梅雨入り

 昨夜、名古屋でも10時過ぎにしとしとと雨が降り出し、梅雨入りとなった。 東海地方の梅雨入りは、昨年より1週間遅いという。 先の日曜日にサツマイモ(紅東)の苗を10本植えたので、私にとってはまさに恵みの雨である。 

  雨の多い6月をなぜ水無月(みなづき)と呼ぶのか、一瞬不思議に思うが、昔使っていた「太陰暦(旧暦)」では、4~6月が夏で、6月は夏の終わりとなるので当然水のない月になるから納得である。 でも今の「太陽暦(新暦)」でも、「梅雨で天の水が無くなる」から、「水無月」でよいのだとする説もある。 また「田植えが終わり田んぼに水を張る必要のある月だ」ということで、「水張月(みづはりづき)」を略して「水月(みなづき)」となったという説も有力らしい。 

 「梅雨入(ついり)」や「梅雨寒(つゆさむ)」は、俳句では当然夏の季語である。 日本では、これまで6月と8月には祝日がなかったが、先月23日の参院本会議で改正祝日法が成立し、2年後の2016年から8月11日が「山の日」として祝日になったので、6月は祝日のない唯一の月となった。 「山の日」は、当初お盆に直結させるため8月12日とする案が有力であったが、この日は日本史上最多の死者数を出した航空事故、日本航空123便墜落事故の日であることから1日前にずらして決まったようだ。 「海の日」に次ぎ、「山の日」ができたのはうれしい。 山に感謝し、夏山や森林浴を楽しみやすくなったのはよいことだと思う。 今月は環境月間でもある。 海や山を大切に守りたいものだ。

   梅雨寒の昼風呂ながき夫人かな         日野草城
   梅雨ごもり眼鏡かけたりはずしたり       ジャック・スタム
   万霊の天より圧す梅雨入かな          目迫秩父


知立かきつばた1
愛知県知立市無量寿寺八橋かきつばた園のカキツバタ
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野菜の相性

 人間には何となく馬が合う人と会わない人がいる。 野菜にも人と同じように相性があり、近くに植えて一緒に育てると、害虫の被害が減ったり、成長が良くなったりするものがある。 お互いに助け合い、成長に良い影響を与え合う野菜やハーブは、「コンパニオン プランツ(conpanion plants)」と呼ばれ、1)有益な昆虫を引き寄せ、受粉を助ける、2)必要な栄養素を与え、成長を促進する、3)味、風味をよくする、4)連作障害を軽減する、5)病虫害を予防する、など混植するとより良い効果が得られるので、共栄植物とか共栄作物とも呼ばれる。 この共栄栽培(conpanion planting)を上手に利用すれば、限られた土地でも作物の生産性を上げることができるので、これは小さな農業革命ともいえる。

 例えば、トマトはタマネギ、ニンニク、バジル、ラッカセイ、アスパラ、ブロッコリー、オクラ、セロリーなどと相性が良く、青枯れ病や立ち枯れ病になりにくくなる。 エンドウはニンジンやホウレンソウと相性が良く、ニンジンとタマネギも同様で、お互いに成長が良くなる。 一方、キュウリとゴーヤは相性が悪く、キュウリが苦くなる。 夏野菜のオクラは、トマト、サツマイモ、ピーマンと相性が良いようだ。 

 ハーブの一種で、リンゴのような芳香をもつことから「天地のリンゴ」とも呼ばれるカモミールは、「植物のお医者さん」とも言われ、アブラムシやモンシロチョウを駆除し、タマネギやアブラナ科の野菜であるキャベツ、ハクサイ、ブロッコリーの生育を助け、風味をよくするとされている。 アブラムシのつきやすい植物の傍らにカモミールを植えると、アブラムシはカモミールにつき、植物の被害を防ぐことができるというので、私もこの春には畑のほぼ中央に、ジャーマンカモミールとローマンカモミールを各一株植えてみた。 前者は1~2年草、後者は多年草である。 今のところ今年の夏野菜はすべて順調に育っている(写真)。

 カモミールは「マザーハーブ」とも呼ばれ、ヨーロッパでは、カモミールティーとして、薬効に利用され、鎮静、不眠の改善、消炎、初期の感冒の改善、便秘解消、月経困難症の緩和、スキンケア、などに有効とされる。


