禁煙週間

 日が長くなり6月入りを実感する. 庭のアジサイが玉状に太り、グリーンカーテンとすべく種蒔きした軒先の朝顔が10㎝ほどに伸び、畑ではキュウリが早くも4本採れて,ミニトマトも色づいてきた。 夏本番も近いが、今月からハガキ料金が10円上がって62円となったので気を付けたい。

 5月31日は「世界禁煙デイ」(World No-Tobacco Day)に指定され、禁煙を推進するための記念日で、国際デイの1つである。 今年の世界禁煙デイのWHOテーマは、「タバコ:成長への脅威」であり、「タバコにノーと言える社会をめざそう」をスローガンにしている。 日本では、6月6日までの1週間が「禁煙週間」である。 厚労省や日本医師会、がん対策推進協議会が中心となり非喫煙者がタバコの煙を吸い込む「受動喫煙のない社会を目指して~タバコの煙から子供たちを守ろう」をテーマに各種の取り組みが行われている。 2020年の東京オリンピックを控えて、日本では飲食店や職場、家庭での受動喫煙防止の法整備が求められており、一部の反対勢力をいかに封じ込められるかが問われている。

 WHOの最近の発表によると、喫煙による死者は全世界で年間700万人以上に達しており、その8割以上が低・中所得国に集中しているというから深刻である。 因みにWHO発表によると、2015年の15歳以上の年齢標準化喫煙率は、インドネシア男性76.2%、女性3.6%、中国男性47.6%、女性1.8%、日本男性33.7%、女性10.6%、英国男性19.9%、女性18.4%、米国男性19.5%、女性15.0%、となっている。

受動喫煙のない社会確立は喫緊の課題であり、この世に生きる万人の努力目標といえる。

紫陽花や己が気儘の絞り染  小林一茶
朝顔に我は飯食う男哉  松尾芭蕉
夕晴の雲や黄色に瓜の花  各務支考

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花しょうぶ:油が淵花しょうぶ園にて(2017年6月4日撮影)

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花しょうぶ写生大会:碧南市油が淵花しょうぶ園にて(2017年6月4日撮影)
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帯状疱疹と予防ワクチン

 庭先で美人の象徴でもあるシャクヤクが咲き競い、可憐で美しい花を咲かせている。 芍薬の花言葉は、「はじらい」、「謙遜」、「はにかみ」、「慎ましさ」、「内気」だという。 華やかな大輪の花を咲かせるボタンの花と似ており、英語名はともに「peony」といい、英語圏では同じだが、芍薬は草、牡丹は樹木である。 きれいな女性を表現する言葉として、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」がある。

 さて、中高年が疲れたり、免疫力が低下したときにかかりやすい皮膚病の一つに帯状疱疹がある。 春や秋など気温が急激に変化する季節の変わり目や湿度の高い時期に多い。 患者の約70%を50歳以上が占める。 体の左右どちらかの片側に、帯のように水かぶれ(水疱)の集合ができ、チクチクと痛みを伴う病気である。 

 子供の頃に罹った水ぼうそうのウイルスが、脊髄神経や三叉神経の神経節に遺伝子の形で潜伏しており、これが過労やストレス、免疫力の低下に伴いウイルス粒子に復活して皮膚に帯状の水疱を作る。 症状は痛みから始まり、赤い発疹ができ、小さな水ぶくれとなる。 体の両側に広がることはない。 皮膚病変が消えても痛みだけが残ることがあり、「帯状疱疹後神経痛」の名がある。 高齢者では、破壊された神経の回復が遅れ、神経痛が残りやすい。 皮膚や神経のダメージを軽くするため抗ウイルス薬(アシクロビル、塩酸バラシクロビル、ファムシクロビルなど)を使った早期治療が望ましい。 

 超高齢社会を迎え、予防が重要だ。 最近、米国で65歳以上の高齢者約200万人を対象にして、帯状疱疹ワクチンの効果を検討したところ、ワクチン接種は、入院を必要とするような重症帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛に対し高い効果を示すことが判明したという。 米国では帯状疱疹ワクチン(Zostavax)が2006年に承認され、60歳以上の年齢層は積極的に接種するよう勧告されている。 このワクチンは日本では未発売である。 日本では、50歳以上の大人に対し、子供用の水ぼうそうワクチンを帯状疱疹ワクチンとして予防接種することが2016年3月に認可された。 現在、成人への帯状疱疹ワクチンの定期接種の検討が始まっている。

芍薬の蕾のどれも明日ひらく  海野良子
芍薬のつんと咲きけり禅宗寺  小林一茶
芍薬はかよわき花のうてなかな  松岡青蘿

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我が家の庭に咲く芍薬 (2017年5月14日 撮影)

オウム病で妊婦2人が死亡

 4~6月は鳥の繁殖期で、小鳥も大鳥も営巣に励む姿が観察される。 私も小鳥好きで、子供時代には雪の畑に仕掛けを作って、シジュウカラを何匹かを捕獲し、1年ほど飼い、自然界に開放してやった経験がある。 鳥から人に感染する病気として、「オウム病」がある。 ここ数年は全国で毎年40人前後の感染が報告されており、感染は4~6月に比較的多く、日本産婦人科医会の調査によると、2015~2016年に2人の妊婦がオウム病で死亡したという。

 オウム病といっても感染源となる鳥はオウムとは限らず、ハトやインコなどからの感染も多いとされる。 健康な鳥でも数%は病原細菌のオウム病クラミジアを保菌しており、唾液や糞便中に排菌する。 普通は鳥の糞をホコリと一緒に吸い込むことにより感染する。 発熱や咳などインフルエンザ用の症状で発症し、治療が遅れると肺炎や髄膜炎、心筋炎、膵炎、などを起こし多臓器不全で死亡することもある。 

