代には武家の祝日となったとされる。重陽の節句は五節句の一つで、「菊の節句」ともいわれ、菊の花を飾ったり、菊の花びらを浮かべた酒を酌み交わし邪気を払い、健康長寿を願う日であった。

 古代中国では菊は「千代見草(ちよみくさ)」、「齢草(よわいくさ)」、「翁草(おきなくさ)」などとも呼ばれ、邪気を払い長生きする効果があると信じられ縁起の良い花とされた。日本では菊は皇室の紋章となっており、観賞用のみならず薬用や食用もあり、各地で栽培が盛んである。菊は英語でChrysanthemum、学名に「日本」がついた Chrysanthemum   japonese は黄色の芯を白い花びらが囲む「ノジギク」のことである。牧野富太郎博士の命名という。

 我が国では、9月の第3月曜日が「敬老の日」である。日本独自の祝日であり、老人を敬愛し長寿を祝う日とされ、早くも県市町村のトップが百寿者を訪問する様子がTV報道され始めている。「敬老の日」と「重陽の節句」は主旨は同じであるが、歴史が違う。 「敬老の日」の始まりは昭和22年に提唱された兵庫県間谷村の「としよりの日」であり、農閑期の9月15日が選ばれた。その後全国的行事となり、昭和39年に「老人の日」と改称され、翌年に国民の祝日「敬老の日」が誕生した。 

 重陽の節句が現代になり廃れてしまったのは、旧歴から新暦になり、9月上旬は菊の開花には時期的に早すぎることが大きかったようだ。だが近年、栽培法が進歩して菊はいつでも手に入るようになった。

 健康長寿が従来にも増して重視される今日、日本の古き良き伝統の一つとも言える「重陽の節句」の意義を再考し、この機会に自らの生活習慣を見直し、健康増進の考えをより一層強化するきっかけとしたいものだ。

サバンナのインパラ   
 サバンナのインパラ(ケニア・マサイマラにて2012年夏撮影): インパラ(Impala)の平均寿命は12年、ジャンプ力に優れ、障害物を飛び越える時には、3mの高さまで上がり、ジャンプ幅は9mに達する。

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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