  泣いてみた玉葱きってるせいにして         西堀恵子
  くちづけのあとの真っ赤なトマト切る         大高 翔
  万緑の端より摘みし薬味かな             凡茶

 5月24日のトマト
見事に成長する我が家のトマト(平成26年5月24日撮影): 6月中旬から下旬には収穫が始まる

薬草の国内栽培を本格化する

 超高齢社会が進む中、日本における漢方薬の使用量が大幅に増えている。 漢方薬の国内生産高は、2007年には1131億円であったが、今から2年後の2015年にはほぼ倍増し、2000億円超に達すると試算されている。 漢方薬には、数千年の歴史があり、複数の生薬が独特の理論に基づいて正確に混合され、体質や症状に応じて処方される。 生薬には、鉱物由来や動物由来のものもあるが、大部分は薬草である。 カンゾウ(甘草)、トウキ(当帰)、ダイオウ(大黄)など漢方薬の原料となる生薬(薬草)は、現在90%弱が輸入品で、83%は中国からの輸入に頼っている。 生薬は薬草の薬用部位を調整加工(乾燥、加熱、切断、湯通しなど)したものである。 漢方薬メーカー最大手のツムラは、現在118種類の生薬を利用し、129種類の漢方薬をつくっているという。

 日漢協(日本漢方生薬製剤協会)の調査によると、2008年度の生薬総使用量2万273トンのうち、中国産が83%を占め、日本産は12.2%の244トンに過ぎない。 中国政府は、砂漠化につながる野生種の乱獲防止を理由に、2000年以降、甘草の生産・出荷を規制し、供給減で価格上昇が続いている。 価格上昇が特に目立つのは、生薬の約5分の1を占める野生種である。  電子材料や超硬合金、磁性材などに使われるレアーアースの需要がひっ迫し、一時、中国政府による輸出規制も加わって社会問題化したが、同じような問題が今や生薬の分野にもあり、レアプラントなる言葉も出ているこの頃である。

 中国リスクに備えるためもあって、日本政府もやっと重い腰を上げ始めた。 厚労省、農水省、漢方薬メーカー、地方自治体、栽培農家が連携し国内での薬草栽培を積極的に増やし、2016年度までに、生薬の国内生産量を2010年度の1.5倍に増やす新しい事業をスタートさせた。

 日本では、これまで漢方薬メーカーと農家が個別に契約を結び、薬草の栽培を行ってきた。 例えば、最大手のツムラは北海道を主戦場に岩手県、群馬県などで栽培展開している。 しかし、一般的な市場が無いため、国内での流通は思うように進んでいないのが現状である。 そこで国が主導して全国を8ブロックに分け、昨年11月から各地で情報交換会を実施し、「生産者と漢方薬メーカーをマッチングさせる」説明会を今年の夏(8~9月)に開催した。 農水省は2014年度予算の概算要求で、地域の条件に適した栽培マニュアルの作成や栽培技術の確立など、生産上の課題解決に向けた取り組みを支援する新事業に4億7千万円を計上したという。

 新たな中国リスクに備えて、甘草の人工栽培に成功した日本企業もあるようだ。 新事業がレアプラントの窮状を救い、日本農業の振興策の一つとしても役立つことを期待したいものだ。

   
  
   芍薬や棚に古りけり薬箱       水原秋桜子
   ハーブ園よりどりみどり秋の風    中島澄夫
    雨ながら高値くづさず生姜市     内山亜川
 

 

 

日本の食糧自給率39%に思う

 この夏は炎暑続きで畑の草取りがままならず、トマト、アスパラ、ピーマン、ネギ、サツマイモなどは伸びた雑草に埋まってよく見えないほどになった。 今年の猛暑は全国的で、高知県では国内観測史上最高となる41℃を記録し、総務省消防庁によれば、熱中症で救急搬送された人数の累計は9月22日時点で5万8555人に達し、昨年同時期と比べ3割近い増加だったというから暑さのほどがわかる。 やや暑さが和らいだ今月の2回の連休を活用しての草取りがほぼ終わり、我が家では、やっと秋野菜の種まきや苗植えの準備が整ったところである。

