塩分ゼロの醤油がある?

 日本人の食塩摂取量は現在、平均で1日10~12g(参照)であり、ヒトの生理的必要量3gを大幅に上回っている。 国民の3人に1人に当たる約4000万人は高血圧であるとされ、日本高血圧学会は1日6g未満を目標とするよう提唱している。 同じ高血圧でも、食塩摂取で血圧が上がり易い人(食塩感受性高血圧:40%)と、上がりにくい人(食塩非感受性高血圧:60%)が区別されるが、食塩の過剰摂取は脳、心臓、腎臓などの臓器障害の原因となることが知られており、減塩は我が国の国民的課題である。

 さて先日、塩分をほぼ0%(実質0.3%)に抑えたスプレイ式の醤油があることを知った。 福岡市の醤油メーカー「福萬醤油」が2011年11月に発売したもので、スプレイタイプ(80ml)とボトルタイプ(100ml)の2種類があり、発売4カ月で1万本が売れてヒット商品となっているようだ。 商品名は「ソイゼロ」(SOY-ZERO)という。アルコールに強いしょうゆこうじを培養し、醸造環境を20℃に保つなど特殊な発酵技術を駆使して製造し、塩分はもともと大豆に含まれるミネラル分だけで、旨味成分のアミノ酸が多いのが特徴だという。塩味は必要なく、しょうゆの香りと旨みだけを料理に生かすときに使ったり、あるいはいつもの醤油にこれを適量ブレンドすれば自分の好みのオリジナル醤油を作ることもできることになる。

 日本人として生まれ、子ども時代から親しんだ醤油味は何とも言えない味である。塩分なしの発酵食品、醤油風調味料の出現は嬉しいニュースである。 健康食品の一つとして、活用したいものだ。

 http://www.garbagenews.net/archives/1124405.html
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欧米に「寝たきり老人」がいないのはなぜ?

 スウエーデンやデンマークなど北欧の福祉大国を含めて、欧米の病院や老人介護施設では、寝たきり老人をみることは極めてまれで、一人もいないのが普通であり、口から食べれなくなって人工的にお腹に穴をあけ、この穴から胃の中へ直接栄養を与える胃瘻患者をみることもほとんどない。日本の現状とは大違いである。虚弱化して自分で食べれなくなった高齢者に胃瘻や点滴などの人工栄養を行い、延命をはかることは人の道、倫理に反するだけでなく、老人虐待の一つとも考えられるとする国民意識がこれらの国には根強くある。このため老衰した高齢者に胃瘻を作ることはせず、原則点滴もしない。肺炎を発症しても苦痛を伴う抗生物質の点滴や注射は行わずに、内服投与のみとする。 かくして、大多数の虚弱老人は寝たきりになる前に人生を終えることになり、寝たきり老人はいないことになる。
 
 折から、来年の2013年度から10年後の2022年度に向けての国民の健康づくり計画として第2期の「健康日本21}がスタートする。 模様替えした「健康日本21」では、現状の喫煙率19.5%を12%まで下げることを目指すとともに、自立して生活できる健康寿命の延び幅を、平均寿命の延び幅よりも上回ることを目標の一つとすることが公表された。 2010年度における我が国の健康寿命は男性70歳、女性73歳であり、要介護と認定されて生きる介護寿命は7~13歳と長い。 平均寿命から介護寿命を引いたものが健康寿命なので、介護寿命が短縮してゼロとなれば平均寿命イコール健康寿命となり、PPK(ピンピンコロリ)達成となるわけだが、現実には難しい。

 さて、尊厳死を重視する欧米型が良いのか、延命重視の日本型が良いのか国民の共通認識を高める時であるように思う。
 

医療のあり方が問われる時代へ

 100年前の日本人の平均寿命は男女とも44~45歳で推移し、これが男女とも50歳を超えたのは65年前の1947年である。 当時は骨や筋肉をはじめ、多くの臓器機能が目立って低下する前に大半の日本人は人生を終えていた。 下肢の筋力低下で車椅子生活を余儀なくされたり、認知症で日常生活動作がままならず、自立した生活を送れなくなるといった困難にはあまり遭遇せずに済んだことになる。 この時代、医療人の使命は最善を尽くして延命させ極限まで生かすことであり、それでよい時代であった。