 診断は血清抗体価の測定やクラミジアの分離、クラミジア遺伝子の検出などによる。 治療はマクロライド系やテトラサイクリン系の抗菌薬を2週間服用する。 現在、予防ワクチンはない。 鳥を飼う場合、ケージの清掃に当たっては、マスクを着用することが望まれる。 また妊娠すると、免疫力が低下し、感染リスクが高くなるので、ペットの鳥との接触は避けた方が無難といえる。

大木や鳥の巣のせて藤かかる  高浜虚子
小鳥の巣二本の枝にしっかりと  高野素十
見上げれば天空一角サギ営巣  中島澄夫
戸袋に啼いて巣立ちの近きらし  まついひろこ

H29玉がすみ
我が家の庭に咲く玉霞 (2017年4月7日 撮影)

温泉入浴と肺炎

 春秋は温泉が楽しめる季節である。 解放感と景色を楽しめる露天風呂は、また格別である。 冬の露天風呂へ入るにはちょっと勇気がいるが、暑くなく寒くない春秋は温泉にはもってこいの季節というわけだ。

 先月、広島県の「みはらし温泉」で、入浴利用者40人が、レジオネラ菌に感染し、うち50歳代の男性1人がレジオネラ肺炎で死亡したと報道された。 レジオネラ症はレジオネラ菌による細菌感染症で、感染しても全ての人が発症するとは限らず、免疫力の低下した中高年で発症しやすい。 浴室内の清掃や洗浄が定期的にきちんとできておらず、設備の衛生管理が不備な時に起こりやすい。 細菌に汚染された湯水を、エアゾル(空気中の微粒子)として吸入することで感染する。 近年では空調設備の冷却塔・クーリングタワー水、循環式浴槽水、給湯器の水などにも寄生、増殖することがある。

 レジオネラ症を発症した場合、軽症では一過性の発熱(ポンティアック熱と呼ばれる)、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛で済むが、一部は劇症型の肺炎(レジオネラ肺炎と呼ばれる)となり、これは早期治療しないと多臓器不全となり死亡率の高い肺炎である。 市中肺炎の約5%を占めるとされる。 ポンティアック熱は、米国ミシガン州のポンティアック市で起こった集団感染例に因んで命名された。

 診断は市販の迅速キットを使い、尿中抗原を検出することによる。 尿中抗原陰性の場合には、喀痰中の遺伝子を検出する迅速診断法がある。 肺炎の治療では、静注用のニューキノロン系薬が第一選択薬である。 ニューキノロン、マクロライド系抗菌薬を投与しないと、7日以内に死亡することが多いとされる。

 ハイリスクグループとして、高齢者、新生児、大酒家、ヘビースモーカー、糖尿病患者、透析患者などがある。 感染者の約8割を男性が占める。

湯上りの尻にべったりせうぶかな  小林一茶
山中や菊は手折らぬ湯の匂  松尾芭蕉
月光に照らされわが身露天風呂 中島澄夫

H29和合の里桜
桜咲く 老人保健施設 和合の里にて (2017年4月7日 撮影)

H29庭の椿
我が家の庭の椿(横雲) (2017年4月2日 撮影)



C型肝炎ウイルスの感染

 C型肝炎ウイルス(HCV)は、ウイルスに汚染された血液を介してヒトに感染するので、現在の感染者は輸血や血液製剤、血液透析や針刺し事故などの医療行為、注射針共用に伴う刺青や覚せい剤の静脈注射、出産時の母児感染などによって感染したもので、日本での感染者は人口の約1%、100~150万人と推定される。

 感染者の約30%は自然治癒するが、約70%は持続感染者(キャリア)となり、慢性肝炎を経て、感染後20~30年後で肝硬変肝がんを発症することが多い。 感染の有無の診断はHCV抗体の測定により行う。 

 昭和年代に大きな手術を受けたり、外傷や出産のときに大量の出血を経験した人の場合、止血目的でウイルス不活化処理の不十分な血液製剤(特定のフィブリノーゲン製剤や血液凝固第1X因子製剤)の投与を受けてHCVに感染している人がおり、このような感染被害者を救済するため、「C型肝炎特別措置法」が平成20年1月より施行された。 

 給付金の支給額は、無症候性キャリアに1200万円、慢性肝炎に2000万円、肝硬変・肝がん・死亡に4000万円となっている。 この給付金を受けるためには、国を相手に来年の1月15日までに所定の形式によって裁判所へ訴訟を提起する必要がある。 認定されると、本人または相続人が給付金を受け取れる。 期限が迫っているので注意したい。

草籠をおいて人なし春の山  正岡子規
水浅し影もとどめず山葵生ふ  松本たかし
山葵田を見下ろし忙しサギ営巣  中島澄夫
たからとは今日の命ぞ初さくら  加賀千代女

大王わさび農場1
早春の「大王わさび農場」・ 信州安曇野にて ( 2017年3月20日 撮影 )

焼額山から一の瀬を
志賀高原・「焼額スキー場」より「一の瀬スキー場」を望む (2017年3月18日撮影)

御宝田遊水池1
御宝田遊水地に遊ぶ白鳥の群れ・信州安曇野にて(2017年3月20日 撮影)

プロフィール

中島澄夫

Author:中島澄夫
約80坪の畑を耕し、ブロッコリー、トマト、ナス、ニンニク、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、大根、生姜、馬鈴薯、玉葱、白菜、青梗菜、小松菜、空心菜、金時草、水菜、スナックエンドウなどを自家用に栽培。近著として、「高齢者医療:健康長寿と全人的ケアをめざして」(オーム社、H20.4)など。名古屋市緑区在住。

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