 さて、人間が生きていくためには、食料の安定確保を欠かせない。 だから自分の国の食糧自給率が世界的にどのくらいの位置にあるかを知ることは大切で、国は国策として自国の食糧自給率の改善に努める義務をもっている。食糧自給率とは、国内消費される食糧のうち、どの程度が国内産で賄われているかを示す指標で、カロリーベースと生産額ベースの2種類がある。 

 農林水産省は先月、昨年度(2012年度)の我が国の食料自給率が、カロリーベースで39%であったと発表した。 39%は3年連続で変わらず、最近は足踏み状態が続く。 この39%を高いと見るべきか低いと見るべきか、見解は立場によって異なるが、日本政府は7年後の2020年には50%まで引き上げる目標を掲げている。 昨年度は天候に恵まれて国産の小麦や大豆の生産が増え、国内消費も増えるというプラス効果はあったものの、主食のコメの値上がりでコメの消費が減少し相殺されたことが足踏みの主要原因だったようだ。

 主要国の食料自給率をカロリーベースで、資料の揃った2009年で見ると、カナダ223%、オーストラリア187%、米国130%、フランス121%、ドイツ93%、スペイン80%、韓国50%、日本40%となっている。 100%を超えている国は、4カ国で、これらの国は立派な農業国だといってよい。 

 低迷する日本の食料自給率を打破するには、生産効率の高いスマートアグリを助成するなどして今後、官民が協調して、農業の構造改革を強力に、そして迅速に推進する必要があるように思う。 我が国政治家の力量が問われている。 

   
   そば所と人はいふ也赤蜻蛉        小林一茶
   松風に筍飯をさましけり         長谷川かな女
   孫と居て口数多し葱坊主         春藤セイコ
  

 

夏の葉菜の王は空心菜だ

 連日の猛暑でキャベツなどの野菜が品薄となって価格が高騰しているという。 今週に入り、ホウレンソウ、レタス、トマトは平均価格の約2倍になっているらしい。 わが畑ではナスとキュウリは最盛期を過ぎたが、、昨年秋に植えたキャベツが大玉となり、収穫期に入るとともに、春に種を播いた空心菜が見事に育ち、トマト、オクラとともに食べごろを迎えている。 

 空心菜に初めて出会ったのは、平成22年、妻と一緒にタイ旅行した時である。 現地に住む知人の案内で入ったタイ料理店で供された豚肉が入った油炒め葉菜で、シャキッとした歯触りで、異国の日本人の口に合い、「旨い」と思って、その時ウェイターに尋ねた覚えがある。 タイではパックブン(phak bung)と呼ぶ。 

 空心菜はヒルガオ科の熱帯アジア原産の1年草で、暑さに強く、高温多湿のタイ、ベトナム、中国南部、台湾など東南アジアで広く栽培され、日本のホウレンソウのように食べられている。 エンサイ、ヨウサイ、アサガオナなどの別名があり、英語ではwater spinach(水のホウレンソウ)と呼ぶ。 いつごろ日本に伝来したかは定かでないが、沖縄を経て、九州へ伝わったとされる。 水辺でよく育つため水に浮かびやすいように茎が空洞になったというが、日本の普通の畑でも元気に育つ。 20cm前後の長さで収穫するが、切ってもすぐまた側枝を出して再度収穫できるので便利だ。 葉は切れ目の入った長卵形で、秋にはアサガオに似た花を咲かせる。 6~9月まで収穫でき、数少ない真夏の葉菜として利用価値が高く、貴重な存在である。

 空心菜は、ホウレンソウに比べ、βカロテン5倍、カルシウム4倍、ビタミンB群2倍、ビタミンC2倍、鉄2倍を含み、夏バテ予防対策に利用価値の高い野菜だ。 また食物繊維を豊富に含み、食後血糖上昇を抑えてくれるので糖尿病予防にも効果がある。 レシピは多彩で、タイ料理、中華料理では、豚肉とシメジの中華風炒め、ニンニク炒め、アーモンド炒め、ナンプラー炒めなど炒め物が人気である。 和風では茎のてんぷら、和え物、卵とじ、オムレツ、鍋物など利用範囲は広い。 春先に園芸店を訪れると、「エンサイ」の名前で種を売っていることが多い。 本土でも栽培が容易なので、もっと普及させたい夏野菜の一つである。
 
  空芯菜あをあを屋台おぼろにて        白井健介
  空芯菜油炒めの旨いこと            中島澄夫

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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