 さて、平均寿命が男性79歳、女性86歳となった現在、80歳以上人口は平成23年時点で854万人(総人口の6.8%)、70歳以上人口は2181万人(同17.3%)となり、100歳以上人口も4万7000人と右肩上がりで増えている。 一方、厚労省によれば、自立して健康的に生活できる期間を示す「健康寿命」は、平成22年時点で男性70.4歳、女性73.6歳である。かくして治らない加齢変化や、いわゆる老年症候群と複数の慢性疾患を抱え、これといった病気でもなく、かといって健康でもない要介護の虚弱状態にある高齢者の大集団が形成されつつあるのが今の日本の現状である。 健康習慣を確立することによって要介護年数を可能な限り減らし、平均寿命よりも、自立して生きられる健康寿命や健康幸福寿命を延ばすことを目指さねばならない時代となっている。

 新車も数年使うと部品は劣化しはじめ交換が必要となる。 部品交換を繰り返し、やがて経済的に割が合わないと判断されると廃車となる。 人間も20歳代をピークとして多くの臓器機能は劣化しはじめるが、車のように部品交換は簡単ではなく、人工関節や臓器移植など特殊な例を除けば、原則自然のままで経過し、やがて虚弱、老衰となり死に直面することになる。生ある人は間違いなく死を迎える。 近年、自分の終末期の治療のあり方、最後の服装、相続、葬式、墓など自らの終末期をデザインする活動として、「終活」への関心が高まりつつあり、専門書も現れ売れていると聞く。 

 虚弱高齢者を人工呼吸器や胃瘻を用いて延命をはかるより、尊厳ある死に向けて緩和ケアを行いつつ自然死を温かく見守る医療がより重視される時代となってきた。 超高齢社会、多死少子社会となった今、医療への国民の意識改革が求められている。

緑のカーテン

 国内の原発が全面停止となり、今夏も全国的に電力不足は避けられない。福井の大飯原発は夏までに再稼働する方向で動いているも予断を許さない状況が続く。 昨年の福島原発事故以来、節電は今や至上命令で国民の合言葉でもある。 今夏の電力料金は電力の需給に連動させる動きがあり、需要が急増する昼間の時間帯には料金が3倍になる可能性も検討が始まったようだ。クールビズなる日本語が生まれて、すでに8年になるというが、昨年はスーパークールビズとなり、ノーネクタイのみならずポロシャツや半ズボンなどラフな恰好も容認され、夏の服装は様変わりである。昨年はアイスバック、ネッククーラー、インナーベルト(通気ベルト)、ジェルマット、涼感スプレー、扇風機日傘(クーリング アンブレラ)、停電時使用可能な扇風機、ひんやり抱き枕など新たな暑さ対策用品が次々と出て人気を博した。今年もこれらを上手に利用し、切実となった節電に備えたい。

 我が家では昨年少しでも涼しく過ごせないかと、初めて台所と座敷の前の軒先に2階からネットを垂らし、それぞれ沖縄ゴーやとキュウリの苗を植えグリーンカーテンを作った。キュウリはゴーやほど長持ちしないものの、どちらも見事な緑のカーテンとなり、収穫も楽しめたので、今年も再挑戦することにした。どちらも連作を嫌うので土は新しい培養土で入れ替えることにし、現在順調に育ちつつある。キュウリは先日、初物を食味した。苗を植えてしばらくして、パッションフルーツが緑のカーテンとして近年人気で、ファンが増えていることをTVで知った。

 調べてみると、パッションフルーツはブラジル原産のつる性多年生熱帯果樹で、花が時計に似ているところからクダモノトケイソウ(果物時計草)とも呼ばれ、食用フルーツとしての種類は20数種もあり日本生まれの新品種もあるという。鮮やかな緑の葉に加えて、花、果実、香り、食味を楽しめる。開花は独特で蕾から満開まで2分と短いので動きを目で追うことができ、耳を澄ますと咲くときのパチッという小さな音を聞くことができるらしい。秋まで葉が枯れず、朝顔、ヘチマ、ゴーやなどよりもさらに長持ちするのはカーテン向きだといえる。ビタミンA,C,βカロテン、葉酸、ナイアシン、クエン酸、カリウムなどを豊富に含み、老化防止や生活習慣病予防に役立つようだ。 来年の緑のカーテンにはパッションフルーツを植えてみたいと思っている。

お酒の友はトマト

 アサヒビールとカゴメの最近の共同研究によれば、お酒を飲むときにトマトを食べるか、トマトジュースを一緒に飲むと酔いの回りが穏やかになり、酔いざめも早くなることが実証されたという。

 実験では20~40歳代の男性12人を被験者とし、焼酎100mlとトマトジュース缶(160ml)3本を同時に飲んだ場合、対象として焼酎とジュースと同量の水を飲んだ場合と比べ、血中のアルコール濃度は平均3割低く、血中からアルコールが消失する時間も約90分早まった。トマトはジュースで飲んでも、トマトをそのまま食べても効果は同じだった。 トマトがアルコール脱水素酵素を活性化させ、アルコールを速やかに分解させたことによる結果である。

 人間がアルコールを経口摂取すると、約20%は胃から、約80%は小腸から吸収される。血液中に入ったアルコールは肝臓に運ばれてアルコール脱水素酵素によって分解され、有毒のアセトアルデヒドとなる。飲んだ後に赤ら顔となったり吐き気,嘔吐、頭痛、動悸などを起こすのは軽いアセトアルデヒド中毒の症状であり、アセトアルデヒドを速やかに分解して無害の酢酸に変えるのがアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)である(参照)。ALDHにはGGタイプ、AGタイプ、AAタイプという3つの遺伝子多型があり、AGタイプはGGタイプに比べ代謝能力が1/16しかなく、AAタイプはゼロである。遺伝子多型は生まれつきの体質であり、人種差を認める。 GGタイプの人は酒に強い人(酒豪)、AGタイプの人は酒に弱い人、AAタイプは酒を飲めない人(下戸)となる。体重60kgの人が1時間で処理できるアルコール量は約7gとされ、GGタイプの人で飲酒の適量は日本酒で180ml、ビールで500ml、ワインで200mlであり、これらのアルコール量はそれぞれ21gとなり、3時間で処理できる量である。

 白人(コーカソイド)や黒人(ネグロイド)は、全てGGタイプで酒に強いタイプであるが、AGタイプとAAタイプはモンゴロイド(東洋人)のみにみられ、それぞれ45%と5%の出現率である。お酒を飲んで顔がすぐ真っ赤になる現象はモンゴロイドに多くみられるため、Oriental Flush (東洋人の赤面)と呼ばれる。

 トマトは赤色色素カロテノイドの一つであるリコペンという強力な抗酸化物質を含むが、トマトのどの成分がアルコール脱水素酵素を活性化させるのか今後の研究成果が待たれる。昨日、日本のかずさDNA研究所を含む14カ国の研究チームがトマトの全遺伝情報(ゲノム)の解読に成功したと報道された。約3万5千個の遺伝子の位置や構造が明らかとなり、今後、より高栄養性の品種が開発される期待も高まってきた。

 徒然草の作者である兼好法師はアルコールについて「百薬の長とは云えど、万の病は酒よりこそ起これ」と書き、過度の飲酒を戒めている。 飲酒の強要は罪である。 お酒は他人にすすめるものではなく、自分のペースで自らの責任で飲むものだということを肝に銘じたいものだ。 

 お酒は飲み方次第で益にもなり、害にもなるが、トマトの同時摂取は急性中毒や悪酔い、二日酔いを避ける有力手段の一つとして、我々東洋人にとって心得ておきたい知恵である。

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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